一般財団法人 東京私立中学高等学校協会によると、東京の出願開始期日は毎年1月10日以降、選抜開始期日は毎年2月1日以降(学校により入試日は異なる)。中学受験が本格的にはじまる時期となりました。
日本テレビの2021年10月期土曜ドラマで放映された『二月の勝者-絶対合格の教室-』でも話題となった中学受験。一方で、中学受験には塾や学費などまとまった費用がかかる印象があります。
今回は東京の子育て家庭に視点をあてて、共働き・片働き世帯それぞれの仕事や年収事情をみていきましょう。
■東京の子育て世帯、夫婦の就業形態は?
生命保険文化センターの「私立中学校に通う割合はどの程度?」によると、2019年度の全国の中学校生徒数は約322万人で、私立中学校に通う生徒は約7.4%。
私立に通う中学生の割合が多いのは、上から東京都、高知県、京都府、奈良県、神奈川県です。
その中でも東京では30万377人中、7万5003人が私立中学校に通っており、その割合は25.0%。2位の高知(18.1%)と約7ポイントの差で、都道府県のなかで唯一2割を超えています。東京では中学生の約4人に1人が私立なのですね。
では、東京の子育て世帯の仕事状況や年収を確認しましょう。
少し前の調査にはなりますが、小学生までの子どもを養育する3318世帯と20歳未満の子供を養育するひとり親543世帯を合わせた3861世帯に調査した「平成29年度 東京都福祉保健基礎調査『東京の子供と家庭』」より、まずは東京の子育て世帯の親の就業状況を確認しましょう。

出典:東京都「平成29年度東京都福祉保健基礎調査」
男性は98.2%が就業しています。
一方で、女性で就業しているのは65.9%。
およそ6割が共働きで、うちフルタイムで働く女性は約35%と考えられます。
■共働き世帯の「年収1000万円以上」は28.5%
次に、同調査より共働きと共働きでない世帯に分けて、世帯年収を確認しましょう。

出典:東京都「平成29年度東京都福祉保健基礎調査」
上記を見ると、共働き・共働きでない世帯ともに世帯年収のボリュームゾーンは「600~800万円未満」(共働き世帯22.8%、共働きでない世帯22.0%)。
共働き世帯では、次に「800~1000万円未満」(16.8%)、「1000~1200万円未満」(13.8%)、「500~600万円未満」(13.4%)。年収1000万円以上は28.5%です。
一方で、共働きでない世帯では次に「500~600万円未満」(15.9%)、「800~1000万円未満」(15.1%)、「1000~1200万円未満」(9.6%)。年収1000万円以上は18.0%です。
東京では共働き・共働きでない世帯ともに年収1000万円以上が約2~3割でした。では、日本の全体と比べるとどうでしょうか。
■日本の一般的な子育て世帯の年収は600万円台
日本の一般的な子育て世帯の年収について、厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査の概況」より確認します。

出典:厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」
上記を見ると、児童のいる世帯の総所得は平均で745.9万円。
子育て世帯の平均的な年収は約650万円と考えられますね。
同調査より、全世帯の所得金額階級別の分布も確認しましょう。

出典:厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」
上記は全体の結果ですが平均所得金額は552.3万円。より実態に近い中央値は437万円です。
また、1000万円以上の世帯は12.1%とおよそ1割程度。先ほどの東京の子育て世帯は、全体と比べると世帯年収1000万円以上の割合が多いと分かりました。
■親子で納得のいく選択を
今回は東京の子育て世帯の世帯年収をながめてきましたが、全体と比べると年収が高いことが分かります。約4~5世帯に1世帯が年収1000万円以上という結果に、驚かれた方もいるかもしれませんね。
中学受験はお金の問題だけでなく、子どもに合った教育や校風の学校を選べる、学校によっては大学入試の準備がしっかりできるなどのメリットも多いです。総合的に考えて、親子で納得のできる選択ができるといいでしょう。
■参考資料
- 日本テレビ「二月の勝者-絶対合格の教室-」( https://www.ntv.co.jp/2gatsu/ )
- 一般財団法人 東京私立中学高等学校協会「知っておきたい入試のこと」( https://j.tokyoshigaku.com/knowledge/ )
- 生命保険文化センター「私立中学校に通う割合はどの程度?」( https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifeevent/789.html )
- 東京都「平成29年度東京都福祉保健基礎調査」( https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/10/31/13.html )
- 厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」( https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html )