お盆も明けましたが、この夏、国内旅行に出かけた人は「7220万人」と(7月時点のJTBの予測値)、去年よりちょっと増えるようです。ただ一方で、「ホテル代が高い!」という声があちこちから聞こえてきます。
夏の利用率97%超!快適すぎる夜行バス
春先にこの番組でも少し紹介しましたが、高知と東京を結ぶ、「フルフラットの夜行バス」。夏休みシーズンはどうだったのか。高知駅前観光の本多敦史さんに伺いました。
高知駅前観光 本多敦史さん
フルフラットの夜行バス「ソメイユシロフォン」の車内おかげさまでこの7月、8月については、(乗車率が)7月が96.5%で、8月が97.5%というところで、ほぼ満席の状態ですね。180度まで背もたれが倒れてですね、完全に横になった状態で長距離間を移動しますので、「寝ながら行けるよ」っていう。
そもそも「夜行バス」のニーズというと、やはり料金ですね。「時間」よりも「金額」で移動手段を選ばれる方々というのが大前提。プラスですね、今までは、通常のお座席ですと、私も一度だけ経験したんですけれども、日帰りでディズニーランドで遊んで、そのまま、また夜行バスの着座状態のシートで戻るというのは、翌日動けないぐらいの疲労が…。安いけども、さすがにこれはちょっとしんどすぎる。まさに今回、疲労度っていうものを極限まで軽減できるというところは、非常に喜んで乗っていただける。

名前は「ソメイユプロフォン」(フランス語で「深い眠り」)。
夜7時に高知を出て、翌朝8時に東京に到着。この13時間をずっと、横になって過ごせますが、春から週1回、試験的に運行していて、夏休み期間中もほぼ満席。料金は1万円前後と、新幹線+JR(およそ2万円)よりも安くて、「ホテル代も浮く」というわけ。
ただ、大きな弱点もあります…。それは、ずっと「寝た大勢」でいなきゃいけないこと。今の仕様では、ほとんどのシートで起き上がれない。つまり、体を起こして「あぐら」もかけないそうで、そのため「逆に体がつらい」という声も少なくないようですが、秋からは少し仕様を変えて、座れる席も作るなど改良が進められていると話していました。
ローソン駐車場で「お泊まり」!?1泊2500円
「節約も大事ですが、快適にすごせる」。ここがポイントになってきそうですが、じつはこの夏、「コンビニに泊まれる旅」も登場!一般社団法人「日本RV協会」の関口 麻梨さんのお話です。
一般社団法人「日本RV協会」 関口 麻梨さん
今年の7月に、大手コンビニ「ローソン」さんの駐車場の一角を、「RVパーク」として活用してみようという実証実験がスタートしております。こちらは「車中泊専用の駐車場」で、いま「2500円」でやっていただいておりまして、まさにコンビニ価格というところになるんじゃないかなと思います。
一台です、クルマ一台です。都内で一晩停めたらこの価格では収まらないと思いますので、キャンピングカーをレンタルして、RVパークに泊まるとしても、ご家族でホテルに泊まるよりはお安くなるんじゃないかなと思います。思った以上の反響がありまして、ご飯も買えますし、朝のコーヒーも買えますし、大変便利だろうなという風に思います。
千葉県内の房総エリアにある、7つのローソンで行われている取り組み。「この日の何時に行きます」と、事前に「専用サイト」で予約して、到着したらローソンの店員さんにチェックイン。するとそのまま、クルマを停めて一晩過ごせる仕組みなんです。
本来、道の駅や、サービスエリアで勝手に泊まるのはグレーゾーン。「ここでは宿泊しないでください」と案内を出しているところも。その代わりに広がっているのが、今回のような車中泊専用の駐車場「RVパーク」(RVはレクリエーショナル・ビークル=つまりキャンピングカーのこと)。トイレや電源、温浴施設が近くにあることなど、快適に泊まれる条件をクリアした場所だけが協会に認定されて、いま全国で560カ所まで増えているんです。
しかも最近は大型の豪華キャンピングカーだけでなく、軽自動車を改造した「軽キャン」まで様々。「マイカーをホテル代わりにする」スタイルが、どんどん身近になってきています。
降りられない?フェリーに泊まる「ふね泊」
ここまでバスで泊まる、コンビニ(クルマ)で泊まると来ましたが、「船に泊まる」というプランまで出てきています。ジャンボフェリー株式会社の永井 咲さんに伺いました。
ジャンボフェリー株式会社 永井 咲さん
運行中の「フェリー」をホテル代わりに利用できるプランというのを、この夏休み、販売しております。神戸の「三宮港」を夜7時台に出発するフェリーに乗船して、そのフェリーは深夜0時に対岸の「高松港」に到着するんですが、そこで下船せず、船内に滞在したまま、折り返し、また神戸港に朝戻ってくるというプランです。
あ、降りることが逆にできない。高松にフェリーはつくんですけども、一般のお客さんはそこで下船をされますが、このプランのお客様は下船ができないです。実質、神戸に1泊したことになります。基本料金が、一名様4990円。
このプランを始めたのが今年の2月なんですけど、関西地方の宿泊先にお困りの方にも届くプランなんじゃないかと思ったことが、発想のきっかけの一つです。
その名も「ふね泊」。行って帰ってくるだけなのに「泊まったことになる」というプランが、この夏かなり注目を集めています。船内にはお風呂や、軽食コーナーあるので、泊まるだけでも楽しいらしいのですが、さらに進化版「ふね泊1.5」「ふね泊2・0」というプランも登場。
旅行も財布に厳しい中で、様々な工夫が…。ホテル代が上がる中で、旅の形もずいぶん変わってているようです。
(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)