ブラジル代表監督のアンチェロッティ photo/Getty Images
様々なDFをテストしながら守備を安定させた
今夏よりブラジル代表の監督に就任したカルロ・アンチェロッティは、ここまで2026ワールドカップ南米予選で3戦全勝と良好なスタートを切った。2026ワールドカップ出場権もきっちりと確保し、来年の本大会へ国民の期待も高まっているのではないだろうか。
3戦全勝の結果はもちろんだが、アンチェロッティが強調したのが『堅守』だ。ここまでの3試合はエクアドル(0-0)、パラグアイ(1-0)、チリ(3-0)と全試合クリーンシートとなっており、アンチェロッティは「私がイタリア人であることを忘れるなよ」と会見で冗談も飛ばしている。イタリアらしいカテナチオなスタートという意味だ。
この守備の安定は大きな改善点で、アンチェロッティ就任前のブラジルは南米予選14試合で16失点も喫していた。これは現時点の南米予選上位6チームの中で最悪の数字だ。
それをひとまずアンチェロッティは改善していて、さらに様々なDFを起用している点も興味深い。6月の初陣ではいきなり仏のリールでプレイするCBアレクサンドロを代表デビューさせ、経験豊富なパリ・サンジェルマンDFマルキーニョスとコンビを組ませている。今月はアーセナルDFガブリエウ・マルティネッリがマルキーニョスとコンビを組んでいて、マガリャンイスも説明不要の実力者だ。
先日のチリ戦後にマガリャンイスは「サッカーで最も重要なのは失点しないこと。その基盤となるのが最終ラインであり、僕たちのクオリティを考えれば失点を防げば勝率はかなり高くなる。カルロは父親のような人だよ」と早くも手応えを口にしている(『MARCA』より)。
さらに左サイドバックでは、ロシアのゼニトでプレイする31歳DFドウグラス・サントスを9年ぶりに招集し、チリ戦でフル出場させている。
守備的MFではレアル・マドリードで長く仕事を共にした現マンチェスター・ユナイテッドMFカゼミロを柱に据えており、カゼミロとニューカッスルMFブルーノ・ギマランイスのボランチコンビも堅い。
まだブラジルをワールドカップ優勝候補に入れるのは早すぎるかもしれないが、アンチェロッティの指導で変わってきたのは確かだ。アンチェロッティはクラブで欧州5大リーグ全制覇、チャンピオンズリーグ制覇など多くの偉業を成し遂げており、ワールドカップまで手にすれば誰も疑わぬ史上最強の指揮官となるだろう。その目標へ順調なスタートで、残りの1年でどこまで完成度を上げてくるか楽しみだ。