先制点を挙げたマルティネッリ Photo/Getty Images
序列が危ういマルティネッリ
UEFAチャンピオンズリーグ・リーグフェーズ初戦、アーセナルはアスレティック・ビルバオの本拠地サン・マメスに乗り込んだ。統率された守備と鋭いカウンターに苦戦を強いられたが、2-0という結果で勝ち点3を持ち帰ることに成功している。
この試合で先制点を決めたのは、ベンチから登場したブラジル代表FWガブリエウ・マルティネッリだ。マルティネッリは72分、素早く前線に送られたボールに反応。右足の巧みなタッチでDFをかわして持ち前のスピードで突っ走り、GKウナイ・シモンを破ってネットを揺らした。
しかしマルティネッリは今季、厳しい立場に立たされている。夏にクリスタル・パレスからエベレチ・エゼが加入。この試合もスタメンはエゼが選ばれた。また、同じポジションのライバルであるレアンドロ・トロサールは移籍の噂もあったもののチームに残留。こちらも出れば結果を残す実力者だ。エゼと同じく今夏加入のノニ・マドゥエケも左でプレイすることができ、マルティネッリは左ウイングとして3番手、4番手に降格する危険と隣り合わせなのだ。
プレミアリーグ第3節リヴァプール戦では先発したが、マルティネッリは対面のドミニク・ショボスライを攻略できず、攻撃においてほとんど何の貢献も果たすことができなかった。得意のドリブルは停滞し、チームの勢いを削いでしまっていた。
英『Daily Mail』は、マルティネッリがアスレティック戦で「明らかに奮起した」と伝えている。
「ノニ・マドゥエケとエベレチ・エゼが選出されたのを見て、マルティネッリは明らかに奮起した。交代出場のトロサールのフリックパスに反応してドリブルでゴールに向かい、均衡を破るのにわずか36秒しかかからなかった。ディフェンダーをかわした後、冷静さを取り戻し、ゴールキーパーのウナイ・シモンを破るゴールを決めてみせた。アルテタ監督はマルティネッリの大ファンであり、このゴールは彼の卓越した才能を改めて示す絶好の機会となった」
「それは、プレミアリーグで15ゴールを記録した2022-23シーズンの躍進以来、このブラジル人選手がしばしば失っていた、ゴールに向かって突き進む直接性と貪欲さだった」
ゴールに向かう貪欲さ、そしてそれを表現するスピードは、エゼにもトロサールにもないものだ。選手として大きな正念場を迎えるマルティネッリだが、アスレティック戦のように必ず出番はやってくるだろう。このゴールはまさに意地の一撃だった。