山田健仁さん(Part 2)
石川県金沢市生まれ。企業広報・イベント企画制作をメインとするモダニスアンドカンパニーの代表。

2024年にヨルダン観光大使に就任し、現在開催中の大阪関西万博ではヨルダンパビリオンの全運営を担当しています。。

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出水:山田さんは石川県の金沢市生まれですが、小さい頃はどんなお子さんだったんですか?

山田:思い返してみますと本当に快活で、外で遊ぶのがすごい好きでしたね。やっぱり田舎なので、オタマジャクシを取ったりとか、秘密基地を作ったりとか。

JK:外もそれこそヨルダンみたいなすごい外に行っちゃって! なんでアラビア語ができたんですか?

山田:僕はアラビア語はできないです。英語と日本語です。小さい頃から両親の仕事の関係で海外に行くことも結構多かったですし、「海外」という漠然とした世界の中で「僕はどこの国の人なんだろう?」みたいな。

JK:ヨルダンとの関係は?

山田:ヨルダンは人の御縁でしたね。昔から小さい頃からいろんな人と喋るのがすごく好きだったので、よく可愛がってもらったりすることも結構多かったので。

出水:ヨルダンに行き着くまで、御縁があった国は何カ国ぐらいあるんですか?

山田:大学生の頃はボストンにも留学しましたし、アナザースカイ的な感じで言うと香港。2016年から2019年まで香港で金融業にずっと従事してたので。皆さんご記憶あるかな、2019年には雨傘運動という民主化デモがあって。

JK:ありましたね、大変だった。

山田:それと同時に母が大病したというのもあって、人生1回しかないし、自分がやってみたいことをちょっとやってみようかな、とていうのもあって日本に帰ってきた。

出水:そこからすぐにイベント制作会社を立ち上げる・・・金融からだいぶシフトチェンジですけど?

山田:なんか物作るのが昔から大好きだったんですよ。今までは数字を操ったりとか、お客様に対して提案することが結構多かったんですけど、日本の人たちって物事伝えるのって下手だったりしませんか? 僕は起承転結の「結」、結論から言いたい性格なんですよね。

JK:せっかちね(笑)

山田:そうなんですよ! コンサートとか舞台も作っててもそうですし、イベント作っててもそうですし、素晴らしいものって日本にありふれてるのに、それがPRできてない、ブランディングできてない。

JK:日本はPRが下手。真面目でいいもの作るんだけど、それをどう表現して世界に出すか、っていうのが下手です。

山田:美術学校とか美術の大学とかもそうなんですけど、アートピースとかいいものを作っても、皆さん金銭化することを忘れてるんですよね。ちょっと下世話になるんですけど、やっぱりご飯食べれるようにしていかなきゃいけないんですよ。

JK:音楽家もそうですよ。芸大出てからどうする、っていう時にね。

山田:きっちりちゃんと作っても、皆さん「もう少し安くなりませんか?」っていう言い方するんですよ。

そうではなく、ちゃんと適正な価格できっちり広報をして、マーケティングもして・・・今回のヨルダン・パビリオンもそうですよね。発展途上ではありますけど、いいものがあふれてるんですよ。いいものあふれてるからこそ、そこにあぐらをかくんじゃなく、きちんと俯瞰して、見極めながら発信していく。

香港で知った人生の彩り 大阪関西万博ヨルダン観光大使・山田健仁さん

山田:香港の友人とかにも言われたのは、物事の見極め方、審美眼とか観識眼は重要だって。香港に住んだ時にびっくりしたのは、給与をいくら上げられるかとか、今どこの金融商品買ってるかとか、忌憚のない意見をお互いに交換できる。腹の内を見せるっていうか、そこまで喋っていいの?みたいな。

JK:それが香港ですか?

山田:僕の中では(笑)今はちょっと変わっちゃいましたけど、香港に探してないものは世界中探してもない、っていうぐらい物にあふれてましたから。活気もありましたし。自分の人生でパレットの絵の具が3~4色しかなかったのに、香港に住んだら10色も15色も色が増えていくわけですよ。そうすると描ける絵のレパートリーが増えていくんですよね。それが楽しくて、楽しくて! どこ切り取っても様になるし、どこ行っても美味しいし、何しても楽しいっていうのが僕の中での香港のイメージですね。

出水:今回は大阪関西万博に携わっていらっしゃいますが、過去はどんなプロジェクトに参加されているんでしょう?

山田:例えばベントレーとか、フェラーリとか、ロールスロイスのイベントとか、いろんな応援いただいてさせていただきました。

JK:すごい超一流!

