今やスコットランド国内リーグを代表する点取り屋の古橋 photo/Getty Images
国内リーグのレベルはある程度評価されている
セルティックの指揮官に横浜F・マリノスを指揮していたアンジェ・ポステコグルーが就任したことが大きいが、現在スコットランド王者セルティックではFW古橋亨梧、前田大然、MF旗手怜央、井手口陽介と4人の日本人選手がプレイしている。
この1年で一気に日本人選手の数が増え、日本のサッカーファンの視線が一気にスコットランドへ向かうことになった。
問題はここから古橋たちがステップアップ出来るかどうかだが、今若手スコットランド人選手が密かな人気銘柄となっているのだ。
メジャーなところでは、今夏にボローニャからイングランドのブレントフォードへの移籍が決まった20歳のDFアーロン・ヒッキーだ。ヒッキーは2020年にスコットランドのハーツからイタリアのボローニャへ移籍しており、この2年で世界的に有名な選手となった。スコットランド代表の先輩であるリヴァプールのアンドリュー・ロバートソンに続く大ブレイク左サイドバック候補として期待されているのだ。
そんなヒッキーを2020年にハーツから引き抜いたボローニャ。スカウトを務めてきたフランチェスコ・ストロッツィ氏はスコットランド国内リーグのレベルが思ったよりも高いと印象を語る。
「スコットランド国内リーグは、驚くほど過小評価されている。世界のスカウトがきっちりと見ていない。スコットランドのフットボールは速くてダイナミックで、フィジカルも優れている。そうした若手を求めるイタリアのサッカー界にとっては見るべきリーグだと思うし、それほど争奪戦も激しくない」
ストロッツィ氏はスコットランド国内リーグの戦いを何度もチェックし、そしてヒッキーの獲得へと踏み切った。結果的にこのビジネスは大当たりとなり、ヒッキーの市場価値は獲得当初の250万ユーロから1800万ユーロまで急上昇した。
ヒッキーだけではない。2018年にはセルティックからスコットランド人MFリアム・ヘンダーソンがイタリアのバーリへ移籍し、そこからヴェローナ、レッチェを経由して昨季からエンポリでプレイしている。これもスコットランド国内リーグからの引き抜きだ。
今夏にはスコットランドのハイバーニアンから20歳のDFジョシュ・ドイグがイタリアのヴェローナへ、18歳のMFカルヴィン・ラムゼイはアバディーンからリヴァプールに引き抜かれた。
昨季はレンジャーズがヨーロッパリーグのファイナルまで駒を進めるなど、スコットランドのクラブにも優秀なタレントは存在する。その認識が世界に広がり始めているのは間違いなく、日本の若手選手にとってもスコットランドはステップアップに最適な場所となるかもしれない。それがレンジャーズやセルティックのような強豪なら言うことなしだ。
そこから5大リーグのクラブに引き抜かれる可能性もあり、古橋や旗手もそこを狙いたい。スコットランド国内リーグのレベルについては議論もあったが、世界のスカウトはきっちりとその実力を評価してくれている。