※2022年8月撮影
トップ画像は、JR四国土讃線繁藤駅。新改駅の到達しにくさとは正反対に国道32号線に面しています。
土讃線では、影野駅~土佐久礼駅間の10.7kmを筆頭に、二番目がもう一つのスイッチ・バック駅坪尻駅と讃岐財田駅間の8.2km、そして土佐山田駅~新改駅間の7.4kmと続き、新改駅~繁藤駅も6.3kmと辛うじて4位を塩入駅~琴平駅間の6.4kmに譲る程度に長いのです。「山間部の人口希薄エリアに駅がある」とも言うことができます。
国勢調査のデータ(2010年)から、新改駅を中心にした500mの円内には3世帯9人の住民でした。高知県内では、土佐北川駅が4世帯7人と最も少なく、繁藤駅は同じ範囲に27世帯61人が住んでいます。
国道沿い、保線車両の間から島式ホームの駅名標が見えました。
望遠レンズで撮ります。右が新改駅の下り方面。
繁藤駅は、1930年(昭和5年)開業。当初駅名は「天坪(あまつぼ)」でした。
1972年(昭和47年)7月豪雨で駅前の山が崩落、駅に停車中の機関車と客車を押し流しました。それまでの小崩落で行方不明になった消防団員を捜索していた120名を含む周辺住民、列車の乗務員・乗客が大量の土砂に押し流され、死者60名という大災害が起きました。(高知県香美市の『繁藤大災害から40年』という広報資料に詳細が載っていました。繁藤災害)
1987年(昭和62年)国鉄分割民営化でJR四国の駅になっています。
国道の反対側から駅舎。
このモダンな駅舎の建築時期は分かりません。繁藤災害の写真などを見る限りでは駅舎そのものに被害はなかった様に見えます。いずれにしても大幅に改修されています。特に屋根の上に載った装飾風の瓦屋根は明らかに新しい様に見えました。
1981年(昭和56年)の繁藤駅舎の写真がありました。瓦葺き、駅出入口の形も異なっています。
国道32号線はこの先土讃線と穴内川沿いを並走します。穴内川が吉野川に流れ込んだ後は、吉野川に沿って大歩危駅、小歩危駅方面に向かいます。
駅出入口。サッシの引き戸。駅名は緑色です。
待合室。無人駅ですが窓口は残っています。
窓側にもう一つ木製ベンチが置かれています。
ホーム側には、ラッチ風のきっぷ回収箱があります。
次回はホームに出ます。
(写真・文/住田至朗)
※駅構内などはJR四国さんの許可をいただいて撮影しています。
※駅などについては『JR全線全駅』(弘済出版社/1997)、『週刊朝日百科 JR全駅・全車両基地01-60』(朝日新聞出版/2012-2013)、『山陽・四国920駅』宮脇俊三・原田勝正編(小学館/1993)、『停車場変遷大事典 国鉄 JR編1-2』(JTBパブリッシング/1998)他を参照しています。
※タイトルは『木造駅舎』ですが、厳密に「構造として木造建築」の駅舎ではなく、筆者が気に入った駅舎を恣意的に選んでいます。明らかに木造建築と異なる場合でも、煩雑を避けるためタイトルは【木造駅舎コレクション】で進行します。悪しからずご了承ください。
※鉄道撮影は鉄道会社と利用者・関係者等のご厚意で撮らせていただいています。



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