再生可能エネルギー導入拡大にむけ、ソニー、デジタルグリッド、そして愛知県刈谷市に本社をおく FD の3社は、ソニーグループ敷地外の太陽光発電設備で発電した電力を活用した自己託送を4月から始める。
自己託送とは、遠隔地の太陽光発電設備で発電した電気を、送配電事業者の送配電設備を介して送電し、自社施設や自社グループの施設でその再生可能エネルギーを利用するという仕組み。
2月24日のオンライン発表には、FD 鈴木政司 代表取締役社長、ソニー HQ総務部 EHSグループ 井上哲シニアマネジャー、デジタルグリッド 豊田祐介 代表取締役社長が登壇。3社の役割と協業メリットについて説明した。
今回の3社による自己託送は、愛知県東海市にあるソニーグループ敷地外の牛舎の屋根に設置した約400kWの太陽光発電設備で発電したソニーグループの電力を、電力会社の送配電ネットワークを介し、約30km離れたソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズの幸田サイト(愛知県額田郡)へ送電。発電した電力の自家消費を実現させる。
この自己託送で、ソニーは自己託送の企画・運用、FDは設備の設置・施工・所有、デジタルグリッドは発電予測などの技術支援を担当。
FDとデジタルグリッドの持つ技術やシステムを構築・導入することで、メガワット級の太陽光発電設備を活用した事例に続き、天候などによって出力が変動する太陽光発電設備の活用に必要な発電量予測と運転監視も実現させる。
またオンライン発表では、「牛舎の屋根に発電用パネルを設置することで遮熱効果を生み3度ほど室内温度が下がる。夏季の酷暑・猛暑から牛たちを守り、死亡事故減少にもつながる」とも伝えていた。
牛舎を経営する側は、ソーラーパネル設置で屋根の賃貸収入が入り、新たな副収入が確保でき、費用負担なしで遮熱効果を得るというメリットも生む。
また自社の敷地には限界があるソニーは、今回の事故託送で敷地外を活用でき、再エネの調達手段が広がった。今回は、FD が所有する太陽光発電設備を利用したことで、大規模投資することなく再エネを現在の電力より安価に直接調達できた。
いっぽう FD は、サービス提供先の場所に関わらず、太陽光発電設備を設置した場所から提供でき、再エネ需要企業などサービス提供先を選択できるというメリットを生む。
さらにサービス契約の解約があったとしても、設備を撤去することなく他の再エネ需要企業に提供でき、解約リスクも軽減できる。今回は牛舎という一次産業分野への貢献も果たせたかたち。
今回の3社による自己託送運用で、年間約192トンのCO2を削減する見込み。



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