守護神としての立場を確立している谷晃生 photo/Getty Images
海外で見たい選手だ
120分の激闘の末、PK戦までもつれ込んだ東京五輪ラウンド8のニュージーランド戦。終始、日本が攻め込むも決めきれず、相手のパワープレイに苦戦する場面も見られた。
この試合では迫力のある攻撃を仕掛けた久保建英を中心とする攻撃陣に目が行きがちだが、最後の砦として120分間集中力を切らさなかった守護神GK谷晃生を称賛したい。
ガンバ大阪でトップチームデビューを果たした谷は2020年から湘南ベルマーレへ期限付き移籍しており、今季も湘南の守護神としてゴールマウスを守っている。
彼は現代サッカーで求められる足元でボールを扱う技術をもったGKで、日本代表でも組み立てに参加しているシーンはよく見られる。ボールが来た際には焦ることなく繋いでおり、見ていて安心できる選手である。
また、安定したセービングにも定評があり、守護神としてピッチに立っている本大会ではここまで1失点しかしていない。特に今大会で谷の強みだと言えるポイントは空中戦だ。190cmと日本人離れした大きな体格の持ち主である谷はニュージーランド戦で何度もパンチングで空中戦に勝利しており、ボールをボックス外にはじき返していた。
大きな体があればできる芸当ではあるが、飛び出す判断力が求められる。タイミングがシビアではあるが谷は失敗することなく、何度もクリアに成功している。代表の試合を見ていると、アンダー世代、フル代表に限らず、パワープレイから押し込まれている場面をよく見ることがあるが、谷のような選手の存在は相手のパワープレイに対抗できる一つの手段だと言える。
また、この世代の守護神はサンフレッチェ広島の大迫敬介とポジションを争っており、そういった競争力が谷を今の実力まで成長させたのかも知れない。
実際に本大会のような短期決戦では、優秀なGKがいるチームが強いということは今年の欧州選手権やコパ・アメリカでも証明されており、谷の存在が日本を勝たせている一つの要因であることは間違いないだろう。