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今日は、お米は売るほどある、と言ったあの方に聞かせたい、窮地にあるフードバンクについて取り上げた記事に注目しました。

2トンのお米の冷蔵庫2台が空っぽに!!

まずは、こども食堂や外国人、生活困窮者などの支援団体に食品を提供してきた、東京荒川区でフードバンクを運営する、一般社団法人「あじいる」の中村光男さんにその状況を伺いました。

一般社団法人「あじいる」 中村光男さん

今、29団体ほどにお米を提供しているんですが、3月の段階で、2トンのお米の冷蔵庫が2台あるんですけど、それが空っぽになりました。月に一回配送してるんですが、4月はだから配送できませんでした。

個人が多いんですよ、余裕があった時に送ってくれるっていう感じで、だいたい月に1トンくらい集まってきて、1トンくらい無償で提供しているっていう。新米が出来ると送ってくれる農家さんもあったんですが、こういう事態になるとなかなか困難っていうか。個人も農家さんも全部おしなべてそういう状況になっちゃいましたね。

前は、足りないと購入してました。ところが今回は購入もできないっていう事態になりまして。(フードバンクを)作って25年経つんですが、初めての経験ですね。

今まで、多い時には8割は埋まっていた冷蔵庫が3月には空っぽ!!4月分の提供ができませんでした。

「あじいる」は、個人からの寄付が主で、ひと月に1トンくらいのお米が集まっていたのですが、年明けからパタっと止まってしまった感じだそう。5キロで4000円もしたら、宅急便の送料入れて6000円くらいになってしまう。

そんなのムリですよね、と中村さん。

さらに、農家からの寄付も途絶え、今まで買っていたところからも買えなくなり、緊急事態です!という訴えを出しました。それを受け、苦しい中にもかかわらず、お米や金銭の寄付もあり、なんとかお米を集めて5月10日にやっと提供できたのですが、次々回の配送は、また足りなくなってしまうかもしれないということでした。

中村さんは、支援団体のみなさんは本当に大変だったと思います、と話していました。

フードバンクも備蓄米の無償交付になったけど・・・

その間、備蓄米の放出も何度かありましたが、変化はあったのか。再び中村さんのお話です。

一般社団法人「あじいる」 中村光男さん

備蓄米の影響はほとんど無くて、値下がりもしませんし、どっかストックされてるんでしょうけど買えない状態が続いて・・・今でも、だから、外米ルートを探してもらうとか、色んな方面にお米を購入できるようなご相談はしています。

当面は購入してでもフードバンク活動を維持しようって思ってます。ええ、まあ、買うしかないんで、いくら高かろうが。ただ、これが一年間買い続けるって話になると800万~900万とか、そういう金額になっちゃうんで、ちょっと性根入れてやらないと、フードバンク事業も大変だなという感じはしてます。

まあ、農水省の職員の方が二人、備蓄米を申請してくださいってうちの方に来てくれたんですけども、これからの申請ということで、7月以降に申請して、来るのが9月以降とか10月以降という話なので、その間どうするかっていう対策が全く無いんですね。だから、分かってる人がやってんのかな?って感じがしますよね。

実は、農水省は、こども食堂などを対象にした政府備蓄米の無償交付に、この春からフードバンクを加えるとしましたが、年に2回しか申請のチャンスはなく、届くのもすぐではない。

しかも、必要な量がまとめて届くわけでもないそうで、ちょっとずつ来るのだとか・・・。

今、困っているんですよ!!

次々回の配送がすでに足りないかもしれない、5キロで4000円もするお米を1トン購入し続けて、9月、10月まで踏みとどまれるのか、という状況なのに・・・ホントに、分かってる人が対策してるのかな?と思いますよね。

食育をやっていないこども食堂は申請できない備蓄米無償交付

この農水省の備蓄米の無償交付については、さらに、こんな話もあるんです。こども食堂を運営しているNPO法人「いきば」代表理事の南谷素子さんのお話です。

NPO法人「いきば」代表理事 南谷素子さん

こども食堂に関しては【食育をやっていますよ】というポスターなりチラシなりを一緒に提出しないと申請は通らない。なので、普通に、子どもたちの食を支援しようっていう温かい気持ちでやっているこども食堂って、まず申請できないんですよ。そのチラシとかポスターが無いと、それを一緒に出さないといけないので。

じゃあそのためにポスター作っちゃおうかって作っちゃう人もいるかもしれませんけど、そんなのAIにお願いすれば、きっとすぐ作ってくれると思いますよ。ホントになんか笑うしかないというか。こども食堂できないよね、っていう状況ですよね。

一回に作る量は40食です。で、やっぱり今、お米に困ってるご家庭も増えてるので、先週くらいから50食近くになってますね。

でもそれぞれのお弁当箱に入れられるお米は減っています。今までと同じ量では出せないので。いつまで頑張れるかなって感じですよね。

食育をやっているところしかもらえない??ちょっとビックリしました。

法令で「試験研究または教育」のためなら無償で交付できる、と定められているからということで、生活困窮者を支える活動だけなどの福祉目的の交付はできないのだとか。

そのためにチラシ作っちゃえ、と冗談めかして話していましたが、必要な時に届かない、必要な人が申請できない、「困っている人の声を受けて、すぐお米を出すのはできないんですかね」と南谷さんは呆れていました。

南谷さんのこども食堂では、今、あるお米は30キロがあと一袋。一回のこども食堂で使うのは5キロ、週に2回やっているので、もうあと6回分しかない。お米だけじゃない食品の価格高騰で、利用者は増える一方なのに・・・。

「あじいる」の中村さんも「いきば」の南谷さんも、このままでは、こうした助け合いが消されていってしまうのがとても心配。なんとか踏ん張るしかない、とおっしゃっていました。

こうした助け合いのシステムが機能しなくなると、社会的な弱者は孤立してしまいます。

こうして現場で踏ん張る方々にお話を伺うと、国の対策はなんだかズレているな、という感じがしてしまいます。国は真剣に対策を考えてほしいですね。

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材・レポート:近堂かおり)

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