(左から)みうらじゅんさん、いとうせいこうさん
◆みうら少年、若かりし頃の「酢こんぶ事件」
いとう:みうらさんって、新幹線のなかとかでよく酢のイカを食べていたなぁってこの前思い出してね。あと箱が四角くてさ。
みうら:箱が四角いのは、都こんぶのことだね。
いとう:一時期、すごく食べていたでしょ。一緒に旅をするたびにずっと食べていたよね。
みうら:昔のキオスクには必ずあったじゃん。
いとう:今はあるのかな? もうないのか。
みうら:とんと見かけないねぇ。昔は映画館の売店にもあったのになぁ。でも上映中に酢こんぶを食べると、隣の人がイヤな顔をするんだよね。
いとう:鼻の奥にくるもんね。
みうら:においの武器ね(笑)。それに俺、たまに甘栗も同時に買っているときがあって、アクション映画だったらまだしも恋愛映画のときは臭いでムードが台無しになっちゃうわけ。
いとう:みうら少年は、素敵な少女と少年が恋をしているような映画を観るときでも、甘栗と酢こんぶをセットで買っていたと。
みうら:セットだとキョーレツでね(笑)。
いとう:あの独特なにおいをさせて、甘栗をむきながら映画を観ていたわけだ。
みうら:大好物だったから、その2つ。
いとう:なるほど。
みうら:だってパンフレットと一緒に売っているんだもん。隣がカップルだと「チッ!」が出るわけだよ。
いとう:やっぱりさ、そういう恋愛映画にはフローラルな香りを求めるわけじゃない。
みうら:だよね。
いとう:酢はマズいよ!
みうら:甘栗だけにしときゃ良かったのかね?
いとう:うん。栗はまだ外国にもあるけど、酢こんぶは外国でお目にかからないからね。あのにおいが漂ってくるたびに、「あー、ここは関西なんだ」とか思っちゃうわけじゃん。
みうら:酢こんぶだけど、ここは漁村かよってね(笑)。
いとう:そうだよね。やっぱり魚村の映画には「潮騒」とか……。
みうら:海女モノがギリだな。
いとう:こんぶはいいけど酢はね。酢が問題なんだよ。逆に言ったら、酢が似合う映画ってなかなかないからね。
みうら:酢が似合う映画ねぇ(笑)。
いとう:あとは、黒澤明監督の刑事役の三船敏郎が走って汗びっしょりみたいな。それには合うかもね。
<番組概要>
番組名:TOKYO SPEAKEASY
放送日時:毎週月-木曜 25:00~26:00
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/speakeasy/
番組公式X:@TokyoSpeakeasy