労務行政研究所は2021年10月13日、東証第1部上場企業の2021年年末賞与・一時金(ボーナス)の妥結水準調査の結果を公表しました。それによると、冬のボーナスは平均71万5553円となり、2019年以降3年連続で減少傾向となりました。



そこで今回はこの調査を詳しく見ていきます。



■製造業は▲3.1%、⾮製造業は3.5%増に



同調査は、東証第1部上場企業208社を対象に、「夏冬型」の年間協定ですでに決定している年末賞与・⼀時⾦の妥結⽔準を調査・集計しています。それによると、全産業208社の平均で71万5553円、対前年同期⽐で▲1.9%(▲1万3971円)となりました。(図)



【図】2021年年末賞与・一時金の妥結水準集計(東証第1部上場企業208社)



【冬のボーナス】一部上場企業 71.5万円 3年連続マイナスに

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【出典】一般社団法人労務行政研究所「東証第1部上場企業の2021年年末賞与・一時金(ボーナス)の妥結水準調査」(2021年10月13日)



産業別に⾒ると、製造業は同▲3.1%、⾮製造業は同3.5%と傾向が分かれていることがわかります。



■冬のボーナス 下げ幅は縮小



ここからは、年末賞与の推移を見ていきます。



■年末賞与の推移(前年同期比)



  • 2011年:70万7375円(7.4%)
  • 2012年:69万4581円(▲1.1%)
  • 2013年:67万8793円(▲1.2%)
  • 2014年:70万9283円(4.6%)
  • 2015年:73万2888円(3.7%)
  • 2016年:71万8124円(1.1%)
  • 2017年:71万2898円(▲0.1%)
  • 2018年:75万3389円(3.9%)
  • 2019年:74万7808円(▲0.1%)
  • 2020年:74万3968円(▲3.2%)
  • 2021年:71万5553円(▲1.9%)

近年の推移を⾒ると、2014年に⼤⼿企業を中⼼とした業績改善を背景として4.6%とプラスに転じ、2015年3.7%、2016年1.1%と3年連続で増加をみせました。



しかし、2017年に▲0.1%と⼩幅ながら減少。2018年は3.9%と再び増加したものの、2019年▲0.1%、2020年▲3.2%、2021年▲1.9%と、3年連続のダウンとなっています。



ただ、2020年の▲3.2%からマイナス幅は縮⼩しています。



■冬のボーナス 平均2.34カ月に



ここからは、年末賞与・一時金の支給月数を見ていきます。



平均⽉数は、集計社数203社の平均で2.34カ⽉となり、同⼀企業で⾒た場合の前年同期(2.40カ⽉)から0.06カ⽉の減少となりました。



なお、個別企業の状況を⾒ると、⽉数の最⾼は3.37カ⽉(前年同期4.53カ⽉)、最低は0.75カ⽉(同1.00カ⽉)と、ともに前年同期を下回っています。



■まとめにかえて



今回は、年末賞与・一時金の調査結果を見てきました。



長期化するコロナ禍の影響もあってか、ボーナスはここ数年減少傾向が続いていることがわかる結果となりました。



とはいえ、2021年4月に発出された緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置は、9月30日をもって全都道府県で解除されています。今後は経済活動ももとに戻り、ボーナスの水準も増加傾向になるかもしれません。今後の市場の動向をチェックしていきましょう。



■参考資料



  • 一般社団法人労務行政研究所「東証第1部上場企業の2021年年末賞与・一時金(ボーナス)の妥結水準調査」(2021年10月13日)( https://www.rosei.or.jp/research/pdf/000080927.pdf )
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