選手のストレス発散で「激怒の部屋」設置
テニス界で、選手のプライバシー保護と試合後の感情コントロールが大きな議論を呼んでいる。これを受け、一部のトーナメントでは、選手がカメラを気にせず感情を爆発させられる専用スペース「レイジ・ルーム(激怒の部屋)」を導入する動きが始まった。
【動画】完敗直後に怒りが収まらず…ガウフがラケットを破壊したシーン
この議論が加速したきっかけは、今年1月の全豪オープンである。ココ・ガウフ(アメリカ/女子世界ランク3位)は、準々決勝で敗北した後、コートを離れた通路でラケットを何度も地面に叩きつけた。
ガウフ本人はプライベートな空間だと思い込んでいたが、その様子はカメラに捉えられており、世界中に放送された。この事態に対し、ノバク・ジョコビッチやイガ・シフィオンテクといったトッププレーヤーたちが、オフコートでのプライバシー確保を強く求めた。
シフィオンテクは、選手が常に監視されている現状を「動物園の動物」に例え、排泄時ですら観察されているかのようだと厳しく批判した。また、ジョコビッチも「カメラのない場所でフラストレーションや怒りを吐き出せないのは非常に悲しいことだ」と述べ、コンテンツ制作を優先するあまり、選手の聖域が侵されている現状に反対を表明している。
こうした選手の不満に応える形で、アメリカ・オースティンで開催されるWTA250大会「ATXオープン」は、テニス界初となる公式の「激怒の部屋」を設置した。
カメラのない安全な環境で、選手がプライベートに感情を表現できるスペースを提供。室内には「笑うな」「3つ数えろ」「君ならできる」といった言葉と共に、壊れたラケットのイラストが添えられている。
また、現在開催中の「ドバイ・デューティ・フリー・テニス選手権」では、ファン向けに「スマッシュ・ルーム」トラックを用意。中国のシャン・ジュンチャンがこれを体験し、「DVDや大きな容器を破壊した。コートにフラストレーションを持ち込む前に、システムからすべてを吐き出せるのは良い経験だ」と感想を述べている。
SNS上での反応は概ね好意的だが、一部では「物理的な手段での感情発散を助長するのではないか」という懸念の声も上がっている。選手のパフォーマンス向上とメンタルヘルス保護、そしてエンターテインメント性の両立。レイジ・ルームやスマッシュ・ルームは、そのバランスを模索するツアーの新たな実験と位置付けられそうだ。



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