それが「ピュアアエロ」シリーズ
1875年テニス発祥と共に創業したバボラ社。創業当時から、「プレーヤーの助けになることは何か?」と考えながらも、このように語っている。
バボラといえばストリングの専門メーカー、1世紀超をかけてその確固たる地位を築き上げ、ラケット、シューズと独自のテニスギアを作ってきた同社の根底には“プレーヤーの助けになることをやろう”という思いがある。
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「将来、強烈なスピンが世界を制する」と予言したバボラ社、先見の明が「アエロ」を創り出す
「将来、強烈なスピンが世界を制する」と
予言したバボラ社、ツアーの変化から得たものを具現化
それらバボラが作り上げてきた結晶の中でも、重要なギアとなるのが「ピュアアエロ・シリーズ」である。同シリーズといえば、まず思い起こすのはラファエル・ナダル(スペイン)だろう。全仏オープンを14度制覇し、グランドスラムで単独1位となる22度優勝と生ける伝説となっている“ラファ”は、アエロシリーズの前身となるモデルから使用を続けている。
今や「ピュアドライブ」と同じくバボラの代名詞となっている「ピュアアエロ」、その伝説のスタートは、2003年まで遡る。当時は、14度のGS優勝を誇るピート・サンプラス(アメリカ)のキャリア最終年にして、ロジャー・フェデラー(スイス)らがスターダムに駆けあがろうというタイミング。アンドレ・アガシ(アメリカ)が、ライジングショットを打ってはいたものの、ストロークの主流は“フラットドライブ”だった。しかし、そんな中で、次世代の波をキャッチしていたのがバボラである。
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ブーメラン型のフレーム「アエロビーム形状」の開発、これがすべてを生むきっかけとなった
当時、空気抵抗に注目していたメーカーは皆無。そんな中、空気抵抗が15%減するブーメラン型のフレーム「アエロビーム形状」を開発して、同ラケットを開発する。プロでは元世界ランク2位のアレックス・コレチャ(スペイン)などが使用した画期的ラケットではあったが、時代を先取りしすぎたのかもしれない。非常に剛性の高いラケットであったため、プロにしか打てないものとして、一般ユーザーには受け入れられるものではなかったのだ。ある意味、失敗してしまったと言ってもいいチャレンジングなラケットだったが、非常に大きなメリットを学ぶことができた。
「シャフトをいじることで、これだけ空気抵抗を減らすことができる、という実績を作ることができたのです」とバボラ・ジャパンの大塚正人氏は振り返っている。
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原型に技術を掛け合わせて完成度を高める
2004年モデルには「ウーファー」を搭載
大きな一歩となった「アエロツアー」を作ったことで蓄積したノウハウを活かして、2005年に発売に至ったのが「アエロプロドライブ」である。空気抵抗の少ないフレームの欠点であるホールド性の低さを、「ウーファー・グロメット・システム(打球時にストリングが連動して動くシステム。ボールとストリングの接地時間が長くなる)」を搭載することで大きな強みに変化させる。名前こそ違うが、このラケットは現行「ピュアアエロ」の原型と言うべきモデルである。
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ウーファー・グロメット・システム採用で「アエロプロドライブ」は強力な武器となる
そのポテンシャルの高さがわかったからだろう。
先行で使用していたプロたちからのプッシュを得て2005年に販売。そして同年の全仏オープンで、アエロシリーズとして、バボラとして非常に大きな出来事が起こる。初出場のナダルとマリアノ・プエルタ(アルゼンチン/当時37位)と「アエロプロドライブ」を使用する両者による決勝が実現したのだ。結果はご存じの方も多いだろう。セットカウント3-1でナダルが初出場初優勝という快挙を達成するのだ。スピードとスピンを兼ね備えたボールを打つナダルの優勝、それはバボラの先見の明が実証された瞬間でもあった。
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2007年発売の「アエロプロドライブ」で
“コアテックス”を初採用し、より高いレベルのラケットに
2007年に大きく進化させた「アエロプロドライブ(2007)」を発売する。特筆すべきは「V型のコアテックス」を搭載したことだ。それを2009年発売「アエロプロドライブ(2009)」でアップデート。
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「コアテックス」テクノロジーが、アエロの完成度をより高めた
打球時に発生する振動には、人間が心地よく感じるものと不快に感じるもの、双方が存在する。「コアテックス」テクノロジーは、その不快に感じる振動・周波数を取り去るというシステム。
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このアエロシリーズには、もう一つバボラにとって大事な物語がある。それはディナラ・サフィーナ(ロシア)が、2009年4月に世界ランク1位となり、ナダルと共に男女1位となったこと。彼女が使用していたラケットは「アエロプロドライブ」と同じテクノロジーを採用した「アエロストーム」。2003年、“将来、強烈なスピンが世界を制する”と作った新シリーズは、一つ結実の時を迎えたのだ。
<バボラ「アエロ伝説」後編に続く>
取材協力:バボラVSジャパン