「スパリゾートハワイアンズ」を筆頭とするリゾート施設、いわき湯本温泉などの観光資源も豊富で、水揚げされた水産物は「常磐もの」として高く評価される……観光客にも人気の福島県いわき市に、2023年1月15日、新たなホテルが登場しました。その名も「ホテルB4Tいわき」――JR東日本グループの新たなホテルブランドです。

「ホテルB4Tいわき」の特徴は、何といっても「Suica」を客室キーとする「Suicaスマートロック」のシステムを導入していること。チェックイン/アウトだけでなく、客室フロアへの入場やエレベーターでの移動時、自分の部屋に入室する際のルームキーなどを「Suica」で代替できます。


客室は夜行列車の寝台にも似たキャビンタイプのほか、1人~2人で宿泊できるシングルの2タイプがメイン。そのほかにも部屋数は少なくなりますが、上質なビジネスホテルのようなツイン、デラックスツイン、ユニバーサルツインなども用意されています。
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Suicaを鍵にするメリット・デメリットは?

実際に試泊してみました。今回はiPhoneにモバイルSuicaをインストールし、チェックインから翌朝のチェックアウトまで端末一台で過ごしてみます。入室時の様子を動画にしていますので、下記Twitterの埋め込みからご確認ください(※記事配信先では正常に表示されない場合があります。もし閲覧できない場合は「鉄道チャンネル」本サイトでご覧ください)。
15日にオープンした「ホテルB4Tいわき」の取材に来ています。Suicaを客室キー代わりにできるということで、スマートフォンにモバイルSuicaアプリをインストールして試してみました pic.twitter.com/YUHI8uVLB2
— 鉄道チャンネル (@TetsudoCh_sub) January 21, 2023
結果はご覧の通り。カバーを付けたままのスマートフォンを客室の端末にかざし、問題なく入室できました。気持ち強めに押し当てるのがコツでしょうか。
スマートフォンで部屋の予約→チェックイン(アウト)→部屋の入室の流れを手持ちのスマホ1台で済ますことができるのは非常に便利です。スマホ1台あれば後は何もいらない――フロントでの受付や鍵の受け渡しがなくなるのは、券売機に立ち寄らずSuicaで改札を出入りする手軽さに近いものを感じます。
もっとも、モバイルSuicaの場合はバッテリー切れが怖いところです。特に同じスマホを数年使い続けて爆速で充電がなくなるタイプの人は要注意。記者もホテルに到着した瞬間にスマホを充電して外出するというルーチンが染みついているため、鍵=Suicaを部屋の中に置いたままオートロックの部屋を出てしまういわゆる「インキー」をやらかしそうになります。
「肌身離さず持ち歩く」が染みついていればよいのですが、一般的なビジネスホテルに慣れている人ほどこうしたヒューマンエラーを起こしかねません。簡単な対策として、部屋の扉に「部屋の鍵(Suica/モバイルSuica)はお持ちですか?」といった注意書きを貼っておく、部屋の外に締め出されてしまった時の対応を掲示するといった形で分かりやすくすると良いのでは、と感じました。
なお実際にやらかした時はフロアにある電話でホテル側のスタッフと連絡を取ることができます。「ホテルB4Tいわき」は一見するとフロントさえない無人ホテルのようですが、もちろん本当に人がいないわけではなく、バックヤードではスタッフさんが待機しています。記者は今回の宿泊でチェックアウト後に忘れ物に気付き、チェックイン端末の間にある電話で部屋の開錠をお願いしましたが、スムーズに対応していただけました。
課題はあれど慣れれば快適?高コスパな駅直結ホテル
開業当初はこのほかにも、日付をまたいで到着した際にSuicaチェックインなどができなくなるというシステム上の問題がありましたが、当日ご取材対応いただいたホテルB4Tいわき 武内支配人によればすでに改善を行っているそうです。
武内支配人によれば、「Suicaを客室キーの代わりにできる」「無人でチェックイン/アウトできる」ためか、チェックアウトを忘れて帰られるお客さんもいらっしゃるとか。フロントに立ち寄る必要がないからこその問題ですね。新しいシステムで、しかも開業間もないこともあり、まだシステムや宿泊フローに改善の余地はありそうです。
とはいえ、慣れれば快適に過ごせるでしょう。省人化や無人化でコストを削減した分、一泊の値段を抑え宿泊設備のグレードは高めに――ホテルB4Tいわきはそんなホテルです。また駅直結ということでトレインビューになっている部屋もあり、いわき駅を出発するE657系特急「ひたち」などが眺められるのも鉄道ファンにはポイント高めでした。個人的な意見ですが、トレインビューのお部屋は指定して予約できるようになると嬉しいです。
記事:一橋正浩
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