今回の放送では、株式会社ビーライトグループに注目。東日本ファシリティ事業部グループリーダーの稲垣晃隆(いながき・あきたか)さんとアライアンス事業推進部グループリーダーの若尾侑哉(わかお・ゆうや)さんをゲストに招き、業務内容や企業DXについて語ってくれました。
(写真左から)パーソナリティのクラフトバンク株式会社・中辻景子、ビーライトグループ アライアンス事業推進部・若尾侑哉さん、東日本ファシリティ事業部・稲垣晃隆さん
◆ビーライトグループの“経営の3本柱”とは?
愛知県名古屋市の株式会社ビーライトグループは、大きく分けて3つの事業を展開しています。ひとつは創業当初からの中心事業である電気工事。続いて、不動産仲介や建築の施工管理。そして3つ目が、医療機関向けのコンサルティング事業です。特に「電気工事を生業としてやってきた会社」であり、店舗を中心とした非住宅分野の工事に強みを持っています。
電気工事関連の事業は、株式会社ビーライトと株式会社ビーライトネオの2社が担っています。稲垣さんは施工管理を担当し、ドラッグストアやスーパー、温浴施設など身近な店舗の電気設備を手がけています。「店舗様は、だいたいの作りが同じなことが多いので、お客様に寄り添ってマニュアルを作り込み、そのノウハウをビーライトネオに託している」と説明します。
一方のビーライトネオは、全国に協力店を広げ、多店舗展開する企業に対応できる体制を整備。
ビーライトネオでは、協力店との関わり方を明確に分けています。施工を担う職人や業者を「パートナー」と呼ぶ一方で、管理業務まで深く関わる外部人材は「アライアンス」と位置づけています。さらに、新築工事など長期的かつ高度な技術が求められる案件を共に担う企業を「コアパートナー」と呼び、信頼関係を築きながら業務を進めています。若尾さんは「パートナーさんとはLINEを活用して密にコミュニケーションを取れる仕組みを整えています」と紹介しました。
また、ビーライトグループは医療分野にも進出しています。きっかけは、施工対象として病院やクリニックが増えたこと。医療コンサルタントの加入を機に「よりエンドユーザーに近い立場で仕事ができる」仕組みを整えたといいます。医療コンサルティング事業では、資金調達のサポートから機器の選定、建築プランの策定、立地の選定まで、幅広い支援を提供。「病院づくりをトータルで支える」ことが特徴です。新しい人材の参加によって事業の幅を広げ、柔軟に成長してきた姿がうかがえます。
◆企業DXで業務コミュニケーションが改善
番組では、ビーライトグループのデジタル化やDXの取り組みについても伺いました。若尾さんは、施工管理の仕事について「お客様の要望を職人さんや商社に正確に伝える“翻訳力”が重要」と語ります。そのため、情報を抜け漏れなく管理することが重要だと考え、同社では工程管理の一元化に取り組んできました。グループウェアの導入により、以前はLINEや電話、メールと複雑だったコミュニケーションを統一し、情報を蓄積・共有できる体制を整えています。
ただし、こうした整備を「最低限のレベル」と若尾さんは指摘します。AI活用の重要性を強調し、AIチャットボットによる教育マニュアルの活用や、職人管理アプリの構築などを進めていると説明しました。専任のDXチームはなく、兼務しながら推進しているとのことですが、現場の稲垣さんとのすり合わせを重ねながら生産性向上に向けて歩みを進めています。
ビーライトグループのDXを進めるにあたり、最初に取り組んだのは「コミュニケーションの改善」でした。煩雑だった連絡手段を整理することで、情報共有の効率が大幅に向上しました。稲垣さんは「1つの図面を探すだけで1日かかることもあったが、クラウド導入でお客様対応のスピードがかなり変わった」と手応えを話します。また、マニュアルをAIに落とし込むことで、全国で同じ品質の施工を実現することも目指していると語ってくれました。
◆現場にもデジタル化が浸透中
デジタル化には社内で抵抗感が生まれることもありますが、若尾さんは「無理に使わせるのではなく、便利さを示すロールモデルを作ることが大切」と話します。
また、社内のデジタル化により、現場にも変化が現れています。iPadを活用し、図面にその場で書き込んで協力会社へ共有するなど、業務のスピードと精度が向上しています。「他社との違いはよくチェックしています。たとえば、現場に行ってiPadを持ちながら360度のカメラを使っていたとしたら、僕らも導入したほうがいいんじゃないかという議論が巻き起こります。他社様を見て、自分たちが育っている部分もあると感じています」と若尾さんは話します。また、稲垣さんも「現場の職人さんがiPadを持ち始めている」と話し、デジタル化が協力会社にも浸透しつつあると実感しています。
ビーライトグループの取り組みは、社内業務の効率化にとどまらず、業界全体の未来を見据えたものです。デジタル化を“当たり前”としながらも、「便利さを実感できる仕組みづくり」で現場を変え、建設業界の新しい姿を描き出しています。
◆施工管理ができる“ドラえもん”を作りたい
続いて、ビーライトグループが思い描く未来について伺いました。
印象的だったのは、「施工管理版ドラえもん」という表現です。「施工管理にもAIエージェント、つまりドラえもんみたいなものが作れるんじゃないかなと思っています。この物件はどのように解決したらいいかというのを、想像を少し膨らませたら回答ができる状態になると思うんです」と夢を語ります。外部に汎用的な仕組みとして商品化するよりも、あくまで自社のスタイルに即した“社員の一員”として存在するほうがいいと考えているのだといいます。
ビーライトグループでは、現場代理人が「最初の打ち合わせから竣工まで1人で責任を持つ」ことを大切にしています。分業ではなく一気通貫で担当することで「責任感を持って最後まで納品できるし、エンドユーザーの要望に瞬時に応えられる」と強調しました。こうした姿勢に寄り添うデジタル支援こそ、同社が目指す“施工管理ドラえもん”の姿といえそうです。
続いて稲垣さんは、会社の将来像について「全国どこでも電気工事といえば、“とりあえずビーライトにお願いしよう”と思ってもらえる存在を目指したい」と語ります。
<番組概要>
番組名:デジタル建設ジャーナル
放送日時:毎週日曜日 15:00-15:55
パーソナリティ:中辻景子
番組Webサイト:https://musicbird.jp/cfm/timetable/kensetsu/