藤木直人、高見侑里がパーソナリティをつとめ、アスリートやスポーツに情熱を注ぐ人たちの挑戦、勝利にかける熱いビートに肉迫するTOKYO FMのラジオ番組「SPORTS BEAT supported by TOYOTA」(毎週土曜 10:00~10:50)。8月9日(土)の放送は、パリオリンピック柔道女子48kg級・金メダリストの角田夏実(つのだ・なつみ)選手をゲストに迎えてお届けしました。


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(左から)藤木直人、角田夏実選手、高見侑里


角田夏実選手は、1992年8月6日生まれ、千葉県出身。小学2年生の頃から父の影響で柔道を始め、東京学芸大学で寝技の技術に磨きをかけると、2013年の学生体重別選手権で自身初の全国優勝を果たします。その後、2019年に52kg級から48kg級に階級を変更、2021年の世界選手権から日本の女子選手として史上3人目となる3連覇を達成。そして、2024年開催のパリオリンピックで金メダルを獲得しました。

◆何度も“諦めよう”と思ったオリンピックへの道

藤木:角田選手はパリオリンピックの女子柔道48kg級で金メダルを獲得されました。この番組でも、パリオリンピック開幕直前の放送では「柔道日本女子で歴代最年長のオリンピックデビュー選手」としてご紹介しましたが、やっぱり、オリンピックまでの道のりは長かったですか?

角田:何度も“諦めよう”と思ったぐらい、本当に長い道のりでした。

藤木:あまり年齢にこだわって紹介されるのは、気持ちのいいものではないのかなとも思いますけれども……。

角田:逆に年齢を言われるのは嫌ではなくて、いくつになっても“やろう”と思って、頑張って目指していたら夢は叶うんだな、ということは感じたので、皆さんも諦めないでいろいろ挑戦してほしいなという気持ちになりました。

◆階級変更も“50kgの壁”に苦戦

藤木:角田選手のなかで(52kg級から48kg級への)カテゴリーの変更というのは、大きな決断だったのではないでしょうか?

角田:そうですね。柔道だと、本当に階級変更というのはかなり勇気のいることで、52kg級の実績を捨てて48kg級にチャレンジということですし、あの年齢で階級を下げて減量をしなきゃいけないというのも、自分のなかで“本当に挑戦していいのか”という気持ちはありました。

藤木:階級を変えようと思ったときに、“上げよう”ではなく“下げよう”と思ったのはなぜですか?

角田:52kg級はいつもの体重と同じぐらいなので、減量もあまりしてこなかったのですが、上げるときはやっぱり体重を増やさなきゃいけないので、それだったらちょっと絞ってみようかな、という気持ちになりました。

藤木:とはいえ、52kgと48kgでは4kgも違いますから、そこに合わせていくというのは、簡単なことではなかったのではないですか?

角田:私でいうと“50kgの壁”というものがあって(笑)。
50kgを切るのが本当にキツくて“最後の2kg”というところで、“ちょっと体に悪いな”とも感じていました。

藤木:減量時はキツいと思いますけれども、経験することによって、だんだん“48kgへの落とし方”というのが分かってくるものですか? それとも、何回やっても“50kgの壁”というのは感じますか?

角田:何回やっても“どういう減量の仕方が正解なのか”というのが分からなくて、“これで試合ができるのかな”とか思いながら試合に臨んでいるんですけど、やればやるほど“毎回こんな感じだから、計量後は復活できるな”とか、ちょっとずつ安心感を得ながら挑んでいますね。

藤木:“50kgの壁”からのあと2kgは、どうやって落としているのですか?

角田:最後のほうは水抜きもしながらやっていくので……もう本当に忍耐ですね。

柔道・角田夏実「水抜きもしながら…本当に“忍耐”です」減量するたびに立ちはだかる「50kgの壁」とは?

角田夏実選手


藤木:52kg級で戦っていたときと48kg級のときでは、やっぱり、体の状態や動きは違ってくるものですか?

角田:そうですね。相手も小さくなるので少し柔道の勘が変わってきたり、自分自身も体が軽くなってしまって、ちょっとパワーが落ちるところもあるので、できるだけ減量の期間を短くして、試合の日にはいつもの体重に戻した状態で臨めるようにしているんです。だから、めちゃくちゃパワー選手と言われていました(笑)。

藤木:計量するのは前日ではないということですか?

角田:前日計量です。なので、1日で5kgぐらい戻します(笑)。

高見:5kgも!?

藤木:そうなってくると、48kg級ではメリットもある?

角田:そうですね。パワーのある選手として戦えるので、そのメリットはあるんですけど、戻し方を失敗してしまうと体調を崩してしまうので、本当に賭けですね。

藤木:48kg級に転向されてから順調に快進撃を続けて、パリオリンピックでも圧倒的な強さで金メダルを獲得されました。

角田:ありがとうございます。
本当に一つひとつの試合を“これが引退試合になるかもしれない”“負けたら私の柔道人生はここで終わりだ”という覚悟を持って挑んでいました。

藤木:そして、角田選手の代名詞といいますか、巴投げがすごいじゃないですか。ある意味、自分を捨て身にして投げる。相手も“角田選手は巴投げが得意”とわかっているなかで、投げるコツというのはありますか?

角田:もともと私は引き込みの寝技が得意なんです。それが、大学のときに出会った柔術から関節技などを鍛えることができて、引き込み、捨て身に対しての不安がなくなったので、思い切りよく巴投げに入れるというところはあります。あと“巴投げを失敗しても寝技で勝てばいい”というところもあって、その組み合わせがすごく良くて、どちらも成長していけたというのはあります。

<番組概要>
番組名:SPORTS BEAT supported by TOYOTA
放送日時:毎週土曜 10:00~10:50
パーソナリティ:藤木直人、高見侑里
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/beat/
番組公式X:@SPORTSBEAT_TFM
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