今月、瀬戸内を拠点に活動する人気アイドルグループのSTU48で新メンバーオーディションの開催が発表されましたが、今年はその姉妹グループのAKB48モーニング娘。
、櫻坂46、日向坂46など人気グループで続々とオーディションが行われました。このほか、中堅グループでも新人オーディションを開催するケースが目立っています。その理由や特色、求められる新人のタイプなどを考えます。

■アイドルグループで続々と新メンバーオーディションを開催される理由は⁉今年は大手人気グループから中堅のライブアイドルまで、数多くのアイドルグループで新メンバーオーディションが開催されています。

主なものをあげると、「モーニング娘。‘22×Juice=Juice合同新メンバーオーディション」「櫻坂46 新メンバーオーディション」「日向坂46 新メンバーオーディション」「モーニング娘。25周年記念オーディション」、「SUPER☆GiRLS 超絶オーディション!!!!!! 」「FES☆TIVE新メンバーオーディション」「フィロソフィーのダンス新メンバー“中途採用”オーディション」、そして最近まで募集していた「AKB48 第18期生メンバーオーディション」などが開催。

現在も応募受付中のものでは「STU48 第3期生オーディション」(12/9締切)、「なんキニ!新メンバーオーディション」(11/25締切)などがあり、九州発のアイドルグループ・LinQは「Unique × IQプロジェクト合同オーディション2022 」(11/30締切)を開催中です。

この数年、テレビの情報番組でオーディションの過程を追いかけるのがキラーコンテンツの一つとなり、今が数年周期で訪れるオーディションブームになっており、“なりたい”人が増えていると思われるのも、オーディションが増えている要因として考えられます。

一方今のタイミングは、転機を迎えているグループが多いというのもあります。たとえば、乃木坂46では人気メンバー・齋藤飛鳥さんの卒業発表で一期メンバーがほとんどいなくなるのも話題になりましたが、その姉妹グループの櫻坂46も、一般的知名度が高い欅坂46時代からのメンバーが少なくなってきたタイミングであります。

一時代を築いたアイドルグループの人気がスケールダウンしてしまうのは、黄金時代を支えた、一般的知名度の高いメンバーたちが卒業・脱退し、その穴を十分埋めきれない場合が多いのは、これまでのグループからの教訓としてあり、人気メンバーが一線でグループを引っ張っていっているうちに、次代を支える逸材の発掘を行うことは大事になります。


逆に、AKB48は“神7”といわれた人気メンバーがいた黄金時代に比べるとメディア露出は大きく減っていますが、現在のAKB48は、高いスキルを誇る岡田奈々さん、本田仁美さん、ルックスの可愛さに定評があり外部の仕事も多い小栗有以さんなど戦力が充実してきており、再ブレイクに向け準備が整いつつある状態にあるといえます。メンバーのルックスのレベルも、黄金時代よりも高いとも言われています。AKB48は17期メンバーがお披露目されてすぐのオーディション開催発表となりましたが、ここで一気に逸材を次々と発掘し再進撃をかけるという狙いかもしれません。

モーニング娘。は今年に入って2回目のオーディション開催、新しい人材の発掘に力を入れています。人気メンバーで特にダンスのスキルに定評のある加賀楓さんが12月で卒業。グループがさらに進化していくために、将来的に人気、スキルとも向上をもたらしてくれそうな新戦力が必要になってきます。またモーニング娘。やアンジュルム をはじめハロプロのグループは、この1、2年急速に女性からの憧れが高まり、メンバーになりたい人も増えてきていると思われます。

SUPER☆GiRLSは、長尾しおりさん、金澤有希さん、樋口なづなさんといった主力メンバーが続々と卒業を発表。グループ“第6章”となる新時代に向けて、次代を支えるメンバーの発掘が急務となっています。

九州発のアイドルグループ・LinQでは、中心メンバーの金子みゆさんがSNSで個人としてブレイク(フォロワーがinstagram25万人、twitter10万人。
ともに11月19日現在)、全国各地で開催されている大規模ファッションコレクションイベントにも出演、大きな歓声を浴びています。また所属事務所が東京の事務所と提携し、インフルエンサー育成や各メンバーの全国展開にも力を入れ、そのタイミングで、金子さんに憧れる層をはじめ、逸材を発掘しようという狙いだと思われます。

