昨年12月よりナポリを率いているガットゥーゾ監督。守備戦術を整備し、同クラブを上昇気流に乗せた photo/Getty Images
昨季から変わった守備戦術
昨年12月に赴任したジェンナーロ・ガットゥーゾ監督の指揮のもと、2020-21シーズンのセリエA第11節終了時点で8勝3敗と、まずまずのスタートを切ったナポリ。
ガットゥーゾ監督就任当初は自陣ゴール前で守備ブロックを敷き、ロングカウンターから得点を狙う場面も少なくなかったナポリだが、今季はハイプレスから試合の主導権を握りにかかるケースが多い。今季のセリエA第11節終了時点で、アタッキングサードにおいて相手選手へのプレスを計399回行っているというデータ(セリエA全20クラブ中4番目に多い数値)からも、同クラブが最前線を起点に守備を行っている様子が窺える。[4-2-3-1]という布陣で臨んだ先述のサンプドリア戦も例外ではなかった。

サンプドリア戦で同点ゴールをアシストしたメルテンス。ハイプレスの起点としても機能した photo/Getty Images
守備面での貢献が光ったのは
この試合で再三にわたりプレスの口火を切っていたのは、ワントップで起用されたFWドリース・メルテンス。
キックオフ直後からサンプドリアの2センターバック(吉田麻也、オマー・コリー)がボールを保持するや否や、メルテンスがボールホルダーを強襲。同時にサンプドリアの両サイドバックへのパスコースを、ナポリのロレンツォ・インシーニェとマッテオ・ポリターノの両サイドハーフが塞ぐことで、特に前半の序盤ではサンプドリアの2センターバックに苦し紛れのパスを出させることに成功していた。
この試合でメルテンスが叩き出したアタッキングサードにおける相手選手へのプレス回数は、両軍の選手中最多の7回。2013年よりナポリに在籍し、今やセリエA屈指の点取り屋へと成長したベルギー代表戦士が、守備面でも気を吐いた。
前半19分すぎに吉田のロングパスに反応したDFカリドゥ・クリバリのクリアボールがサンプドリアの選手に渡ってしまい、このボールロストから始まったカウンターでMFヤクブ・ヤンクトに先制ゴールを奪われるという不運に見舞われたものの、ナポリはその後も臆せずハイプレスを敢行。敵陣の深い位置、もしくは中盤でボールを回収し、メルテンスやインシーニェを起点としたパスワークでサンプドリアの選手たちを自陣に釘付けにするという展開に持ち込めたことが、後半の逆転劇に繋がった。
後半8分にメルテンスの左サイドからのクロスに反応したFWイルビング・ロサーノがヘディングシュートを放ち、同点ゴールをゲット。同23分にはロサーノが敵陣右サイドを突破してペナルティエリアへクロスを送り、このボールにヘディングで反応したFWアンドレア・ペターニャが逆転ゴールを挙げている。現地時間16日のリーグ第12節でインテルと顔を合わせるナポリだが、この大一番でもメルテンスを起点とするハイプレスで試合の主導権を握り、首位ミラン追撃のための1勝を挙げることができるだろうか。ガットゥーゾ監督就任から丸1年が経過したナポリにとって、真価が問われる試合となりそうだ。(データは『FBref.com』より)