次世代の完全自動走行・新交通システム! 駅間の架線を無くしガ...の画像はこちら >>

三菱重工業は、全自動無人運転車両システム(AGT)の新たなブランドとして、環境に配慮した「Prismo(プリズモ)」を開発し、市場に投入しました。駅での急速充電と、走行中の回生蓄電を融合させることで運行を行います。

また、センターガイド方式の採用により、スリムな軌道設計が可能になり、インフラ建設費の大幅な削減や、景観向上に寄与します。
AGT(Automated Guideway Transit)とは、鉄道や路面電車などと異なり、自動運転ができるような新しいシステムを装備した軌道系輸送機関で、「新交通システム」と呼ばれるものの一つです。東京の”ゆりかもめ”や神戸の”ポートライナー”、大阪の”ニュートラム”などのように、高架上を小型車両で運行しているものをイメージしてください。

駅停車中の急速充電+車両減速時に発生する回生電力の蓄電

従来のAGTでは、軌道に設置された架線・給電レールにより車両に給電を行っていましたが、「Prismo」は、駅に停車中の車両に対して急速充電を行う事が主な車両への給電方法となります。それに加えて減速時に車載蓄電を行う新しいエネルギーマネジメントシステムを搭載しているそうです。
この新しい給電方式を採用することで、駅間の架線が不要になり、停電発生時にも次の駅まで乗客を送り届けることが可能となるそうです。また、車両の減速時に発生する回生電力を効率的に蓄え活用することで、従来のAGTシステムに比べ約10%の省エネ運行とCO2排出量削減を実現しました。

センターガイド方式により軌道構造物の大幅削減

次世代の完全自動走行・新交通システム! 駅間の架線を無くしガイドレールは中央1本のみに! 三菱重工「Prismo」を開発
従来のAGTでは、進行方向を制御する「ガイドレール」を、車両の左右両側に設置する形式が一般的でしたが、「Prismo」では、ガイドレールを車両の中央下部に配置する「センターガイド方式」を採用することにより、軌道をスリムに設計でき、インフラ建設費を大きく削減できるとしています。また、架線やガイドの削減は、電気・軌道設備の点検・交換作業を減らし、保守コストの低減にも寄与します。

次世代の完全自動走行・新交通システム! 駅間の架線を無くしガイドレールは中央1本のみに! 三菱重工「Prismo」を開発
スリムな軌道設計で景観も良好に

広島県三原市の工場で生産

「Prismo」の車両は、三菱重工の「カーボンニュートラルトランジションハブ三原(広島県三原市)」で製造されます。この工場は必要な電力の全てを太陽光発電などで賄い、CO2排出量を97.5%削減しています。これにより、車両の製造・建設時のCO2排出量は従来に比べ約40%以上削減され 、ライフサイクル全体では約6,400トンのCO2削減が見込まれています。

次世代の完全自動走行・新交通システム! 駅間の架線を無くしガイドレールは中央1本のみに! 三菱重工「Prismo」を開発
イメージ
次世代の完全自動走行・新交通システム! 駅間の架線を無くしガイドレールは中央1本のみに! 三菱重工「Prismo」を開発
カーボンニュートラル工場(イメージ)

三菱重工のAGTシステム技術

三菱重工は1910年以来、交通製品製造に長い歴史を持ち、鉄道の安全を支えてきました。AGTは電力駆動によって完全自動走行する新交通システムで、ゴムタイヤ方式により低振動かつ低騒音である点が特長です。ゴムタイヤを採用することで、鉄道よりも急な勾配でも対応が出来るという利点があります。三菱重工は、すでに国内外で多数のAGT納入実績を有しています。今後、世界各地での都市内交通および空港内・周辺の移動用として、採用されるためには、今回の新しいAGTの技術が大きな後押しとなるのではないでしょうか(画像:三菱重工業)

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