パトリック・ヴィエラ率いるクリスタル・パレスの躍進は今季のサプライズである photo/Getty images
アーセナルを倒し公式戦では7戦無敗となっている
21-22シーズンも残り10試合を切っており、各チーム今季の出来がはっきりしてきた。今季は特に中堅クラブの躍進が目立つシーズンであり、9位クリスタル・パレスはこの1年で興味深いチームに成長している。
13-14シーズンからプレミアリーグを戦うパレス。昨季は14位でフィニッシュしており、近年ではボトムハーフでシーズンを終えることが多い典型的な中堅クラブだったが、今季からパトリック・ヴィエラを新監督に迎え大改革を行った。
まず行ったのが、大幅な世代交代だ。昨季までは主力だったパトリック・ファン・アーンホルト、ガリー・ケイヒル、アンドロス・タウンゼント、ジェイムズ・マッカーシーらベテラン勢を放出。代わりにマーク・グエーイ、ヨアキム・アンデルセン、コナー・ギャラガー、ミカエル・オリーズら20代の有望な若手を獲得し、戦力に組み込んでいる。特にグエーイ、アンデルセンはセンターバックコンビとして活躍しており、土台としてチームを支えている。
次に戦術改革だ。システムを[4-3-3]に変更し、前からハイプレスを仕掛けるチームにヴィエラが成長させている。速く連動もしているプレスをかいくぐるのはトップクラブでも難しく、直近のリーグ戦ではアーセナルを3-0で下している。特に素晴らしかったのは、首位マンチェスター・シティへの成績であり、ハイプレスと後方での集中力を90分間保たせ、1勝1分とシーズンでの勝ち越しを決めた。
英『The Athletic』ではヴィエラのここまでの手腕を高く評価している。それは選手も同じであり、「彼は私に自信を与えてくれました。
彼のもとで働くのは素晴らしく、今の成功はヴィエラのおかげです」とギャラガーが、「彼は選手として豊富な経験を持ちつつ、監督としても非常に優秀です。勝つための方法を知っていて、私たちに教えてくれます」とアンデルセンが語っている。両者ともにヴィエラを大絶賛しており、選手から信頼されていることが分かる。
ヴィエラはここまであまり評価されていないが、今後はより評価されるようになるだろう。選手からのコメントからもわかる通りモチベーターとしての顔を見せつつ、ハイプレスのようにチームに戦術を落とし込むこともできている。モチベーター、戦術家の2つに監督を分類することはよくあるが、ヴィエラはその両方の性質を兼ね備えているといえる。
今季ひそかに躍進を見せているヴィエラ・パレス。ギャラガーがチェルシーに戻ることになるのは残念だが、グエーイやオリーズ、タイリック・ミッチェルを引っ張ってきたスカウトの目は確かであり、今後はウルブズやウェストハムのように上位クラブも恐れるチームになるだろう。
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