三井住友トラスト・ホールディングスは2022年7月7日、米アポロ・グローバル・マネジメントグループなどと業務提携し、アポログループの会社とともに総額15億ドルのオルタナティブアセットへの投資を行うと発表しました。



具体的には、未公開株、不動産、インフラ、クレジットといった流動性の低い資産に投資するとしています。



足元の低金利環境の継続や株式市場のボラティリティ拡大などを背景にこうしたオルタナティブアセットへの関心が高まる中、長期的に安定した超過リターンを生み出す資産が必要であり、今回の投資を通じて、投資機会の多様化や収益機会の提供などを図る考えです。



このような金融業界の動きを通じて資産運用の幅が広がる中、「より効果的な貯蓄」について今一度考えを見直している方もいらっしゃるのではないでしょうか。



そこで今回は、「日本の60歳代のお金事情」に焦点を当て、貯蓄が100万円未満の割合を紹介します。



■60歳代の貯蓄額の平均とは



まずは金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」を参考に、60歳代二人以上世帯の貯蓄額についてまとめていきます。



日本の60歳代、貯蓄「100万円未満」の割合は25%。円グラフで知る日本の「残酷」

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和3年調査結果」をもとにLIMO編集部作成



■60歳代世帯「金融資産保有額」(※金融資産を保有していない世帯を含む)



平均値:2427万円
中央値:810万円



■保有額ごとの人数割合



  • 金融資産非保有:19.0%
  • 100万円未満:6.4%
  • 100~200万円未満:4.8%
  • 200~300万円未満:3.4%
  • 300~400万円未満:3.3%
  • 400~500万円未満:2.6%
  • 500~700万円未満:5.9%
  • 700~1000万円未満:5.3%
  • 1000~1500万円未満:8.4%
  • 1500~2000万円未満:6.0%
  • 2000~3000万円未満:9.6%
  • 3000万円以上:22.8%
  • 無回答:2.6%

このデータによると、金融資産「ナシ」を含めた貯蓄100万円未満の割合は、25.4%となりました。



4世帯に1世帯という計算となります。



一方、最も金額の大きい「3000万円以上」のクラスも22.8%と比較的近い割合となり、貯蓄の多い世帯、少ない世帯の「二極化」が見て取れる状況です。



これは俗に、「老老格差」とも呼ばれます。



■老後の生活費はいくらかかるのか



ここで、「老後に果たして生活費はいくらかかるのか」についても振り返っておきたいと思います。



みなさんは一時期話題となった「老後2000万円問題」を覚えてらっしゃるでしょうか。



政府は、以下のシミュレーションのもと、「老後には2000万円が必要」と開示しました。



■【高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)】



  • 実収入(主に年金):20万9198円
  • 実支出(主に食費):26万3718円
  • 月々の赤字額=約5万5000円
  • 老後必要額=5万5000円×12カ月×30年(老後30年と仮定)=1980万円 ※約2000万円

ただし、このシミュレーションは様々な家庭をひとつのモデルにまとめて計算したものであり、個々の家庭で考えれば、当然必要とされる貯蓄額は異なってきます。



経済状況や生活スタイルによっては、2000万円だけでは足りないケースもあることでしょう。



いずれにせよ、貯蓄がない、または100万円未満の状況では、かなり厳しい部分があるかもしれません。



■老後に向けた投資・資産運用



貯蓄の計画・実践を先延ばしにしていると、思わぬ事態が発生した際に計画通り貯蓄できない可能性もあります。



そのため、今からできることをコツコツ積み重ねていくことが重要となってきます。



そこで最後に、老後に向けた貯蓄の基礎を改めてご紹介します。



■世界株式への投資



投資するうえでまず考えたいのは、「その資産に成長性はあるか?」という点です。



一般的には、成長性の高い資産はリスクも同様に高くなりますが、それでも高いリターンを狙うのであれば、そのリスクを取ることが重要となってきます。



先進国は経済成長が熟しつつある一方、新興国も含めた「世界株式」というくくりでは、より高い成長性が期待できるでしょう。



■長期積立による長期運用



次に重要なのが、「長期・積立・分散」です。



金融商品の価格は日々変動しますので、大きな金額で一括で買うと、値下がりした際に大きな損を計上してしまう可能性があります。



一方、定期的に積立投資する場合は、価格が高い時には少量、価格が低い時には多量に買い付けます。



取得するタイミングを分散させることで購入単価が均され、値動きの影響を受けにくくなります。



■「投資と保障のバランス」を意識する



最後に、積立投資を長期で実践する場合、定期的な収入が前提となります。



積立に必要な資金がなくなった場合、資産運用そのものが継続できなくなってしまいます。



ケガや病気など、いつ何が原因でみなさんの収入がなくなってしまうかはわかりません。



ケガや病気などのリスクに備え、保険商品で最低限の保障を備えておくのも重要です。



■まとめにかえて



今回は、日本の60歳代のお金事情について振り返ってきました。



いかがだったでしょうか。



冒頭でご紹介した三井住友トラスト・ホールディングスの提携のように、足元では資産運用の幅が広まりつつあります。



今一度、幅広い視野で貯蓄プランを考え直し、できるだけ早いタイミングで実行に移していくことが重要ではないでしょうか。



■参考資料



  • 金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯](令和3年)( https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2021/ )
  • 三井住友トラスト・ホールディングス株式会社「Apollo Global Management, Inc.グループおよびGreensLedge Capital Markets LLCとの業務提携、それに伴うApollo Global Management, Inc.グループが運営するオルタナティブアセットポートフォリオに対する総額15億ドルの投資決定について」( https://www.smth.jp/-/media/th/news2/2022/220707-1.pdf )
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