手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災 FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。今回の放送では、津波のメカニズムに詳しい、東北大学災害科学国際研究所の今村文彦(いまむら・ふみひこ)教授に「遠地津波」について伺いました。


ロシア・カムチャツカ半島の巨大地震…遠く離れた日本にも「津波...の画像はこちら >>

※写真はイメージです



7月30日(水)にロシアのカムチャツカ半島付近を震源とするマグニチュード8.7の巨大地震が発生した影響で、日本の太平洋沿岸の北海道から沖縄にかけて津波が確認され、岩手県の久慈港では1m30cmの津波が観測されました。気象庁は一時、北海道から和歌山県にかけての13都道県の太平洋沿岸部に津波警報を発表、西日本の太平洋沿岸にも津波注意報を出しました。

今回の地震と津波の特徴について、今村教授は「太平洋プレートが、カムチャツカ半島の北米プレートの下に沈み込んだことで巨大地震が起きました。特に浅い地震になると、海底の隆起とか沈降が大きくなって、津波の規模を大きくさせる傾向があります。地震の規模が大きくなると、環太平洋で発生した場合は、今回のように遠く離れた地震でも津波の影響があります」と解説します。

また、震央が本州、四国、九州、北海道の沿岸から約600km以上離れた地震に伴う津波を「遠地津波」と呼びますが、その特徴について、「環太平洋という1つの海のなかで津波が発生すると、いろんな経路、いろんなところを通じて、最終的に日本に来てしまいます。遠地津波は、第1波、第2波……その後のほうが大きくなる傾向があります。太平洋のなかで、津波が直接来るものだけではなく、いろんなところで反射したり、回り込んだりして、それが重なり合う場合があるんです。そうした場合、後に来る波のほうが大きくなります」と説明。津波の終わりは判断するのが難しいため、気象庁の呼びかけに注意してほしいということです。

最後に、津波警報と津波注意報について解説します。

津波注意報は20cm~1mの津波が予想されたときに出されます。
出されたら、海のなかや海岸から離れて決して近づかないようにしましょう。一方、津波警報は1~3mの津波が予想されたときに出されます。この場合、一刻も早く沿岸部から離れて、高台や津波避難ビル、津波避難タワーなど、安全な場所に逃げましょう。津波は想像以上の速さでやってきます。“遠くより、高いところに避難する”と覚えておきましょう。

ちなみに、津波警報の上に大津波警報があります。これは東日本大震災のときに発表され、3mを超える大津波が発生する恐れがあるときに発令されます。いざというときのために備えて、避難経路の確認や高いビルや津波避難タワーがどこにあるかなど、ぜひこの機会に家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。

そして、今回のように気温の高いなかで避難したり、避難所や安全な場所で数時間から数日過ごすことも考えられます。非常用持ち出し袋のなかに冷却シートなど暑さ対策グッズも入れておきましょう。

<番組概要>
番組名:防災 FRONT LINE
放送日時:毎週土曜 8:25~8:30
パーソナリティ:手島千尋
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/bousai/
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