チェルシーのネト Photo/Getty Images
チェルシーを救った
ノッティンガム・フォレストとの上位対決を制し、チャンピオンズリーグ圏内の4位を確保したチェルシー。その今季を振り返る際、決定的な転機として語られているのが、ペドロ・ネトが決めたプレミアリーグ第33節・フルアム戦での“決勝弾”である。
『Mirror』は、この一撃を「クリアレイク体制下で最も価値あるゴール」と伝えている。
1-1で迎えた後半アディショナルタイムの93分。右サイドでボールを持ったエンソ・フェルナンデスがネトにパスを供給。ネトは鮮やかなターンでボールを収めると、左足で豪快にシュートを放ち、ゴール中央へ突き刺した。チェルシーはこれにより、直近2試合の未勝利を断ち切り、勝ち点3を獲得。この試合での勝利が流れを変え、以後の勢いを生み出してCL出場権獲得へとつながった。このゴールが、クリアレイク資本によるクラブ運営のもとで最も重要な得点として位置付けられつつあるようだ。
ビッグクラブで重要な役割を果たすまでに成長したペドロ・ネト。その才能が開花したのは、決して偶然ではない。彼を最初に見出し、育成にも携わったのが、スカウト兼指導者のホセ・カルバーリョ・アラウホ氏である。同氏は『TEAMtalk』のインタビューに応じ、当時13歳だったネトとの出会いを振り返った。
「ペドロという13歳にしてU-15チームのキャプテンを務めていた少年がいた。
彼は非常に才能があり、野心的で、勇気、技術、そして情熱を兼ね備え、チーム最高の選手だった。試合後に両親に声をかけて、2日後にはブラガのトライアルに参加していた」
ポルトやベンフィカ、スポルティングといったビッグクラブのアカデミー網の中で、ネトはスポルティング所属ながら埋もれていた逸材だった。「スポルティングに3年いたけど、何のアクションもなかったと両親が言っていた」とアラウホ氏は証言する。
ネトは17歳でブラガのトップチームデビューを果たすと、初出場で即ゴールという衝撃のスタート。その後も順調に成長を遂げ、他国の強豪チームからの関心も集めた。アラウホ氏は「ブラガにはいつもマンチェスター・ユナイテッドのスカウトがいた。誰に注目していたのかは分からなかったが、おそらくペドロだったのだろう」と述べている。後にキャリントンでの練習試合参加という具体的な接触もあったが、移籍は実現しなかったようだ。
それでも、アラウージョ氏はネトの資質に一点の疑いもなかったという。「ペドロは以前から変わっていると感じていたが、彼は今でも当時と同じ情熱と熱意を見せている」と話した。
ネトの一撃はチェルシーのシーズンを、そしてクリアレイク時代の評価すら変えるほどの重要性があった。発掘者の言葉はネトの才能を物語っている。
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