イノトランスアジアへの期待を語り合うメッセベルリンやSTB関係者(画像:メッセベルリンのオンライン中継から筆者撮影)

世界最大の鉄道見本市・イノトランスが2年後にアジア初開催される。「イノトランスアジア」は2027年9月7~9日、シンガポールEXPO展示場で。

イノトランスは、ドイツ・ベルリンの見本市会場・運営会社のイノトランスが主催。1996年が初回で、隔年で回を重ねる。近年は日本企業も積極的に出展する。

アジアは、日本が参画するインド高速鉄道プロジェクトのほか、東南アジアでも高速鉄道や都市鉄道、LRT(次世代型路面電車)などの整備計画が目白押し。メッセベルリンは、イノトランスのサテライト開催の適地と判断した。2027年はベルリン開催のない〝裏年〟にあたる。

イノトランスアジアが開かれる、シンガポールEXPO展示場は1999年にオープンした。シンガポール国際空港のチャンギ空港から、地下鉄(MRT)でわずか一駅という地の利が最大の売り物。展示場内には1万平方メートル規模のホール10施設があり、年間平均800件前後のイベントや国際会議が開催される。

会場から徒歩圏には2カ所のホテルがあり、開催環境の面で不足はない。

シンガポールは日本がお手本にしてきた観光立国で、国を挙げて広義の国際会議を意味するMICEを誘致。イノトランスアジアも、シンガポール政府観光局(STB)がメッセベルリンに誘致を働き掛けてきた。

メッセベルリンとSTBは2025年6月30日、相互協力してイノトランスを成功に導く協定にサイン。

中核2社のうち、メッセベルリンのディルク・ホフマン所長は「イノトランスアジアは、ベルリンの国際見本市を補完する意味合いを持ち、世界規模での鉄道技術の普及推進に貢献することを確信する」と期待を述べた。

STB産業開発グループのオン・フエイ・ホン次席は、「イノトランスアジアの会場にシンガポールが選ばれたことは、今後のMICE誘致にはずみを付ける。2027年のイベントは鉄道技術を進化させることを信じている」と述べた。

記事:上里夏生

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