■大手では“原石”、中堅グループは即戦力性⁉これらのオーディションで審査ポイントについてですが、大手・大人数グループのオーディションではより“原石”を求める傾向にあり、現時点でのスキルに自信はなくても合格できる可能性はあります。

特に日本では、アイドルファンは、一人の未熟な少女が、オーディション~デビュー、そしてキャリアを積んでどんどん輝いていく“過程”を見るのが好きという人が多く(特にオーディションの段階で劣等生の人ほど肩入れされる傾向が強い⁉︎)、原石が求められる傾向にあるようです。

大人数のグループなら、新人のスキルが未熟でも先輩や経験者の同期がカバーすることが可能です。とはいえ、たとえばハロー!プロジェクトなどスキルの高さで定評のあるグループでは、未経験の原石であっても、ダンスや歌の素養は重視されると思います。また、現時点でのスキルは未熟でも、ほかの人にはあまりない特技や一芸がありそれがキャラクターとして昇華できるような人もポイントが高いと思われます。

原石を求めるオーディションでは、こんな問題も……。昨年開催の乃木坂46 5期生メンバーオーディションでは、合格した中西アルノさんが加入直後にセンターに抜擢されるも、加入前の活動やSNSが露見したり、岡本姫奈さんもSNSトラブルによりそれぞれ一定期間活動自粛となりました。特に犯罪行為を起こしていなければデビュー前の活動に言及されるいわれはないと思うのですが、やはり清純派を売りにしているグループにおいては、印象がよくない場合もあり、一部ファンから反発を買うおそれも。今後各社ともオーディション合格者発表の前に“身体検査”はより入念に行われるようになるかもしれません。

一方、中堅クラスで10人前後の大人数グループでも“原石”を求めるオーディションは多いですが、5人前後のグループで欠員を補充する意味合いの場合は、即戦力性が重視され、既存曲の歌唱や振付をすぐにマスターできるスキルが求められます。
よって、別のグループでアイドル経験のある人が選ばれるケースも目立ちます。中堅グループのオーディションでは“アイドル再生工場”、セカンドチャンスを与えるという側面もあります。

2010年ごろからアイドル戦国時代と言われるようになり、一時に比べるとその熱狂もクールダウンしているとはいえ、依然ライブアイドル、ローカルアイドルなど、次々とアイドルグループが生まれています。卒業、加入を繰り返し進化していくモデルのグループも多く、卒業したり脱退した“元アイドル”が数多く生まれます。学生生活を送ったり就職などで一般人に戻るケースもある一方で、まだ10代のうちにグループが解散になってしまった人など“不完全燃焼”“もうひと花咲かせたい”という人もいます。そういう人の受け皿として、機能している面もあります。

また主に中堅規模のグループのオーディションでは、最終審査前に候補者それぞれに動画配信を課して、ファン対応の資質を見たり、逆にファン目線の印象をはかったりする場合もあり、これもよりファンとの距離が近いグループならではのものです。

■オーディションを受ける人が心掛けておきたいこと…最後に、オーディションを受ける人目線の話も簡単に触れておくと……。アイドルのオーディションでまず重要になるのは写真ですが、特に“原石”を求めるオーディションでは自然体の写真が好まれ、「写真の加工はしないように」と注意書きされているケースもあります。仮に加工してかなり盛れたビジュアルで送っても、面接でバレてしまうので、結局その先へ進める可能性は低くなります。でも「まず会ってもらわないと始まらない。会ってもらえれば自分のキャラクターの良さを伝える自信がある」という人もいると思います。
オーディションに正解はありません。客観的に自分の特性を判断して考えればいいんじゃないでしょうか。

実技審査は、特に歌、ダンスのレッスン経験のない人にとってはかなり緊張感があると思います。もちろん事前に自分でできる限りの準備をしておくことは大事ですが、いったん審査会場に来たら、現段階で自分が持っているものを出しきって、元気に笑顔でパフォーマンスすること。周りの人と比べて自信をなくし、おどおどした気持ちでパフォーマンスするのは最悪です。もしも歌詞や振りを忘れても小さくならず、とにかく思い切ったパフォーマンスをすることが大事です。

アイドルを目指す人にとっても、アイドルを応援したい人にとっても、オーディションの数が増えるのは歓迎すべきこと。ますますの活性化で、アイドルブームが継続されることに期待です。

文/田中裕幸
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