脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。
TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。
この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに、茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。
7月19日(土)の配信では「マルチタスク」に関する質問に答えました。

茂木健一郎「今の時代はいろいろとやらなくちゃいけないことがあ...の画像はこちら >>

パーソナリティの茂木健一郎



<リスナーからの質問>
私は、複数の仕事を同時に進めると、どれも中途半端になってしまいます。脳はマルチタスクが苦手と聞いたことがありますが、本当でしょうか? また、どうすればうまく対応できますか?

<茂木の回答>
今の時代はいろいろとやらなくちゃいけないことがありますし、マルチタスクが苦手でも、ある程度はやらないといけないという人も多いのではないでしょうか。

「脳はマルチタスクが苦手」という問題についてですが、脳が意識のなかで集中できることは、一度に1個なんです。ただ、そうは言っても仕事の途中に急ぎの対応が必要なメールが来ることもありますよね。

マルチタスクのイメージは、「同時に並列してやる」というより、時間を区切って「今はこれ、次はこれ」というように、細切れの時間のなかで別々の事柄に都度集中するというほうが近いかもしれません。

そのときに必要になるのは“集中力の切り替え”です。例えば、「A」というタスクをやっていたら、急ぎで「B」のタスクに対応しなければならなくなった……というとき、使われるのは脳の尾状核(びじょうかく)という回路です。ここが働くことによって、瞬時に集中力を切り替えることができます。一度に集中しているタスクは1個ですが、それを瞬時に切り替えることでマルチタスクをこなすことが可能になるんです。

ただ、1つの課題に取り組んで、だんだん集中が深まっていくことがあります。
特にクリエイティブ分野などでは、いろいろなひらめきや発想が必要になりますので、ある程度、その課題に継続して取り組んだほうが、より深い思考ができるようになります。どうしても現代は気が散っちゃう時代ではありますけれど、1つのことにずっと取り組むのも、やられてみたらいいのかなと思います。

あなたの場合はマルチタスクをしようとすると「中途半端になってしまう」とお悩みのようですので、思い切ってまとまった時間を取り、1つのことに集中する……という仕事の進め方をしてみてはいかがでしょうか? そうすれば、ご自身のよさがきっとうまく活かせるのかなと思います。

<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎
番組Webサイト:https://audee.jp/program/show/11745
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