香川県の都市計画事業として構想されていた、高松琴平電気鉄道(ことでん)の高松築港駅から延長約3キロ区間を高架化する「高松琴平電鉄連続立体交差事業」について、事業廃止の方針が正式に決まった。県の「琴電連立検討委員会」は2023年3月末に香川県庁で開催した6回目の会合で、「事業廃止しても問題はない」の結論にいたった。
地上を走る鉄道路線を高架化または地下化して踏切をなくし、交通混雑や地域分断を解消する連続立体交差事業は、一般に自治体の都市計画事業として実施される。
香川県を中心に、高松市とことでんが共同で取り組むことでん連立化は、都市内交通の安全化・円滑化や都市の発展を目的に計画された。高松築港駅を起点とする琴平線は栗林公園駅(手前)までの2.59キロ、瓦町で分岐する長尾線は花園駅(手前)までの約0.96キロを高架化。高松築港、片原町、瓦町の3駅が高架上に上がり、28カ所の踏切がなくなる予定だった。
さらに、高松築港駅付近は線形を変更。移設後の同駅は、JR高松駅に隣接する「サンポート高松」に乗り入れ。県や市はサンポートを核に、都市拠点機能を強化する方針だった。
連立事業は1998年7月に都市計画決定、2000年3月には事業認可を受けたが、自治体側の財政事情などで、事業がスタートしないまま10年を経過。2010年3月に事業中止が決まり、翌2011年3月には事業認可期間が終了した。
その後も都市計画自体は残っていたが、現状のままでは踏切の交通対策が取りにくくなるなどの事態も想定されるため、香川県は有識者や四国運輸局、四国地方整備局、高松市、ことでんなどをメンバーとする検討委を2020年9月に設置。住民の声を聞くパブリックコメントを経て、都市計画廃止を判断した。
ちなみに2022年11~12月の住民アンケートでは、ことでんが地上を走ることによる生活上の不都合について、「特にない」と「許容の範囲」を合わせると85%の大勢を占めた。
検討委で事業廃止の方向性が示されたことについて、香川県の池田豊人知事は、「県は2023年4月以降、高松市とともに住民との合意形成を図りながら手続きを進める。同時にボトルネック踏切対策として、環状道路整備に早期に取り組みたい(大意)」のコメントを発表した。
記事:上里夏生



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