皆さん、カレーは週に何回くらい食べますでしょうか。



全日本カレー工業協同組合の統計によれば、カレー製品生産量(カレー粉、カレールウ含む)は2017年以降毎年増加しています。



2017年に生産量は10万6263トンであったものが、2020年には11万3570トンにまで増加しています。



また、2019年には11万2845トンであったので、コロナ禍で増加したともいます。



さて、カレーといえば、最近でいえばコロナ禍でもあったので家で食べるという人も多いと思いますが、やはり、私も含めてそうかと思いますが、外食の楽しさであったり、おいしさを改めて感じる人も多いのではないでしょうか。



もっとも、個人的には、「ココイチ」にいけば、ポークカレーやチキンにこみカレーをベースとして、トッピングとタマゴサラダを必ず注文するのですが、最近のトッピング価格に関してはいろいろ意見もあると思います(※編集部注)。



今回は、大手カレー専門店チェーンであるカレーハウスCoCo「壱番屋」、通称「ココイチ」についてみていきたいと思います。



【※編集部注】値上げ後のココイチ「高くてもうトッピングできない…」 問われる今後の戦略( https://limo.media/articles/-/15650 )



■すでに吉野家よりも店舗が多い「ココイチ」



2021年12月6日の「ココイチ」を運営する壱番屋の開示資料によれば、店舗数は1463店舗。



実は、この店舗数、牛丼チェーン店業界でいえば、すき家ほどの規模はありませんが、実は、吉野家や松屋を大きく超えています。



その一方で、カレーチェーン店でというと、ココイチの次が思いつかないのが不思議な気がします。



カレー好きの私としては、日乃屋カレー、ゴーゴーカレーなどにも足を運びますが、気が向いた時には入れる確率は圧倒的にココイチが多いというのが印象です。



■「ココイチ」のカレーはなぜ消費者に受け入れられ、店舗拡大ができたのか



カレーの原材料はなんといってもスパイス。そして複数のスパイスを組み合わせて味を調えていくのがカレーの醍醐味であります。



それらのスパイスの安定調達ルートを確保できなければ、カレーは提供できません。



スパイスは、産地の天候などによって、品質や収穫量が変わり、結果価格も変動することになります。



また、産地の政治情勢などは、調達する側から見れば大きく影響します。



したがって、カレーを消費者に提供する側からすると、調達先が確保できなければ定番メニューも準備できないですし、店舗拡大もできないということになります。



カレーでおなじみのハウス食品グループ本社は2015年12月に「ココイチ」を運営する壱番屋の株式を取得し、壱番屋を子会社化しました。



以前からハウス食品グループ本社は壱番屋の株式を保有していましたが、さらに買い増した格好となっています。



もともと資本関係にあった両社は、ハウス食品グループ本社から見れば壱番屋は「ココイチ」を展開するスパイスの「アプリケーション」であるカレー粉を活用した外食産業での重要な顧客であり、また、壱番屋から見れば重要なスパイスの調達先とみることができます。



この両者の組み合わせは、子供のころからハウス食品のカレールウで慣れ親しんできた消費者からすれば、いわゆる本格インド風カレーとは違った、極端な言い方をすれば、毎食でも食べられるような日本人に合うカレーを生み出すベストパートナーであった印象すらあります。



■トッピングを頼まずにはいられないカレーのシンプルさ



ココイチの商売のうまさというか消費者心理をくすぐるのは、トッピングの品揃えの多さとそもそもベースになるカレーのシンプルさだと感じています。



冒頭にもあげたポークカレーやチキンにこみカレーだけだと、それだけでも十分においしいのですが、カレー自体がさらさらとして口当たりが物足りないなという感覚があります。



そうした際に生きるのがトッピングです。



トッピングは肉類から魚介類、野菜類、そしてチーズなどのその他トッピングもあり、色々好きなものを選べます。



個人的には、ハンバーグ(262円込、2021年12月17日同社ウェッブサイトで確認)やほうれん草(231円同)を毎回トッピングするのですが、これだけで客単価は500円近くをアップさせることができます。



「せっかくココイチに来たんだからトッピングはしないともったいない」と思わせる絶妙なアップセル戦略といえます。



■足元の客単価と客数はどうなっているのか



2021年11月の月次動向を見てみましょう。



11月の既存店売上高は97.4%で前年同月比でマイナス成長となっています。



ただ、その売上高の内容は、客数が95.7%でマイナスの一方、客単価は101.8%とプラス成長となっています。



この構造はコロナ禍の2020年3月から見ても大きく変わっていません。



客数に関しては、途中2021年4月と5月は前年の反動もあり、100%を回復していますが、6月に入り、再び100%を割っています。



一方、客単価は継続的に100%を超えています。



値上げやトッピング戦略が構想しているといえますが、マクロ環境でいえば資材インフレや今後の消費者の嗜好の変化が同社の商品戦略に影響を与えそうです。



■参考資料



  • 全日本カレー工業協同組合「カレーの数字」( http://www.curry.or.jp/reference/number.html )
  • 壱番屋「トッピング」( https://www.ichibanya.co.jp/menu/topping.html )
編集部おすすめ