40歳前後まで代表でプレイし続ける怪物たちもごく僅かに存在するものの、基本的には30歳を超えたベテラン選手にとって“最後のW杯”になる可能性が高い。背中でチームを引っ張る者、縁の下でチームを支える者、チームでの役割はさまざまだが、長年の経験や錆び付かない己の武器を活かしていまだにピッチで違いを見せ続けている者も多い。そこで集大成に挑むベテランのスターたちを紹介しよう。
サッカー界を牽引してきた偉大な3人のラストダンス
41歳で迎える北中米W杯。ロナウドは自身のキャリアにおいて唯一の“忘れ物”であるW杯のトロフィーを手にすることができるのか photo/Getty Images
北中米W杯で40歳を超えてプレイしそうな選手が少なくとも2人いる。ポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウドとクロアチア代表のルカ・モドリッチだ。
ロナウドは41歳でW杯を迎える。出場すれば6大会連続で史上最多記録になる。過去に5大会連続でメンバー登録されたのはアントニオ・カルバハル、ラファエル・マルケス、アンドレス・グアルダード、ギジェルモ・オチョア(いずれも元メキシコ代表)、ローター・マテウス(元ドイツ代表)、ジャンルイジ・ブッフォン(元イタリア代表)リオネル・メッシ(アルゼンチン代表)とロナウドの8人。この中でFWはメッシとロナウドの2人だけ。この2人はやはり別格といえる。
24-25シーズンのUEFAネーションズリーグ、ロナウドは重要な得点をゲットして優勝に貢献した。8得点はヴィクトル・ギェケレシュ(スウェーデン)の9得点に次ぐ大会2位。依然としてポルトガルのエースストライカーとして健在ぶりを示していた。
全盛期のように1人でドリブル突破してシュートを叩き込むスタイルではない。スポルティングからマンチェスター・ユナイテッドに移籍したころは、ストライカーというよりドリブラーだった。その後、左ウイングで得点を量産するようになり、さらにボックス内に特化したスタイルに変わっている。プレイスタイルは変化したが、到達点3メートルのジャンプ力など瞬発系の身体能力が維持されていて、決定機を確実に決める能力は依然としてポルトガルの大エースであり続けている。
24年10月に行われた北中米W杯・南米予選のボリビア戦でメッシは3ゴール2アシストの大活躍を見せ、6-0の大勝に貢献した photo/Getty Images
充実したメンバーを揃えた今回のポルトガルは優勝のチャンスもあり、もしそうなれば偉大なロナウドの経歴が上書きされることになるわけだ。
モドリッチは40歳。運動量とキレは全盛期から落ちているとはいえ、卓越した戦術眼と技術の高さは変わらず。ACミランではレアル・マドリード時代よりも少し引いたポジションから全体を動かしていく役割を果たしており、クロアチアにとっても不可欠な存在だ。
オーバー40のレジェンド2人がW杯に出場する可能性は高い。
アルゼンチン代表のリオネル・メッシは大会期間中に39歳の誕生日を迎える。W杯出場は微妙で、本人の決断しだいという状況だが、出場すればロナウドと同じく6大会連続になる。通算13得点はミロスラフ・クローゼ(ドイツ代表)の最多得点まであと3点。アルゼンチンが勝ち進めば最多得点記録を塗り替える可能性もある。
メッシもロナウド同様にプレイスタイルは変化しているが、ロナウドほど大きく変わってはいない。運動量をセーブしながら決定的なパス、シュートで試合を決める能力を維持している。出場すれば、ロナウドと同じく最後のW杯だろう。
まだまだ引退の気配なし 不老のオーバー30
2024年6月に2年ぶりの代表復帰を果たしたカンテ。35歳になる今年、自身2度目のW杯出場を目指す photo/Getty Images
昔は30歳になれば引退間近だったが、現在は35歳でもバリバリにフィットしている選手も珍しくなくなった。
フランス代表のMFエンゴロ・カンテはその代表格だ。23年にチェルシーからアル・イテハドに移籍したが好調を維持し、24年11月にはフランス代表に招集されている。選手層の厚いフランスだが、無尽蔵のスタミナをキープしているカンテは貴重な戦力と考えられている。ロナウドやメッシのようにFWとしてキレを維持しているのも凄いが、ハードワークのレベルが落ちないカンテも驚異だ。
日本代表の谷口彰悟も35歳。負傷者続出のDF陣を支えた活躍で存在感を示している。W杯の初戦で日本と対戦するオランダ代表のフィルジル・ファン・ダイクも同じく35歳。守備の重鎮としてチームに不可欠な選手だ。
