オーストリアを前線から引っ張るアルナウトビッチ photo/Getty Images
オーストリアのイブラヒモビッチになれたかもしれない逸材
EURO2020に出場している選手たちは欧州のトップクラブでプレイしている選手が大半だが、アジアのクラブから選ばれている者もいる。
その1人が中国の上海上港でプレイするオーストリア代表FWマルコ・アルナウトビッチだ。
しかもアルナウトビッチは主力の1人であり、グループステージ通過を決めた先日のウクライナ戦でもセンターフォワードで先発。チームの勝利に貢献していた。
そんなアルナウトビッチについて英『TalkSport』にて興味深い過去を振り返ったのが、かつてインテルでアルナウトビッチを指導したジョゼ・モウリーニョだ。
アルナウトビッチは若い頃より才能が評価され、2009年にオランダのトゥエンテからインテルへ移籍することになる。当時のインテルも豪華なタレントを抱えていたのだが、若かったアルナウトビッチは自分に絶対の自信を持っていたのだという。
「インテルのディレクターをしていたマルコ・ブランカがアルナウトビッチを連れてきた時、我々はトレーニングの最中だった。当時私のチームにはアドリアーノ、イブラヒモビッチ、クレスポ、フリオ・クルスがいた。私はブランカとアルナウトビッチのところへ行って軽く言葉を交わしたが、マルコが言うんだ。ミスター、俺は彼ら全員より優れているぞとね。マルコは素晴らしいやつだが、態度は子供だった。彼はバロテッリと親友だったが、2人は同じ特徴を持っていた。簡単ではないよ」
当時10代だったアルナウトビッチがイブラヒモビッチ、アドリアーノらより上と主張するとは大胆すぎる。
サイズも192cmと大きく、足下のテクニックもある。それこそイブラヒモビッチと比較されてもいいストライカーだ。上手くいけばオーストリアのイブラヒモビッチになれたかもしれない。
しかし、大人になりきれないところが足を引っ張ってしまった。もうアルナウトビッチは32歳なのだが、今回のEURO2020でも初戦の北マケドニア戦で相手選手を侮辱して1試合の出場停止処分を受けている。本来ならばチームをまとめてほしい年齢だが、まだ暴れん坊ぶりは健在だ。
結局アルナウトビッチはインテルで成功できず、その後はストーク・シティやウェストハムでプレイし、2019年に中国へ向かっている。もう少し謙虚な姿勢があれば、ワールドクラスの選手に成長した可能性があっただけに残念ではある。
今大会では北マケドニア戦で得点も記録しており、実力そのものは衰えていない。決勝トーナメントではトラブルなく才能を披露してほしいところだが、オーストリアをベスト8へ導けるのか。