※2022年8月撮影
トップ画像は、JR四国予讃線菊間駅。本屋屋根の上に越屋根ならぬ「採光」の塔がのっています。
塔というには「屋根からの高さが足りない」という気もします。屋根の分類がコラムの本意ではありませんが、なかなか難しいモンですね。
駅舎正面からは、塔らしい姿の高徳線板東駅。
しかし横から見ると塔というよりも切妻屋根、大棟の巨大な装飾の様に見えます。
徳島線学駅、どこから見ても駅舎の屋根に塔がのっています。塔に何かしらの機能的な目的があるか否かは不明です。
シンプルな切妻屋根の上にある塔。違和感は感じませんが異様というほどに目立ちます。
徳島線貞光駅の駅舎にも、装飾的な塔がそびえています。
文句なく屋根の上の塔です。
これらの越屋根や塔のある駅舎から筆者は1980年代に流行したポストモダン建築を懐かしく思い出しました。
例えば愚弟の先輩で恩師の石山修武さん。盛期ルネサンスを代表する建築課ブラマンテのサン・ピエトロ・イン・モントリオ教会のテンピエット(円形小堂)を引用した「伊豆の長八美術館 」(静岡県賀茂郡松崎町)。鏝絵の天才長八の見事な作品を見ることで愉しみが倍加されます。
また筆者のかつての通勤路にある「星の子愛児園」(JR東日本南武線稲田堤駅)は、ピンク色のモスラの幼虫!で見る度に和んでしまいます。昔は周囲に住宅などが無くてピンクの幼虫がハッキリ見えたのですが撮影した古い写真が見つけ出せません。
筆者は、合理性や機能主義一辺倒の禁欲的な単純さも決して嫌いではありません。しかしポストモダン的な記号性や正面性を持つ建築にはどこかしらホッとする穏やかさを感じます。勝手に“JR四国的アイコン”と呼んでいるこれらの装飾的要素は、駅という機能に人間的な温もりを付加していると思うのです。
JR四国木造駅舎総集編、もう少し続けます。
(写真・文/住田至朗)
※駅構内などはJR四国さんの許可をいただいて撮影しています。
※駅などについては『JR全線全駅』(弘済出版社/1997)、『週刊朝日百科 JR全駅・全車両基地01-60』(朝日新聞出版/2012-2013)、『山陽・四国920駅』宮脇俊三・原田勝正編(小学館/1993)、『停車場変遷大事典 国鉄 JR編1-2』(JTBパブリッシング/1998)他を参照しています。
※タイトルは『木造駅舎』ですが、厳密に「構造として木造建築」の駅舎ではなく、筆者が気に入った駅舎を恣意的に選んでいます。明らかに木造建築と異なる場合でも、煩雑を避けるためタイトルは【木造駅舎コレクション】で進行します。悪しからずご了承ください。
※鉄道撮影は鉄道会社と利用者・関係者等のご厚意で撮らせていただいています。



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