■有名な「ぶぶ漬け」フレーズや「おこしやすとおいでやすの違い」も



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ひとことに「関西弁」といっても地域によりさまざまです。



その一つ、京都には独特の表現があることをご存知でしょうか。



観光の街である京都では、舞妓さんも普通に道を歩いています。はんなりゆったり時間が過ぎる京都。そんな京都で話される京ことばには、気をつけたい表現も潜んでいます。



今回は京都人の独特な言い回しや、全国からのイメージとは違う実際のところについてまとめてみたいと思います。



■「ピアノうまくなったね」と言われたら何と答える?



もしご近所さんに「子どもさん、ピアノうまくなりましたね」と声をかけられたら、なんとお返事しますか?



多くの方は「ありがとうございます」と答えたあと、家で子どもをほめてあげるのではないでしょうか。



しかし京都では異なります。




「ピアノうまくならはったね」の答えは、「うるさくしてすみません」だと教えられて育つのです。



一部の京ことばには「皮肉」ともとれる表現が混ざっていることから、「京都人は嫌味をいう」と言われることもあります。



ただし誤解してもらいたくないのは、決していじわるを言うつもりで口にするわけではないということです。



京都は長い歴史の中で、何度も都となってきました。権力者が身近にいるという地域柄、本音をオブラートに包みながらも伝えることが求められてきたのです。



言葉は生き物なのでどんどん変化していますが、それでも一部の京ことばには、独特の表現が残っていると言われます。



■「おこしやす」「おいでやす」の違いとは



こちらも良く京都以外の方から質問されることですが、「おこしやす」と「おいでやす」には明確な違いが潜んでいます。



京都のお店に入ると、「いらっしゃいませ」ではなく「おこしやす」「おいでやす」と声をかけてもらうことがあります。



京都市内の喫茶店やお土産物屋さんではごく一般的な表現です。しかし、両者には「歓迎度の違い」が隠されているのです。



歓迎度が高いのは「おこしやす」。ここには「山を越えてはるばると」というニュアンスが含まれており、わざわざ来てもらってありがとうございます、という意味になるのです。



一見さんには「おいでやす」、常連さんには「おこしやす」を使うという説もあります。



ただし近年ではほとんど差がないという見方もありますし、実際にお店の人がお客さんを区別することはないでしょう。



言葉の違いよりも、「おこしやす」「おいでやす」の京ことばを堪能するほうが楽しいですね。



■本当に皮肉が含まれる?京ことばの誤解



「ピアノうまくなりましたね」と同じような表現として、「ぶぶ漬けを召し上がりますか?」という有名フレーズもあります。



ぶぶ漬けの例



京都人に「ピアノうまくなったね」は禁句?はんなり京ことばに潜む罠と誤解

出所:kai keisuke/shutterstock.com



ぶぶ漬けとは「お茶漬け」のことで、料理を楽しんだ最後に締めとして出されるものです。



もし友達の家でご馳走になったときや、長居したお店などで上記のフレーズを言われたときは、「長居してすみません。

そろそろ帰ります」というのが正解のようです。



これは京都やその周辺の地域では有名なフレーズで、半分以上がネタとして使われます。



少なくとも今の若い方たちは、このような表現をしないでしょう。



■おわりに



いくつかの京都人の表現をご紹介しました。皮肉を含んでいると誤解されがちな京ことばですが、京都人の特徴は言葉を発する方よりも聞き手にあるように筆者は考えます。



つまり「相手の言葉から本音を推し量る」のが京都人の県民性ではないかということです。



言葉どおりに受け取るのではなく、そこに伝えたいことが含まれていないか?と常に考えているイメージなので、実際には空振りすることも少なくありません。



県民性といっても京都の人全員にあてはまるわけではなく、京都の地域によっても違いますし、京都の中でもざっくばらんな人はたくさんいます。



それでも「ピアノ」「ぶぶ漬け」ネタはいつまでも語り継がれるのが面白いところ。



コロナ禍で観光の足は遠のいていますが、機会があればぜひ「はんなり京ことば」に触れてみてはいかがでしょうか。



■参考資料



  • 京都観光オフィシャルサイト京都観光Navi「京ことばの特徴」( https://ja.kyoto.travel/glossary/single.php?glossary_id=994 )
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