理想の年収――1,000万円が夢、400万円あれば十分、それぞれの家庭環境や理想像によって、ちょうどいい年収には違いがありますよね。国税庁による「令和元年分 民間給与実態統計調査( https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/pdf/001.pdf )」の調べでは、令和元年の平均給与は436万円。

うち男性の平均は540万円、女性は296万円であるそうです。



今回注目するのは、そんな平均年収よりもちょっとリッチな年収600万円世帯。子どもを私立に通わせるボーダーラインともいわれるこの家庭では、どのような暮らしができるのでしょうか。実際の生活に迫ってみました。



■年収600万円世帯はどのくらい貯金をしている?



先ほどのデータによると、年収600~700万円世帯は全体の6.5%。年収100~300万円が29.1%、年収300~600万円が41.7%であるところをみても、ややゆとりがあるのではという印象を受けます。では、総務省統計局「家計調査 貯蓄・負債編 二人以上の世帯( https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20190&month=0&tclass1=000000330007&tclass2=000000330008&tclass3=000000330009&result_back=1 )」から、年収600万円世帯の平均貯蓄・負債についてみてみましょう。



年収600~650万円世帯(平均622万円)※勤労者世帯・すべて平均

世帯主の年齢:47.5歳(世帯人員3.40人・うち18歳未満1.08人)
貯蓄:1,072万円
負債:1,039万円(うち住宅・土地のための負債976万円)
持ち家率:79.8%



貯蓄は1,000万円を越えていますが、同時に負債もほぼ同じくらいの額があり、差額である純貯蓄額はわずか33万円です。持ち家率も8割に迫り、住宅・土地のための負債がその多くを占めていることが分かります。さらに世帯人員数から推測するに、住宅ローンの返済と子どもの教育費に出費がかかり、貯蓄を増やすには至っていない現状がうかがえるのではないでしょうか。マイホームなどの夢は叶いそうですが、金銭的にそこまでゆとりがあるわけでもなさそうです。



■私立に通わせるボーダーライン



そんな年収600万円世帯は、私立に通わせるボーダーラインともいわれているそう。実際、文部科学省の「子供の学習費調査( https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&query=%E5%B9%B4%E5%8F%8E&layout=dataset&stat_infid=000031894274 )」で私立に進学した家庭の年収構成をみてみると、私立小学校・私立中学校ともに、年収600万円世帯から割合が10%を越えて二桁に増加しています。



私立と公立の学費の違いをみると、公立小学校32万1,281円(月額約2万7千円)、私立小学校159万8,691円(月額約13万3千円)と、小学校では月額で10万円ほどの差があることが分かります。また、公立中学校48万8,397円(月額約4万1千円)、私立中学校140万6,433円(月額約11万7千円)と、中学でも7万6千円ほどの差です。毎月教育費にこのくらいかけられるかどうかが私立を選択する目安となり、その境がちょうど年収600万円なのかもしれません。



しかしデータによると、私立に進学する家庭の年収構成は1,000万円越えが約半数。年収600万円世帯が私立を検討するならば、早くから貯蓄目標をたて計画的に資金を捻出する必要はありそうです。



■年収600万円世帯の暮らし向きは



では、実際に年収600万円世帯はどんな暮らしをしているのでしょう。総務省統計局「家計調査 貯蓄・負債編 二人以上の世帯(1世帯当たり1か月間の収入と支出)( https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20190&month=0&tclass1=000000330007&tclass2=000000330008&tclass3=000000330009&result_back=1 )」から平均的年収である400万円世帯と比較し、毎月どのくらい出費をしているのか主要項目をピックアップしてみましょう。



年収400~450万円世帯/年収600~650万円世帯 ※すべて平均

【消費支出】400万円世帯:259,574円/600万円世帯:289,910円



【食料費】70,265円/77,472円
【外食】9,818円/13,396円
【被服及び履物】8,263円/11,449円
【教育】5,259円/11,284円
【教養娯楽】24,612円/28,799円



食料費・外食費・教養娯楽費など、やはり平均年収世帯よりも若干支出する余裕がみてとれる年収600万円世帯。教育費に至っては、倍近い差が出ています。前項でも述べた私立への選択肢などに鑑みると、まずはこの年収600万円をリアルな目標とするのもいいかもしれないですね。



■余裕はつくれる、でも身の丈に合った生活が大切



平均年収よりもゆとりのある年収600万円世帯は、マイホームや私立学校など、一般的にイメージする「余裕のある生活」が送れそうなボーダーラインだともいえそうです。また平均年収から考えるに、共働きで世帯年収をあげることで、年収600万円なら比較的到達しやすいのではないでしょうか。



しかし純貯蓄額の少なさからも分かるように、決して贅沢はできないのが現実。背伸びをした生活を送っていると、あとで大変なことになるかもしれません。年収が600万円あれば余裕をつくることもできますが、身の丈にあった生活をすることも忘れてはいけませんね。



【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。



【参照】
国税庁「令和元年分 民間給与実態統計調査( https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/pdf/001.pdf )」
総務省統計局「家計調査 貯蓄・負債編 二人以上の世帯( https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20190&month=0&tclass1=000000330007&tclass2=000000330008&tclass3=000000330009&result_back=1 )」8-2年間収入階級別
文部科学省「子供の学習費調査( https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_01.pdf )」5 世帯の年間収入段階別,項目別経費の構成比
総務省統計局「家計調査 貯蓄・負債編 二人以上の世帯(1世帯当たり1か月間の収入と支出)( https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20190&month=0&tclass1=000000330007&tclass2=000000330008&tclass3=000000330009&result_back=1 )」7-1貯蓄・純貯蓄・負債現在高階級,年間収入階級別
び日本学生支援機構「平成30年度学生生活調査結果( https://www.jasso.go.jp/about/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2020/03/16/data18_all.pdf )」



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