自分と同世代の人にどれくらい貯蓄や借入金があるのか、気になったことはないでしょうか。年齢が近くても、給与や家族構成、またお金に対する考え方などによって幅は出てくるでしょう。
今回は厚生労働省の「平成28年 国民生活基礎調査の概況( https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/index.html )」を参考にしながら、貯蓄額と借入金額の平均を年代別に見ていきます。
■20代~30代の平均貯蓄額と平均借入金額
平成28年の貯蓄の状況をみると、全世帯では「貯蓄がある」は80.3%で、1世帯あたりの平均貯蓄額は1031万円、平均借入金額は430万円となっています。なお、この回の調査では熊本県が除外されています。
次に、世帯別の調査結果(図表1参照)を見ていきましょう。
世帯主の年齢(10歳階級)別に見た1世帯当たり平均貯蓄額-平均借入金額

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出所:平成28年 国民生活基礎調査の概況(厚生労働省)
まず、29歳以下の平均貯蓄額は、1世帯あたり154万円になっています。20代は社会人生活をスタートさせて年数が浅い時期なので、まだ貯蓄額が少ないのは仕方ないことでしょう。また、1世帯あたりの平均借入金額は263万円でした。
30代の平均貯蓄額は、1世帯あたり403万円になっています。20代の頃よりも格段に貯蓄額が増えている一方、1世帯あたりの平均借入金額が865万円と、この調査では最も多くなっています。結婚や出産、マイホームの購入などでローンを抱えるケースが増えてくることが背景にあるでしょう。
このように、30代になると人生の節目となるイベントが必然的に増えてくるので、計画的に貯蓄をしていくことが必要になります。
■40~50代の平均貯蓄額と平均借入金額
40代の平均貯蓄額は1世帯あたり652万円、平均借入金額は862万円となっています。働き盛りの年代ではありますが、住宅ローンなどの返済途中であったり、子どもの成長にともない教育資金の負担が大きくなる時期でもあります。何にお金をかけ、どこを節約するかというメリハリが必要になってくるでしょう。
50代の平均貯蓄額は1世帯あたり1049万円と、1000万円の大台に乗ります。一方、平均借入金額は581万円と、30~40代にくらべ少なくなっています。子どもの手が離れ、経済的な余裕も出てくる時期ですが、より老後資金を強く意識するようになる年代ともいえます。
■60~70代の平均貯蓄額と平均借入金額
60代の平均貯蓄額は1世帯あたり1337万円と、この調査では最も多くなっています。また、平均借入金額が251万円と、50代の半分以下まで減っています。住宅ローンなどの負債を完済し、いよいよ老後の生活が始まる時期です。
70代の平均貯蓄額は1世帯あたり1260万円で、60代と比較すると若干少なくなっています。定年退職後に少しずつ貯蓄を取り崩して生活していることが一つの要因かもしれません。
■まとめ
年齢別に貯蓄額を見てみると、年代が上がるにつれて金額も高くなっています。また、結婚・出産・マイホームの購入といったライフイベントが重なる30~40代では、借入金が多くなることもわかりました。今回のデータはあくまでも平均値であり、各々の家庭で事情は異なりますが、人生の節目に必要な資金や老後の資金をイメージしながら、貯蓄に取り組んでみてください。
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。