2022年2月21日(月)、香川県の多度津工場で2代目「伊予灘ものがたり」の報道公開が行われました。
昨年12月に引退した初代「伊予灘ものがたり」からデザインを継承しつつ、より快適な空間を提供できるよう設備面でのブラッシュアップが図られました。
列車のコンセプトは『レトロモダンな車内で大切な人と過ごす、上質な非日常空間』――”愛媛県のこだわり【食、景色、伝統工芸】を楽しみながら、人々の温かさにふれる、ここにしかない鉄道旅-ものがたり-“が楽しめる観光列車です。
1号車・2号車は「いつも手を振って下さっている地域の皆様にこれからも愛される車両であるよう、号車の愛称名や室内イメージは初代『伊予灘ものがたり』のデザインを踏襲」していますが、今回から新たに加わる3号車については「大切な人と過ごす時間と空間」がコンセプト。定員8名のグリーン個室「Fiore Suite(フィオーレスイート)」を設置しています。
早速車両外観や室内の様子を見ていきましょう。
車両外観



外観は伊予灘の夕景をモチーフとしたシンボルマークや茜色と黄金色のカラーリングで、側面に大きく描かれた環デザインのヱ雲(えぐも)などを引き継ぎました。初代車両はあくまでラッピングでしたが、2代目「伊予灘ものがたり」はJR四国の車両で初めて全面にメタリック塗装を施しているのも特徴です。ヘッドマークはLEDのバックライトでシンボルマークが浮かび上がる仕様となっています。
「初代」のイメージを受け継いだ1号車・2号車内装




1号車「茜の章」は定員27名。海向き展望シート、2人掛け山側シート、4人掛けボックスシートを備えます。2号車「黄金の章」は定員23名。同様に海向き展望シートを備えますが、ボックスシートはなく、2人掛け海向きペアシート、2人掛け山側シートが用意されています。
キハ185系改造車を使用することで、従来の車両より全体的にゆったり広々としたつくりとなりました。椅子なども若干サイズアップしています。
車内設備として前面展望ライブ映像を楽しめる車内Wi-Fi、フリーWi-Fiを備え、座席ごとにUSBコンセントを設置しています。各車両の照明はみかんをモチーフにした電球型で、一部は夕日をイメージしたオレンジの明かりなどに切り替わり、普段と異なる雰囲気を演出することもあるようです。
トイレは2号車に多目的トイレ、3号車に女性専用トイレと男女共用トイレを設置。車内で飲食ができる車両ですから、混雑を避けるねらいもあり、設置数を増やしています。




3号車「陽華の章」


今回一番の目玉となるのは3号車「陽華の章」。JR四国では初めてとなる2~8名まで対応可能なグリーン個室「Fiore Suite(フィオーレスイート)」を1室新設。コンセプトは「大切な人と過ごす時間と空間」で、誕生日や結婚祝いなどの際に貸し切り利用できる空間として設計されています。
1・2号車と同様にレトロモダンをコンセプトとしつつ、アールデコ調のデザイン、かつ高揚感あるクラシックなインテリアでまとめました。照明は伊予灘のあたたかい光のしずくをイメージし、サクラ材の壁には全面に桜小紋をあしらっています。
海を向いたテーブルの鏡面には空のきらめきが映りこみ、伊予灘の青の海へと続く視覚効果を生み出しています。
また入口カウンターの奥にサービスギャレーを設けたことで、初代「伊予灘ものがたり」のオープンカウンターではできなかった「温かい料理の提供」も可能になりました。
デビューは4月2日、前日には新旧並べた撮影会ツアーも
2代目車両となり、外観内装とも様々な部分がグレードアップした「伊予灘ものがたり」。デビューは2022年4月2日(土)大洲編で、当日は特別ツアーでの運転となります。みどりの窓口などでの一般発売は2022年4月3日(日)運転分からで、こちらは3月3日より発売を開始します。
また、新たな「伊予灘ものがたり」のデビューを記念し、2022年4月1日(金)に「初代車両と新車両を見学できる特別ツアー」も開催。「伊予灘ものがたり」初代車両はツアー終了後に廃車となるため、新旧車両を同時に閲覧できる最後のチャンスとなっています。



記事:一橋正浩