子どもたちは夏休みの真っ最中だと思いますが、課題になっているのが「夏休みの子どもの体験格差」です。

6世帯に1世帯が夏休みの体験予算0円

どんな問題があるのか、子どもたちへの支援活動などを行っている、認定NPO法人チャリティーサンタ 広報 勝野多喜さんに伺いました。

認定NPO法人チャリティーサンタ 広報 勝野多喜さん

そもそも体験格差が、何度も思い出せるような心に残る体験だったり思い出を作れる子と、そうでない子の格差を言うんですが、夏休みは、年で1番長い休暇になるので、その格差が顕著に出やすくなるので「夏休みの子どもの体験格差」と言っています。

夏休みだと宿題で絵日記とか、夏休み明けに友達同士の会話でも、思い出や体験がない子は話題に入れなくて、自然と悪意なく孤立してしまう。猛暑なので、屋外だったり、公園とか広場で遊ぶことが難しくなっているということと無料の公共施設とか、そこへ向かうための交通費すら捻出が難しかったり、特にひとり親家庭だと、そういったイベントに時間を合わせて行くことが難しかったりだとか、そういったことを調べる時間も気力もないという、切実な声もやっぱり印象的だなと思いました。  


留学や家族旅行のような特別な体験ではなくて、映画館、遊園地に行くとか、家族でちょっとお出かけすること自体もできていない子どもが増えているそうなんです。チャリティーサンタが今年、経済的困難を抱えるおよそ3900世帯を対象に行った調査では、6世帯に1世帯が「夏休みの体験に使えるお金は1円もない」という、深刻な状況にあることがわかりました。物価高に加え、夏休みは給食がなくなるので、食費もさらに厳しくなるという実情もあるということなんです。

体験格差によって、子どもが嘘をついて、実際にはやっていないことを日記に書いたり、友達に話したり、高学年になると「それはやりたくないから大丈夫だよ」と親に気をつかったりする、子どもも出てくるそう。

チャリティーサンタでは、経済的な理由で思い出を作ることが難しい家庭に全国の映画館で好きな映画を観られるチケットをプレゼントする「シェアシネマ」というプロジェクトを行うなどして、課題に取り組んでいます。

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体験格差解消へ スターバックスの取り組み

夏休みの子どもの体験格差の問題を受けて、企業も取り組みを始めています。スターバックスコーヒージャパン広報部 Social Impactチーム 佐藤千春さんのお話です。

スターバックスコーヒージャパン 広報部 Social Impactチーム 佐藤千春さん

スターバックスでは、子どもの体験格差の解消のために「ハミングバードプログラム」を実施しているんですけれども、今日は店舗で、私たちは従業員のことをパートナーと呼んでいるんですが、パートナーが地域のお子さんたちに体験を提供するというイベントです。スターバックスは、店舗でそれぞれ地域のための活動を行っていて、これは年間で4000件ほど、全国の店舗で実施しています。お子さまのための体験格差の支援は、今年の夏休みに初めて全国で開催したプログラムになっています。格差の解消というと、すごく大きなことなんですけれども、私たちは地域に出店させていただいているので、その中の子どもたちに関わりを持っていくことが、これからもできたらいいなと思っています。

夏休みらしい体験ができない 子どもの体験格差

8月10日(日)に、スターバックス新宿マインズタワー店に取材に行くと、バリスタ体験で、スタッフと同じ緑のエプロンをつけてコーヒー作りをしたり、使用済みのコーヒーかすを使った消臭袋作りが行われていました。8人の子どもたちが参加していて、保護者のみなさんも見守るなか、およそ1時間、楽しい時間を過ごしていました。

夏休みらしい体験ができない 子どもの体験格差
夏休みらしい体験ができない 子どもの体験格差

参加者は

参加したお子さん、保護者に聴きました。


「6歳です。コーヒー作り、面白かったところは、作って飲めてよかったところ。」

「3年生で8歳。ママがコーヒー好きなので頑張りました。」

「(保護者)今日のバリスタ体験のことを自由研究でやりたいと言っていたので、体験ができること自体が本当にありがたい。」

「4年生です。コーヒーが消臭剤にできると思わなかったし、1回スタバでドーナツを食べたんですけど、今度はちゃんとドリンクを飲もうと思います。」

「9歳です。消臭袋がエコなことを知って、すごいなと思いました。消臭袋とか使って、綺麗な家にしたい。」

「(保護者)近場で無料でもできるというのは、体験格差をなくすという意味でも、すごくいいイベントだなと思いました。」


とても楽しそうで、写真を撮ったり、手作りの消臭袋をどこに飾ろうか相談したりする姿もありました。体験格差は、経済的に苦しい家庭以外にも、例えば子どもの夏休み中も毎日仕事でなかなか遠くに連れて行ってあげられない、という保護者も多くいるので「近くで気軽にこんな体験ができてありがたい」と話していました。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:西村志野)

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