アルジェリア代表のリヤド・マフレズも35歳。左足のマジックは健在、ひと振りで試合を変えられるアタッカーである。ケビン・デ・ブライネ(34歳、ベルギー代表)も得点に直結するパスの異能ぶりを維持。モハメド・サラー(エジプト代表)も34歳、左利きの右ウイングという点はマフレズと同じだが、より得点力がある。マフレズ、デ・ブライネ、サラーは1回のチャンスで得点を生み出すタイプとして貴重だ。ソン・フンミン(34歳、韓国代表)も個人技で局面を変えられるアタッカーである。33歳の伊東純也も右サイドからのクロスボールで得点を生み出す異能タイプといえる。
ハードワークかカリスマ性か ベテラン選手の活かし方
代表キャップ数は「76」。
ポジションでみるとGKとCBにはベテランが多い。経験がものをいうポジションなのだろう。
GKではブラジル代表のアリソンが33歳。抜群の守備力だけでなく足技にも優れ、ロングフィードの精度も素晴らしい世界最高クラスだ。40歳でW杯優勝したディノ・ゾフ(元イタリア代表)が言っていたように「ワインのように深みを増す」ポジションなのかもしれない。
CBはアルゼンチン代表のニコラス・オタメンディが38歳になるが、ハードな守備職人ぶりは相変わらず。モロッコ代表のキャプテン、ロマン・サイスはアフリカ・ネーションズカップの開幕戦で早々に負傷してしまったが、W杯に出場すれば36歳のCBである。
MFは運動量が不可欠なので、ベテランがポジションを確保するのは比較的難しい。ただ、カンテのような不老タイプとして、スイス代表のグラニト・ジャカ(34歳)がいる。
アタッカーも近年は守備力が求められるようになっているので、それがないとポジションを確保するのは難しい。伝家の宝刀的な一発があれば、ロナウド、メッシ、デ・ブライネ、サラー、マフレズのように、ある程度守備は免除されての起用があるが、その場合は残りのフィールドプレイヤー9人が10人分の守備負担ができるか、圧倒的なボール保持で守備負担そのものが軽いという条件が必要になってくる。
今季も勢いそのままに所属クラブではゴールを量産しており、折り返し地点を待たずしてすでに20ゴールに到達したケイン photo/Getty Images
メッシを擁するアルゼンチンは9人のハードワーク方式で前回大会優勝を成し遂げた。ベテランのゴールゲッターとして有名なのが元カメルーン代表のロジェ・ミラで、1994年大会では42歳の最高齢得点をゲットしている。ただ、ミラは大活躍だった90年大会からスーパーサブ的な起用のされ方で、プレイ時間が制限されていた。一方、メッシは基本的にスタメンフル出場。それだけチームにかかる守備負担は大きいわけだ。
メッシを先発から外すことはありえない。途中交代もほぼない。最後までフィールドに残すのは、試合が終盤になると運動量が落ちてきてスペースが生まれ、カウンターのチャンスがあるからだと思う。90分間、ほとんど消えていても終盤に貴重なゴールを生み出せるので、チーム全体の負荷が大きくても最後までメッシは残すのではないか。22年大会はメッシを全員で担ぎ上げる意思が明確にあり、戦術面でも精神面でもメッシのためのサッカーだった。
メッシと並ぶカリスマ、ロナウドのいるポルトガルも同じ構造のチームといえるかもしれない。ヴィティーニャ、ブルーノ・フェルナンデス、ベルナルド・シウバを擁してパスワークに優れ、守備面でのハードワークもできる。
いが保持力では優っている。ロナウドをゴール前に専念させられるチームになっている。
オランダ代表、イングランド代表も保持力が強い。メンフィス・デパイ(31歳)、ハリー・ケイン(32歳)に体力的な衰えはみられないが、ボール保持によって体力をセーブできるプラスアルファはあるだろう。
現代サッカーはFW含めて全員守備が基本になっている。かつては1人くらい守備免除のアタッカーがいたものだが、ウスマン・デンベレのようなスーパーアタッカーが超ハードワークする時代にすでになっている。そんな中、前回大会でアルゼンチンはスーパーエースのメッシを10人が支える戦い方で優勝した。それが時代に逆行した例外なのか、あるいはスーパータレントを活かす正しい形なのか。2026年大会はそれが問われるのかもしれない。ベテラン選手の活かし方に注目してみるのも面白い。
文/西部 謙司
※電子マガジンtheWORLD313号、1月15日配信の記事より転載

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