毎週月曜日は東京新聞との紙面連動企画。

昨日、杉並区の松ノ木運動場で、レフティ野球大会という不思議な野球大会が開催されました。

東京新聞の紙面では、野球の常識を根底から覆す野球大会が、ひっそりと続いて、第10回目を迎える、と書かれていました。

実は現場にアタックは、2012年、第一回目の大会を取材していたので、10回目の記念と聞いたら取材に行かねばなりません!

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選手は全員左投げ左打ち!打ったら三塁へ!!

まずは、改めて、レフティ野球とはどんな野球か、大会実行委員長、池谷勝之さんに聞きました。

レフティ野球大会 実行委員長 池谷勝之さん

選手はみんな左投げ左打ちの選手ばかりで、日頃やはり左利きの人たちは花形といわれてるサードとかショートが出来ないので、じゃあ左ばっかり集まって、いつもは一塁側に走るのを三塁側に走って逆回転したら、全員が同じように楽しく野球が出来るんじゃないか、ということで、この大会を始めました。

そうですね、基本的には、内野、走塁、とかはもう逆って思っていただければいいかな、と思います。キャッチャーから見て、えーと、三塁ベースが一塁ベースに変わります。試合前にベースランニングから予行演習でやるんですけども、まあなかなか慣れない(笑)。みなさんそれで間違えて、みんなで逆!逆!って声をかけて、ホームの方に戻って走り直してもらうと。やっぱり慣れてない方はホントに(従来の)一塁ベースのとこまで行っちゃいますんで、それから戻って来たら、せっかくのヒットがアウトっていうのは、よくあるパターンで。

打ったら、三塁ベースの方に走るんです!!

レフティ野球とは、「選手全員が左投げ左打ち」「ベースランニングは通常と逆の時計回り」というルールで行われる野球。記事には、まさに鏡の中の世界のよう、と。

祝10回!レフティ野球大会
お話を伺った池谷さん。試合の日はピッチャーで活躍!

逆!逆!あ~!センターゴロだ!!(センターゴロ?笑)

私、昨日の午前中に行われた「レフティ野球大会」見に行ってきましたが、試合前のキャッチボールから、全員が左投げで、なんとも不思議な雰囲気。そして、いざ、試合が始まると、池谷さんが言う通り、逆!逆!連発でした!

逆!逆!逆! (近堂)ベンチから逆!逆!コールが来ましたね。

 

はい、あんないい当たりね、センター行ってるのにね、センターゴロだ!もったいない! 

(近堂)今打ちましたね! 

結構詰まったんですけど、タイミング合わずに。 (近堂)でも走るの逆でしたね。 

そうですね、感覚が合わずに、すべての感覚がズレました。やっぱ逆方向なんでムズカシイです。 

(近堂)いいヒットが出ました、そして、迷わず左方向に走りました。

 (一塁コーチャーボックスから)バッター、こっちに走ってね、こっち、こっち。 

逆!逆! (近堂)あ~せっかくでしたけど逆に走ってしまいました。逆!逆!って聞こえました? 

聞こえた、聞こえて気がついて戻った!ムリムリ!止まるのもムリ(笑)!違和感だらけ。

みんな逆回りに慣れなくて苦労していました。ベンチにいる時は、バッターに逆!逆!と声をかけているのに、自分がバッターになると・・・(笑)。レフティ野球経験者でも、2、3歩進みかけて踵を返す、という感じ。

祝10回!レフティ野球大会

いい当たりがかなりの割合で、逆!逆!でアウトになるので、みなさん、もどかしそう。

でも、楽しそう!昨日が初参加の60代の男性は、「念願のセカンドを守って嬉しい!でもやったことないもんで、盗塁されたりとか、バックアップが全然できなくて、大変ですわ!」と、それでも楽しそうに話して下さいました。

実は、前回一回目の大会で取材した時と、変わったところもあります。

それは、「レフティゾーン」という特別ルール。これは、ホームベースから半径5メートルの範囲内ならば、三塁方向に走る向きを変えていいよ、というもの。

ルールも加えながら、10回続けてきたこのレフティ野球大会について、発案者で、大会長の二村好彦さん(80歳)に、試合の合間にお話を伺いました。もちろん、二村さんも打って走って、選手として参加していました!(ちなみに、発案者なのに、二村さんも、逆!逆!と言われていました!)

レフティ野球大会 大会長 二村好彦さん

これね、そうなの。というのはね、もう打つと瞬間カラダに、身についてるから本来の一塁に走っちゃうわけ。で、途中でワーワー言って帰されるから、それじゃちょっと可哀そうだから、じゃああそこへラインを引いて、で失敗した人があのラインまで戻る、こういう形を取ったの。面白いでしょ?

でもあんまり身に付きすぎて普通の野球と変わんないようではね、ちょっとそれだと寂しいんだよ、逆に。オールレフティでやるからね、たまにはその辺の面白みがないと。ワーワーワーワーみんなで騒ぐでしょ。ここがいいところなんですよ。

そういう野球があってもいいじゃないか、それだけ野球に対する関心が増えるということがいいじゃないか。これで続けていければ、浸透してけばいいじゃないですか。幅広くね、野球の仲間が増えるということでね。

ホームまで戻ったとみなすエリア、ということです。

祝10回!レフティ野球大会
このラインの内側がレフティゾーン バッターボックスは二村さん

レフティゾーンを外れて走ると、そのバッターはアウトになります。よくアウトになってました。

今回、参加選手は20名ほどで、この一試合しか出来ませんでした。一番多かったときは70名ほどいたことも。コロナ禍で途切れてしまい、選手が減ってしまったそう。

しかし、二村さんも、池谷さんも、こんな野球大会、全国にも、世界にもない!こういう野球大会が、野球好きを増やせるのではないか、一つのグランドでは、入りきらないくらいの大会になるのを夢見て、続けていきたい!と話していました。

右投げ右打ちの人も、大会の日に左でプレーするなら大歓迎だそうですので、腕に覚えのあるみなさん、来年ぜひ!

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:近堂かおり)

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