日韓W杯では日本代表とも対戦したシュキュル photo/Getty Images
「私には何も残っていない」
かつてガラタサライやインテルなどでプレイした元トルコ代表FWハカン・シュキュルが、引退後の壮絶な人生を明かした。
現在48歳のシュキュルは、現役時代にトルコ代表として112キャップを記録し、2002年の日韓W杯では日本代表などを退けて母国を初の3位へ導いた英雄だ。
そんな輝かしいサッカーキャリアを持つシュキュルだが、引退後はその名声を活かして政治家へ転身。2011年にエルドアン大統領(当時は首相)が党首を務める公正発展党から選挙に出馬し、トルコ大国民議会の議員に選出された。しかし、2013年に離党すると、その後はエルドアン大勢の打倒を狙うクーデターの首謀者のひとりという疑惑をかけられ、加えてSNSで大統領に関する非難をしたとして指名手配されてしまう。その結果、逮捕を逃れるべく2015年にトルコからアメリカへ亡命し、現在に至る。

現役時代はトルコの英雄として称えられたが…… photo/Getty Images
そんなシュキュルがドイツ『WELT AM SONNTAG』のインタビューで次のようなコメントを残した。
「私には何も残っていない。エルドアンが全てを奪い取った。自由に対する権利や表現の自由、働く権利とかね。あのクーデターにおいて、私の役割がなんだったのかを説明できないのにだ。私は違法なこと一度たりともしたことはない。
「エルドアンと別れた後、私は脅迫を受け始めた。妻の店が攻撃され、子供たちが嫌がらせを受け、父が刑務所に入れられ、私の資産は全て没収されてしまったんだ。だから、私はアメリカへ移った。最初はカリフォルニアで影を経営していたんだが、そこにも変な人たちがやってきたりしたよ。そのため、今はUberの配達員をしたり、本を売ったりして生活している」
母国を追われ、アメリカの地で過ごす苦しい現状を告白したシュキュル。いつに日か愛する母国へ帰れる日は来るのだろうか。
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