2020年度の新大学入試(共通テスト)の導入に伴い、2020年1月には最後のセンター試験が行われます。この試験でよい成績をとり、志望校合格にはずみをつけたいと、受験勉強に励んでいる高校生も多いのではないでしょうか。



ところで、大学を選ぶときにみなさんが基準とするものは何でしょう。偏差値?学費?それとも自宅からの距離でしょうか?人によって基準とするものは様々ですが、やはり念頭にいれておきたいのは、「その大学の出身者がどのような企業への就職実績があるのか」という点です。



そこで今回は、就職を見据えた進学先選びという点について、お伝えしたいと思います。



■有名国立大学に合格していても、就職時に後悔することもある



地方の公立高校から一橋大学へと進学したある卒業生。「就職先の金融機関には慶應大学出身の人が多く、同じ大学出身の人同士のネットワークがうらやましく感じた」といいます。



また、就職活動においても「一橋大学も就職に強いとは思います。でもそれ以上に、会社に慶應大学出身の人が多いというのは、同じ慶應の就活生にとっても有利なのでは」と感じたとのこと。就職活動、そして入社後において、同じ大学出身者の存在は武器になるケースもあるのでしょう。



また、入試に関しては「センター試験や二次試験の幅広い対策が必要な国立大学に対し、慶應大学の文系学部は比較的限られた範囲だけ対策すればいい。慶應に行くと決めていたら、受験の労力が違っただろう」とも述べています。



もちろん、人によって大学に何を求めているのかは異なりますが、就職までを見据えて進学先を選ぶなら、就活や入社後のことまでイメージしてみることも必要かもしれません。



■慶應義塾大学卒業生の就職先はどんな企業?



では、先ほどの一橋大出身者が「うらやましい」と語った慶應義塾大学。

この学生たちは、どのような就職先に進んでいるのでしょうか。



慶應義塾大学が発表した2019年4月現在の同大学を卒業した就職人数が35人以上の上位就職先のうち、最も就職人数の多かった10社についてみてみましょう。なお、カッコ内は女子で内数となっています。



・慶應義塾:87人(84人)
・東京海上日動火災保険:83人(40人)
三菱UFJ銀行:71人(38人)
・三井住友銀行:70人(24人)
みずほ銀行:59人(19人)
・アクセンチュア:56人(27人)
・三菱UFJ信託銀行:51人(13人)
・大和証券:48人(14人)
野村證券:47人(13人)
三井住友信託銀行:45人(23人)
・東京都:45人(21人)



ご覧のように、誰もが知る企業ばかりが並んでいます。やはり有名私立大学ともなると、人気企業の内定を勝ち取ることができる人が多いようです。



■無名大学を出ていると難関企業の内定は勝ち取れないのか



では、無名大学をでてしまうと、こういった有名企業への就職は望めないものなのでしょうか?実は、そんなことはありません。



2006年に、経済産業省が「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として「社会人基礎力」を提唱したのをご存知でしょうか。これは、あらゆる業界・職種でも求められる社会人として必要な基礎力を、3つの能力と12の能力要素に分けたものです。



そして、その項目は面接で用いられる「面接評価シート」の基準としている企業が多く存在しています。つまり、この「社会人基礎力」がある人物だと感じてもらうことが、面接を突破するカギだといえるでしょう。



「社会人基礎力」として求められている能力は、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つ。企業によって重視している力が異なるため、自分の志望している企業がどの能力を強く求めているのか分析しておきましょう。



このように、「社会人基礎力」を踏まえたうえで企業が求めている能力をアピールできれば、無名大学の人でも難関企業に入社できるチャンスが掴めるかもしれません。OB・OG訪問や人事部の人に直接会う機会があった際は、企業が重視している能力を聞き出してみると、よいかもしれませんね。



■「大学選び」は就職先だけで決めるわけでもない



ある一橋大卒業生の言葉のように、行きたい大学の卒業生の就職先を確認しておくことも必要なのかもしれません。



しかし大学選びを「就職先だけを見て決める」というのも、また偏った考え方だといえるでしょう。大学で何を学びたいのか?もっといえば、どの教授から何を教わりたいのか?どのような環境で学問に取り組みたいのか?という点もまた重要といえます。



前述の一橋大卒業生はOB・OGが少ない中で、希望の企業に就職できたのだと思います。それがなぜかといえば、一橋大を希望した理由にこそあるのではないでしょうか。「やりたい学問にしっかり取り組めそう」「試験の範囲が広くても、どうしてもこの大学でやりたいことがある」そういう気持ちで受験に取り組んだのだと思います。この意欲こそが、就活にもまた必要だといえそうです。



学問を修めるには、自主性が何よりも重要です。この自主性こそが「社会人の基礎的な力」となるのではないでしょうか。どの大学を選ぶか、これも戦略的に考えながら「何を学ぶか、学んだか」という点も考えていきたいですね。



【参考】
『人生100年時代の社会人基礎力について( https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/jinzairyoku/jinzaizou_wg/pdf/007_06_00.pdf )』経済産業省



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