投資初心者に人気がある「つみたてNISA」。
つみたてNISAを始めるためには金融機関でNISA口座を開設する必要がありますが、どこで口座を開設しようか悩んでしまいますよね。
筆者はもともと銀行員として働いていたのですが、投資初心者だからこそNISA口座を銀行で開設することはおすすめしません。
今回はなぜ銀行でNISA口座を開設すべきでないのか、その理由についてお伝えします。
■そもそも「つみたてNISA」とは
つみたてNISAとは、2018年1月にスタートした積立投資専用のNISAのことを指します。
若い世代にも長期的な資産形成を行ってほしいという思いを込めて2014年から始まったNISA制度でしたが、いざ始まってみると「余裕資金がない」「始め方がわからない」といった声が多く、利用者の大半は中高年が占める結果となってしまいました。
そこで、もっと若年層でも始めやすい投資制度を作ろうと、長期にわたり分散、積立投資ができる制度「つみたてNISA」が誕生したのです。
つみたてNISAにおける一番の特徴は、投資によって得られた売却益や運用益が最長20年間は非課税となることでしょう。(NISAの投資上限額が年間120万円であるのに対し、つみたてNISAの年間投資上限額は40万円)
通常、投資を通して得た利益には20.315%の税金がかかることを考えると、非課税の恩恵を最長20年間も受けることができるのはとてもお得だといえますね。
また、つみたてNISAで扱っている投資信託は金融庁によって厳選されており、2020年4月現在で181本となっています。
金融庁の厳しい審査要件を通過した商品であることから、投資初心者でも比較的投資に失敗するリスクが低いといえるでしょう。
■口座開設に銀行をおすすめしない理由
さて、とてもお得なNISA制度ですがNISA口座は1人につき1口座までしか開設できないため、どこの金融機関で開設しようか悩んでしまう方も多いはず。
とはいえ、冒頭でも述べたように投資初心者が銀行でNISA口座を開設することはおすすめしません。
その理由として、
● 取り扱っている投資信託の数が少ない
● 最低積立金額がネット証券に比べ割高である
● 他商品の勧誘にあう恐れがある
といったことが挙げられます。
詳しく見ていきましょう。
■取り扱っている投資信託の数が少ない
2020年4月時点で、金融庁が厳選したつみたてNISAの対象商品は181本。
とはいえ、すべての対象商品が購入できるわけではなく、金融機関によって扱う商品が異なります。
そこで今回は、メガバンクのつみたてNISA取扱商品数について調べてみました。

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メガバンクのNISA取扱商品数(各行の資料を参考に筆者作成)
メガバンクに対し、楽天証券やSBI証券では150本以上の商品ラインアップがあり、その差は歴然です。
取り扱いが少なければ当然選択肢が狭くなりますので、あなたのニーズに合った積立投資が実現できない可能性が高まるといえるでしょう。
■最低積立金額がネット証券に比べ割高である
つみたてNISAの年間投資上限額は40万円と定められていますが、最低積立金額は各金融機関によって異なります。
こちらも先ほどのメガバンクでまずは確認してみましょう。

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メガバンクの最低積立金額(各行の資料を参考に筆者作成)
最低積立金額についても、楽天証券やSBI証券を始めとしたネット証券であれば100円から始めることができます。
最低積立金額は投資信託1本に対してかかるため、もし最低額が1万円の場合には3本購入した時点で合計3万円となることから、つみたてNISAの毎月の投資上限額に達してしまうでしょう。
最低積立金額が低ければ低いほど、少しのお金でさまざまな金融商品へ分散投資をすることができるといったメリットがあります。
■他商品の勧誘にあう恐れがある
投資初心者が銀行でNISA口座を開設すべきでない一番の理由として、他商品の勧誘に合う恐れがあることが挙げられます。
投資初心者であればあるほど、勧誘内容が自分のニーズに適しているかどうか判断することができず、気づいたら他の金融商品も契約していたなどというケースは決して珍しいことではありません。
つみたてNISAの口座開設で足を運んだはずなのに、結果として全然関係ない契約をしてしまったら後悔してもしきれないですよね。
その反面、ネット証券であれば対面でやりとりをすることなくネット上だけですべての手続きが完了することから、勧誘をされる恐れがありません。
よって、投資初心者は銀行よりもネット証券でNISA口座を開設したほうが勧誘にあうリスクが低いといえるでしょう。
■まとめ
今回は、なぜ投資初心者が銀行でつみたてNISAを始めるべきではないのかについてお伝えしました。
日ごろ何かと利用する機会が多い銀行ですが、だからといってつみたてNISAもそこで始めてみようという考えは少々危険でしょう。
万が一金融機関選びに失敗してしまうと、翌年になるまでNISA口座の変更はできません。
そのため、開設前に複数の金融機関を比較検討したうえで、あなたのライフスタイルや投資プランにあったところで開設するようにしてくださいね。
【参考】
「つみたてNISAとは( https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/overview/index.html )」金融庁
「つみたてNISA対象商品の内訳(4月1日時点)( https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20170614-2/28.pdf )」金融庁
「NISAで投資を始めよう( https://www.bk.mufg.jp/isa/index.html )」三菱UFJ銀行
「つみたてNISA( https://www.smbc.co.jp/kojin/special/tsumitate/product/nisa/ )」三井住友フィナンシャルグループ
「つみたてNISAとは( https://www.mizuhobank.co.jp/retail/products/nisa/tsumitate/index.html )」みずほ銀行
「つみたてNISA( https://www.sbisec.co.jp/ETGate/WPLETmgR001Control?OutSide=on&getFlg=on&burl=search_nisa&cat1=nisa&cat2=tsumitate&dir=tsumitate&file=tsumitate_nisa_top.html )」SBI証券
「つみたてNISA( https://www.rakuten-sec.co.jp/nisa/tsumitate/ )」楽天証券
「みんなにいいさ!NISAがいいさ‼( http://www.jsda.or.jp/nisa/ )」日本証券業協会