■老後の貯蓄は最低いくらあれば足りるのか



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2019年に「老後2000万問題」が話題になり、はや4年。最近はあまり話題にならなくなりましたが、当時は老後どうなるのだろうと思った人も多かったと思います。



人生100年時代といわれる現代、公的年金の減少や生活必需品の相次ぐ値上げなどで長生きする時代の新しい問題がでてきました。



今回は、日本の60代のお金事情にフォーカスします。



60代といえば、定年退職を迎えたり、教育費のかかる時期がひと段落したりと、金銭的な余裕がうまれやすいタイミング。そろそろ老後資金の準備を始めようと意気込んでいる人も、いるかもしれません。



たしかに、最近では定年延長や再就職といった選択肢も増えてきています。しかし、「60代になってから貯蓄する」という考えには注意が必要です。



では早速、熟年世代のお金事情をひもといていきます。



■1. 60代の平均貯蓄額



まずは金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」を参考に、60歳代二人以上世帯の貯蓄額についてまとめていきます。



平均だけでなく「金融資産保有額」ごとの人数も記載しているので、より実態がわかりやすくなっています。



60歳代で貯蓄「ゼロ」の割合を円グラフで確認!国民年金・厚生年金の実態も

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」をもとにLIMO編集部作成



■1.1 60歳代世帯「金融資産保有額」(※金融資産を保有していない世帯を含む)



・平均:2427万円
・中央値:810万円



■1.2 保有額ごとの人数割合



・金融資産非保有:19.0%
・100万円未満:6.4%
・100~200万円未満:4.8%
・200~300万円未満:3.4%
・300~400万円未満:3.3%
・400~500万円未満:2.6%
・500~700万円未満:5.9%
・700~1000万円未満:5.3%
・1000~1500万円未満:8.4%
・1500~2000万円未満:6.0%
・2000~3000万円未満:9.6%
・3000万円以上:22.8%
・無回答:2.6%



3000万円以上を保有する世帯は22.8%いることがわかります。一方、「金融資産を保有していない」という世帯も、19.0%います。



■2. 60代の年金受給額の平均



では、今の60代は月平均でいくらの年金を受給しているのでしょうか。



ここからは厚生労働省が2021年12月に公表した「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(2020年度)」を参考に、年齢別の年金受給額をご紹介します。



■2.1 国民年金の平均年金月額



  • 60~64歳 4万2306円
  • 65~69歳 5万7502円

■2.2 厚生年金(第1号)の平均年金月額



  • 60~64歳 7万5922円
  • 65~69歳 14万3069円

※国民年金(基礎年金)の月額を含みます。



国民年金とは日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する年金で、ベース部分となる基礎年金です。



会社員や公務員等は上乗せして厚生年金にも加入するため、平均額でも大きな差があります。



自営業か会社員かなどでも、将来必要となる老後資金は変わることになります。



ただし、厚生年金に加入していても月の平均は14~15万円ほど(65歳未満では繰上げ受給や特別支給を対象とするため、金額は少なくなっています)。



老後の住まいが持ち家か賃貸か、あるいは老人ホームへ入居するのかだけでも、この金額で生活できるかは異なります。



ただし突発的な支出や医療費、介護費用などを見込めば、どんな人にもある程度の備えは必要であることがわかります。



■3. 老後に向けた投資・資産運用



「貯蓄は60代になってから取り組めばいいや」と先延ばしにしていると、収入面の変化や臨時の出費、さらには健康状態の変化などにより、思うように貯蓄できない可能性もあります。



金銭的な不安を抱えたまま老後を迎えることになりかねません。



そのため、今あるお金、今後もらうお金にしっかりと働いてもらうことが重要となってきます。



銀行預金と比較して、リスクはありながらも高いリターンを狙える投資を活用することで、老後の資金の蓄えを増やすこともできます。



退職金、年金、出費、資産運用と、老後に関連するお金のテーマは幅広いですが、できることからコツコツ準備していきましょう。



■4. 老後の貯金、最低でいくらあればいい?



先述した年金の平均受給額からも「年金だけでは生活できない」ことが読み取れます。



とくに、国民年金の場合は満額受給できても約6.5万の受給月額です。
持ち家の方でも、固定資産税・食費・光熱費など最低限の生活をするだけで赤字になることが想定されます。



厚生年金の場合は平均月額が約14万円と少し状況は良いですが、社会保険料などを差し引いた手取り10万円そこそこの生活では相当切り詰めた生活になるでしょう。



そうなると命運をわけるのは貯蓄額になってきます。老後が30年あるとして1000万円の貯蓄があれば年間33.3万円(月2.77万円)ずつ取り崩すことができます。



2000万円の貯蓄があると月5.54万円の取り崩しが可能となり、厚生年金の平均14万と合わせた場合で月20万弱の生活水準になるイメージです。



節約をしてカツカツの生活はできそうですが、介護費用が発生すると貯蓄の取り崩しペースがあがりまだ寿命があるうちに貯金が底をつく可能性が高い水準ともいえます。



理想をいえば、「(月の生活費―公的年金の受給月額)×12ヶ月×30年」したものに、「介護費用として+1000~2000万円程度」の貯蓄を確保しておきたいところです。



■5. 今からゆとりある老後の備えを 



これからの時代を生き抜くには超低金利の銀行預金に「貯金=お金を置いているだけ」から脱却して、「お金に働いてもらう=資産運用」を取り入れる必要があります。



資産運用というと「リスクが怖い」「難しそう」「何から始めたらいいの」と思う方がいるかもしれません。



しかし、わたしたちの公的年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、リスクをとりながら国内や海外の株や債券などで運用しています。



金融商品や運用スタイルは多岐にわたりますが、大切なことは「目的とリスク許容度に合わせた投資をすること」です。



情報過多の時代、目につく金融商品に飛び込みそうになりますが、まずは理想の老後について自分自身と向き合ってみてもいいかもしれません。



■参考資料



  • 金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯](令和2年)( https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari/2020/20bunruif001.html )
  • 日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」(2022年4月1日)( https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2022/202204/040103.html )
  • 厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2021年12月)( https://www.mhlw.go.jp/content/000925808.pdf )
  • 生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」( https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1141.html )
  • 年金積立金管理運用独立行政法人「2020年度の運用状況」( https://www.gpif.go.jp/operation/last-years-results.html )
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