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※2025年6月撮影

トップ画像は、北千住駅西側の旧日光街道を南下して大踏切通りとの交差点角にある足立成和信用金庫本店の壁面。「千住川」と読み取れる巨大なアートが飾られています。

アートの前に、この様な説明がありました。

つくばエクスプレス【駅ぶら】020 北千住駅 その3 旧日光街道 やっちゃ場
※2025年6月撮影

内容は以下です。

「『千住川』

長谷川雪旦(はせがわせったん)画

(江戸名所図会より 江戸後期の画家 1778~1843)

荒川の下流で、隅田川や浅草川よりも上流あたりを千住川と呼んでおります。当時、千住は川越と江戸を結んだ舟運の発着中継地で、この辺りは高瀬舟の往来で賑わっておりました。

当金庫では創立90周年を記念し、本店新築の際、当時の千住の地の賑わいの様子を描いた『千住川』の絵をパンチングアートとし歴史の伝承をしております。」

地元の信用金庫さんのユニークな取り組みですね。

足立成和信用金庫本店出入口には、松尾芭蕉の木像。

つくばエクスプレス【駅ぶら】020 北千住駅 その3 旧日光街道 やっちゃ場
※2025年6月撮影

脇の説明パネルには、制作:鹿沼地区木材需要拡大協議会、足立区と友好都市である鹿沼市の杉をチェーンソーアーティストの小林哲二さんが削って作ったものだと書かれています。

大踏切通りとの交差点に「千住高札場跡」の石碑がありました。

つくばエクスプレス【駅ぶら】020 北千住駅 その3 旧日光街道 やっちゃ場
※2025年6月撮影

足立区のサイトに、この高札場に最後に掲げられた勝海舟揮毫の高札がありました。

交差点の反対側には「一里塚跡」の碑。旧日光街道の一里塚があったのかしら。

つくばエクスプレス【駅ぶら】020 北千住駅 その3 旧日光街道 やっちゃ場
※2025年6月撮影

旧日光街道をさらに南に歩くと、木札が架かっています。

左は「元青物問屋 中野屋」右は「元千住葱(ねぎ)専門問屋 柏屋」とあります。千住ネギは、江戸伝統野菜と聞いたコトがあります。ネギ好きの筆者は、興味が湧きました。

つくばエクスプレス【駅ぶら】020 北千住駅 その3 旧日光街道 やっちゃ場
※2025年6月撮影

流石、この辺りは元青物市場(やっちゃば)だっただけのことはあります。ここにも元青物問屋の木札。でも兼業が「たくあん卸」。

つくばエクスプレス【駅ぶら】020 北千住駅 その3 旧日光街道 やっちゃ場
※2025年6月撮影

隣の「名人鯉の隠居」の内容も面白いので、興味のある方は、お散歩してください。有名な千住の酒合戦のお話しです。

旧日光道中、是より西へ大師道。という道標があります。

つくばエクスプレス【駅ぶら】020 北千住駅 その3 旧日光街道 やっちゃ場
※2025年6月撮影

確かに、西というか北西に西新井大師がありますね。

「昭和5年 千住市場 問屋配置図」がありました。

昭和5年は1930年。ほぼ100年前です。

つくばエクスプレス【駅ぶら】020 北千住駅 その3 旧日光街道 やっちゃ場
※2025年6月撮影

写真の赤い点が現在位置、この掲示の置かれている場所です。黄色は上で見た木札の問屋さん。

「やっちゃ場 追想 大正・昭和初期」というパネルがあります。読んでみると、とてもリアルで面白い、名文です。

つくばエクスプレス【駅ぶら】020 北千住駅 その3 旧日光街道 やっちゃ場
※2025年6月撮影

写します。

「裸電球の灯る早暁の市場、夏のやっちゃ場は朝が早い 3時近くになると問屋のせり場に続々と集まってくる出仲買人(投師)や仲買人の黒い人影。

そして甲高いせり人の声がひびき渡る。

主人、番頭がせり始める それぞれ得意の品物をせる。

数十軒の問屋でいろいろなせり声、甲高い声、低い声 そしてダミ声 こうしてやっちゃ場の一日が始まる。

やっちゃい やっちゃい 問屋のせり場は大混雑 まさに芋を洗うが如きである。

数時間後さしもの雑踏も汐が引くようにゆるみ始める 荷を引く買出人、仕切銭をもらって家路を急ぐやまの人。

台所では遅い朝飯を摂り始め、せり場では小僧が散らかった藁屑を竹箒で掃く。みるみる藁の山となる。

若い衆は縁台将棋でくつろぎ、旦那衆は寄り合いに急ぐ。

御影石を敷き詰めたせり場は広々として暫くの間子供達の格好の遊び場に変わり歓声がひびき渡る。穏やかなひととき。夕暮れが近づきわずかだが静かに時が止まる。

ややあって旧道の奥の方から地鳴りのようなひびきが徐々に伝わって来る。

沢山の大八車や、牛車が連なってくるひびきである。

夕闇が濃くなる頃には手ぶら提灯を点けた大八車で旧道が埋まり陸続とゆらゆらやっちゃ場へ向かう。そして荷主は荷を下ろし2階の仮眠部屋で朝までしばしの眠りにつく。

平成18年は千住市場創立330年祭 記念碑建立(明治39年)より数えて丁度百年の節目の年である。

千住大賑会・河原」

※別の場所に「やっちゃ場の最大の特徴 投師(なげし)の存在」というパネルがありました。次回紹介します。投師というのは、上の文にも出てきた「出仲買人(商)」が正式な名称。千住のやっちゃ場だけにあった商人形態。千住で買った品物を大八車に積んで東京市内の市場に運び売りさばいたのです。それだけ千住のやっちゃ場が巨大な市場だったということです。

100年前のやっちゃ場の喧噪と勢いが伝わってきます。

散歩は、まだ続きます。

(写真・文/住田至朗)

※駅構内などはつくばエクスプレス(首都圏新都市鉄道株式会社)の許可をいただいて撮影しています。

※鉄道撮影は鉄道会社と利用者・関係者等のご厚意で撮らせていただいているものです。ありがとうございます。

※参照資料

首都圏新都市鉄道株式会社 会社要覧2024

るるぶ情報板関東31 つくばエクスプレス JTBパブリシング 2025年5月1日

つくばエクスプレス沿線アルバム 生田誠 山田亮 アルファベータブックス 2023年8月5日

つくばスタイル No.12 枻出版 2011年4月10日

つくばエクスプレス 最強のまちづくり 塚本一也 創英社 2014年10月23日 他

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