7月も後半となりましたが、物価上昇がとまる兆しはありません。食品や日用品を購入するたび、値上げを実感する方も多いのではないでしょうか。



物価上昇に加え低金利の中、預貯金だけではなかなか貯蓄が進まない昨今ですが、しかし「老後資金」の自助努力の必要性は増す一方です。



今回は日本の60歳代の資産額や年金受給額を調査していきたいと思います。60歳代で「貯蓄ゼロ」の世帯は何割くらいいるのでしょうか。

リアルな貯蓄事情を見ながら、どういった資産準備が今の現役世代に求められているのかを紐解いていきます。



■60歳代の平均貯蓄額と貯蓄ゼロの割合



まずは金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」を参考に、60歳代二人以上世帯の貯蓄額についてまとめていきます。



■60歳代世帯「金融資産保有額」(※金融資産を保有していない世帯を含む)



  • 平均:2427万円
  • 中央値:810万円

■保有額ごとの人数割合



60歳代で「貯蓄ゼロ」が19%という残酷。国民年金・厚生年金の「本当の受給額」はいくら?

出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)各種分類別データ」をもとにLIMO編集部作成



  • 金融資産非保有:19.0%
  • 100万円未満:6.4%
  • 100~200万円未満:4.8%
  • 200~300万円未満:3.4%
  • 300~400万円未満:3.3%
  • 400~500万円未満:2.6%
  • 500~700万円未満:5.9%
  • 700~1000万円未満:5.3%
  • 1000~1500万円未満:8.4%
  • 1500~2000万円未満:6.0%
  • 2000~3000万円未満:9.6%
  • 3000万円以上:22.8%
  • 無回答:2.6%

「老後2000万円問題」を皮切りに、2000万円を一つの目標と考えられている方も多いと思います。



上記のデータを見ると「2000万円以上」の金融資産が準備できている方は全体の32.4%ほどしかいないことがわかります。本題の「金融資産を保有していない」、つまり「貯蓄ゼロ」の割合は、19.0%となりました。



■60歳代の年金受給額の平均はいくらか



それでは貯金がなくても年金だけで老後の生活は可能なのでしょうか。ここでは60歳代の年金受給額の月平均を確認していきましょう。



厚生労働省が2021年12月に公表した「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(2020年度)」を参考に、直近の年齢別の年金受給額をご紹介します。



60歳代で「貯蓄ゼロ」が19%という残酷。国民年金・厚生年金の「本当の受給額」はいくら?

出所:厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(2020年度)」



■国民年金の平均年金月額



  • 60~64歳:4万2306円
  • 65~69歳:5万7502円

■厚生年金(第1号)の平均年金月額



  • 60~64歳:7万5922円
  • 65~69歳:14万3069円

※国民年金(基礎年金)の月額を含みます。



一般的には65歳が年金受給開始年齢とされていますので、「60歳~64歳」で年金を受給されている方は「繰り上げ受給」をされていることになります。



繰り上げ受給の場合、前倒しして受給を受けますので、受給額も当然ながら少なくなってしまいます。「人生100年時代」と老後も30年近くありますので、受給開始年齢は慎重に検討した方が良いでしょう。



会社員や公務員などが加入する厚生年金は、年収や加入期間によって大きく差が生じます。今回は平均値を載せていますが、人によって受給額は様々ですので、「ねんきん定期便」「年金ネット」などでご自身の正確な受給額を把握しておきましょう。



老後の住居費用や老人ホームの入居費用など、個々の違いを加味すると、平均額だけでは老後を過ごすのが難しいと感じた方もいらっしゃったのではないでしょうか。



■老後に向けた投資・資産運用



老後資金の準備は、ライフプランを考える上で最も難しいと言えます。



その理由は、マイホームや教育資金といった大きな資金準備が求められ、「老後のことまでお金の余裕が回らない」と先延ばしになってしまいがちであること。また「老後何歳まで生きるか分からない」中で具体的な金額が存在しないことなどが挙げられるでしょう。

仮に、30歳の方が65歳までの35年間で老後資金2000万円を貯金だけで準備しようと思うと、毎月5万円程度の貯金をしていく必要があります。



お子さんがいたり、扶養者がいたりする方にとっては、老後のためだけに毎月5万円の貯金をしていくのは、かなりの負担となります。

上記のように貯蓄で迷われている方は、資産運用も取り入れることを検討してみてはいかがでしょうか。



確かにリスクはありますが、投資信託の仕組みや運用のポイントをしっかり押さえれば、高いリターンを充分に狙っていけるでしょう。



マイホーム資金や教育資金でお金がかかる中だからこそ、少額でもスタートさせることで老後資金も並行して準備をしていけます。



「先見の明」を持って余裕のある資産準備をすることで、安心した老後を迎えられるようにしていきましょう。



■参考資料



  • 金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯](令和3年)( https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2021/21bunruif001.html )
  • 厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(2020年度)」(2021年12月)( https://www.mhlw.go.jp/content/000925808.pdf )
編集部おすすめ