川崎音頭~
これは川崎駅前で行われている路上ライブの様子です。実は最近、「公共空間での音の扱い」について議論が起こっているんです。
進化する路上ライブの形、増えるトラブル
今まで自由に音楽を届ける場だった路上ライブは、今、各地でルール化が広がっているようで・・・路上ライブの聖地でもある、神奈川県川崎市でも今月から新たな動きがあったようなんです。詳しいお話を、川崎市市民文化局 市民文化振興室の濵松里佳さんに伺いました。
川崎市市民文化局 市民文化振興室 濵松里佳さん
路上演奏を登録制にするものでして、演奏可能な時間とか場所、演奏ルールなどのガイドラインの内容を承諾して登録していただいた個人やグループに登録証(川崎駅東口ストリートミュージックパス)、こちらを発行します。市が警察に道路使用許可を取った指定のエリア内でガイドラインに沿って演奏ができるという仕組みです。市としては路上演奏も音楽の街の資源なので、それを守っていきつつ、やっぱり通路でもあるので、その通路の機能とのバランスの中で今回登録制というのを施行することにしました。
路上ライブを禁止するのではなく、登録制にしたんですね。川崎市でも路上ライブを巡る騒音などを問題視する声が出ていたようでして・・・

最近はSNSで予告をするため人が集まりやすい、スピーカーの性能が良くなって大音量で演奏ができる、さらに夜に演奏をする人の騒音問題など、苦情が増えてしまったようです。警察に通報となると、一斉に指導が入って、マナーを守っている人も演奏を辞めなければいけないという状況があるようでした。
そうした中で始まった川崎市の路上ライブの登録制ですが、先月末の時点で登録数が300件を超えているとのことでした。川崎市東口駅前広場では1週間で約70組が演奏しているので、反響の大きさが分かりますよね!
この川崎市のように、路上ライブのトラブルを解決すべく登録制を導入する所は増えていて、例えば、新宿歌舞伎町での公認ストリートライブ制度「Kabukicho Street Live」(2025年6月~)これは、交通量の多さ・歩行者の安全を守るべく、地元施設と協力して、指定スペースを予約制で開放するというもの。
「音楽のまち」で音楽を続けるために
このような制度が導入される一方で、活動が制限されるミュージシャンが増えるのではないか?と思ったので、その疑問を川崎市の濵松さんにぶつけてみました。
川崎市市民文化局 市民文化振興室 濵松里佳さん
今回ドラムセットとか大型のアンプは使えないということにしているので、このルールにはまらない人って出てくるかなと思っています。「音楽のまち・かわさき」の取り組みとして、市の中で演奏ができるところに繋げたいなと思っていて、例えば川崎駅の東口の「ルフロン」という商業施設の前に広場があるんですけど、そこで音楽イベントをやったりしているので、そこに出てもらうとか、あと川崎駅から離れますけど、溝の口という駅に「キラリデッキステージ」というステージがあるんですけど、そこも個人で低価格で借りて使える場所があるので、そういうところに繋げて、ぜひ川崎の中では音楽活動をしていただきたいなと思っています。
演奏の場を新たに提供する事を考えているんですね!音楽の街というだけあって、提供できる場所や参加できるイベントも多いので、これを路上ライブとうまく連携をとっていきたいと。路上ライブも、音楽の街としては大切な音楽文化のひとつなので、絶やすことなく守っていきたいと川崎市は話していました。

制度導入を前に、それぞれの意見
まだ、始まったばかりの川崎市の路上ライブの登録制度「川崎駅東口ストリートミュージックパス」ですが、実際に当事者であるミュージシャンたちは、どう感じているのでしょうか。川崎の町で聞いてきました。
正直言うとめんどくさいですね。ルール変更で一番大きいのが、ひとりその場所で1時間だけという…それが苦しいんじゃないかって。短すぎますよね。
毎回同じ時間帯でできてた分、知ってくれた人も増えたんで、それが登録制になると次どうなるのかなって、不安はありますかね。
率直に嬉しいですね。路上ライブ自体いけないっていう法律はないけど、(各地で)規制はある中で、こうやって場所を提供してくれるのは嬉しいというか。
今までが公認じゃなかった分トラブルも非常に多かったのも実際にあって。今までよりかは心軽くしてできるんじゃないかなという・・・あとはお客さんからも川崎市の公認として歌っている人という認識を持っていただけると思うので、そういう面では、アーティストとしても 聞く側としても安心できると思います。
安心してライブができるっていう意見もありましたね!

最近のトラブル増加については、アーティストの皆さん自身も気にしていたようで、市が公認して演奏の場所を提供してくれることについて前向きな意見もありました。川崎市の登録制度「川崎駅東口ストリートミュージックパス」については、現在はトライアル期間という事で、今後はミュージシャンの方々の意見も取り入れて内容を吟味していくとのことです。
各地で制度が導入される今、改めて路上ライブの在り方を考えるタイミングなのかもしれません。
(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:糸山仁恵)