JR東日本と東急グループの新しい協力関係が2023年2月にスタートする。JR東日本と東急グループの不動産会社・東急不動産ホールディングス(HD)は、持続可能な街づくりなどを目的とする包括的業務提携契約を交わした。
首都圏でも長く続いた人口増加が終わり、人口減少に転じるこれからの時代、鉄道業界も沿線間競争が激化するとされる。沿線に多くの土地資産を持つJR東日本は、東急不動産HDや、事業会社の東急不動産の開発や管理、売買のノウハウを活用して、選ばれる沿線づくりへの取り組みを強化する。
提携分野は住宅開発にとどまらず、駅前複合開発なども視野に入れる。実際の業務では、両社の総合力で開発スピードを加速させ、収益性も向上させる。提携期間前半に当たる今後5年間では、総額1000億円規模の事業収益を目指す。
携予定案件の第1号は、千葉県船橋市にあるJR東日本グループの社宅跡地を再開発する「(仮称)船橋市場町プロジェクト」だ。
対象地は、JR総武線船橋駅の東側約1キロ。東京ドームとほぼ同じ約4万5000平方メートルの用地に住宅(約800戸)や商業施設、再生可能エネルギー発電施設、コミュニティー施設などを整備する。着工時期は未定。完成時期は2026年以降を予定する。
両社は今後、共同の海外事業も視野に入れる。
共同会見では、JR東日本の深澤祐二社長が「当面は、社宅跡地の開発を加速化させたい。提携に弾みを付けるためにも、船橋の市場町開発で大きな成果を挙げたい」と抱負。東急不動産HDの西川弘典社長は「両社が力を合わせることで、地域発展につながるさまざまな事業に弾みが付く」と述べた。
JR東日本と東急グループは従来から相互のネットワークを持ち、2012年には東急系の東急車輛製造がJR東日本グループに事業譲渡され、「総合車両製作所」に。〝100年に一度の再開発〟が進む東京・渋谷エリアでも、両社が地域開発に取り組んでいる。
記事:上里夏生



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