山田:演劇もそうですし、コンサートもそうですし。私の人生の軸には、ずっと昔から茶の湯があるんですよ。茶の湯の世界って静と動に分けられると思うんですね。掛け軸とかは静の世界。そこから出る湯気やお花の命は動の世界。そういったものをイベントに落とし込んでいくと、日常の延長線上じゃなくて「非日常」になる。

JK:山田さん、いっぱいあるでしょうけど、この1つっていう人生のマサカは?

山田:今大阪万博もやってることもそうですし、会社をやってることが人生のマサカだなと思いますね。香港にずっと住むこと自体が自分の人生の基盤だと思ってたので、会社を起業して、起業家の1人としていろんな方と接する中で、本当マサカの連続なんですよ、人生って。楽しいこと、美しいこと、その反面苦いこととか辛いことも多いじゃないですか。それこそがマサカの原点になる。

JK:その体験が身になるから。

山田:それが飛躍して、自分の人生の礎になっている。

会社を起こして今こういう風に先生と話してたりとか、大阪万博に携われていることも非常に楽しいなと思いますね。

出水:香港から帰られた後は京都でお仕事しているそうですが、なぜ京都に居を構えようと思ったんですか?

山田:もともと知り合いが多かったのと、金沢って武家文化なんですけど京都は公家文化。全然違うんですよね。歴史として対峙した時に、金沢出身の自分が京都の門を叩いてみた時にどういうケミストリーが生まれるのかな、っていうのも非常に興味があって。経営者の諸先輩方とかにも相談した時にも「京都いいんじゃない?」って。

JK:京都は厳しいですよ、本物でなければ。でも一旦認めてもらうと大丈夫なの。

山田:本当にそうなんですよ! 挫折しそうなことも何回もありました。ずっと学ぶ姿勢が大切ですね。1回聞いたらはい終わり、じゃなくて、どうやって探究していくか、その観識眼をどうやって伸ばすのかが非常に重要だと思います。

JK:ハードルが高いけど、それを超えるとやりやすいでしょうね。

山田:京都って流行を追うんじゃなく、流行を作る街。

先生と似ているところもありますよね。

JK:追うのは一般の人ですよ。出来上がったものをついていくだけだから。何もないものから始めていくのが「流行を作る」。結果、流行になるってことだからね。

山田:そうですね。僭越ながら僕の会社も「流行を作る」っていうのを標語にしてるんですけど、0から1にするのは辛くないですか?

JK:いや、0だから自由じゃないですか!

山田:かっこいいですね! 素晴らしい!!

JK:可能性っていくらでもあるのに、先に答えを言っちゃうから止まっちゃう。先に答え言っちゃうとしらけちゃうじゃないですか。万博が好きなのは、未来に対してどう提案するかってことでしょ。私2度の万博を経験してるから。それによって世の中は変わるんですもん! 変わるんです、結果的に。答えがないんだけど、答えを作っていく。

山田:格言が出ました! 僕のアシスタントに聞かせてやりたい(^^)

香港で知った人生の彩り 大阪関西万博ヨルダン観光大使・山田健仁さん

JK:これからまだまだ可能性も山ほどあるから、思いつくところでこれからやってみたいことは?

山田:日本人として思うのは、日本で素晴らしいものいっぱいあるので、イベントとかを通じて皆さんにもっともっと知っていただけるようなプロジェクトを・・・

JK:そうですね、まだ遠い世界ですもんね。

山田:もちろん企業の広報とか、シャンパニーメーカー様とかホテル様とかいろんなPRもやってますけど、それをベースにして、もうちょっと日本の良さを皆さんに感じていただいて、その色彩感をご自身の人生の彩に加えていただきたいですね。

出水:山田さん個人では、お仕事を離れて次にチャレンジしてみたいことはありますか?

山田:なかなか個人で時間が取れる時がないんですけど、今はもっともっと世界に出たいですね。旅行もそうですし、新しいものを目にした時の発見とか驚きとかが薄れてるなっていうのはあるので、新しい人の出会いとかを通じていろんな化学変化を起こしていきたいなと思います。

出水:最後にあらためて、これから万博を訪れる方のためにヨルダンパビリオンの見どころを教えてください。

山田:まずはヨルダン館の世界、袖を通した瞬間に感じる美しさとか温かさとかおもてなしをぜひ感じていただきたい。あとは熱中症対策が一番大切かなと。7月下旬から事前予約制になってますので、そこはご留意いただきたいと思います。ぜひヨルダン館に来たら「山田じゃどこにいるのか?」って言っていただけたら、もしかしたら私がご案内するかもしれません(^^)

JK:殺到しますよ、大変だわ!

香港で知った人生の彩り 大阪関西万博ヨルダン観光大使・山田健仁さん

(TBSラジオ『コシノジュンコ MASACA』より抜粋)

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