皆さんは、毎週土曜日に放送されている「人生の楽園」という番組を観たことはありますか?
もともと都会で働いていた方たちが新たな土地で第二の人生を歩みだし、その日常の一部を切り取ったという内容で、なんと今年の秋で放送22周年を迎える長寿番組です。
第二の人生として、趣味が高じて夫婦で工房やお店を開いたりするなど、番組に出られる方みなさんが自分の好きな土地で好きなことをして人生を楽しんでおり、その姿がなんとも魅力的でとても素敵な番組です。
自分の好きなことをして生きるのは幸せなのだろうと感じる一方、好きなことをして生きていくためには、少なからず経済的なゆとりが必要になりますよね。
そこで今回は、これから第二の人生を迎える60歳代の貯蓄事情を見ていきながら、定年後の人生をどう生きるかについて考えていきたいと思います。
■いざ60歳代。ゆとりある生活に毎月36万円必要?
自分の好きなように生きるためには、毎月どのくらい収入があればいいのでしょうか。
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(令和元年度)」によると、1ヵ月に夫婦二人で生活するのに必要な最低日常生活費と、ゆとりある生活費は以下のとおりです。
- 最低日常生活費:平均22万1000円
- ゆとりある生活費:平均36万1000円
上記の結果から、ゆとりある老後生活を送るためには最低日常生活費以外に毎月14万円ほど必要だということが分かりました。
ゆとり生活のために上乗せした14万円の使い道は「旅行やレジャー」が最も多く、以下は「趣味や教養」「日常生活費の充実」が続いています。
たしかに、毎月の生活費に加えて14万円ほどゆとりがあれば、旅行や趣味を思う存分楽しめそうですよね。
しかし、実際に毎月36万円ほどの収入を得ることはできるのでしょうか。次の項から詳しく見ていきたいと思います。
■60歳代は年金としていくらもらえる?
最初に、老後生活の柱となる年金受給額から見ていきます。厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金受給額は以下のとおりです。
■国民年金の平均月額
<全体>平均年金月額:5万6252円
- <男性>平均年金月額:5万9040円
- <女性>平均年金月額:5万4112円
■厚生年金(第1号)の平均月額
<全体>平均年金月額:14万4366円
- <男性>平均年金月額:16万4742円
- <女性>平均年金月額:10万3808円
※国民年金の金額を含む
上記の結果を参考に、専業主婦の妻と会社員の夫の年金額を合算すると、毎月受け取れる年金は約21万8854円になります。
最低日常生活費に少し足りませんが、なんとか生活できるラインといえるでしょう。
しかし、これではゆとりある生活費には足りませんね。足りない分は老後のための貯蓄から出すということになりますが、60歳代でそれだけのお金を皆さん準備できているのでしょうか。
次の項で詳しく見ていきたいと思います。
■60歳代の4人に1人は貯蓄3000万円以上
ここからは、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)各種分類別データ」をもとに、60歳代の貯蓄の平均値・中央値を見ていきましょう。
出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]令和3年調査結果」をもとにLIMO編集部作成
■60歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 平均:2427万円
- 中央値:810万円
■60歳代の貯蓄分布
- 金融資産非保有:19.0%
- 100万円未満:6.4%
- 100~200万円未満:4.8%
- 200~300万円未満:3.4%
- 300~400万円未満:3.3%
- 400~500万円未満:2.6%
- 500~700万円未満:5.9%
- 700~1000万円未満:5.3%
- 1000~1500万円未満:8.4%
- 1500~2000万円未満:6.0%
- 2000~3000万円未満:9.6%
- 3000万円以上:22.8%
- 無回答:2.6%
データによると、なんと60歳代のうち22.8%の方が貯蓄3000万円以上を保有しているということが分かりました。
実際65歳以降に、年金と貯蓄3000万円を切り崩しながら生活した場合どのくらい生活に余裕がでるか検証してみましょう。
まずは、夫婦ともに82歳まで長生きした場合(専業主婦の妻と会社員の夫の場合)で見ていきます。
82-65=17年間
3000万円÷17年間=14万7058円(毎月のゆとり額)
21万8854円+14万7058円=36万5912円
さらに、上記の計算式に基づき82歳以降100歳まで長生きした場合、どのくらい生活にゆとりがでるか計算した結果は以下のとおりです。
- 85歳:34万3854円
- 90歳:31万8854円
- 95歳:30万2187円
- 100歳:29万282円
82歳までであれば、ゆとりある生活に必要な36万円のラインを越えていますし、100歳まで貯蓄3000万円を切り崩して生活するとしても、最低日常生活費を優に超える収入を手に入れることができています。
結果として、3000万円以上のまとまった資金があれば、長い期間ゆとりある生活を送ることができそうですね。
■老後資金3000万円を貯めるには
ゆとりある生活のためとはいえ、貯蓄3000万円にもなれば額が大きすぎてそう簡単に貯められるものではないですよね。
では、いったいどのように貯めればいいのでしょう。そこで考えたいのが資産運用の活用です。
資産運用といっても、100万円や1000万円などまとまった金額が必要なわけでなく、月1万円や2万円から少額で積立投資をする方法があります。
たとえば金融庁の資産運用シミュレーションによると、毎月3万円を30年間、年平均利回り6%の海外株式で積み立て投資した場合、できあがる資産は約3014万円です。
投資は、長期運用することで複利のちからをより効果的に発揮することができ、資産を大きく増やす期待ができます。
今回のシミュレーションで出た結果のように、毎月少額の積み立てから不自由ない老後を過ごすための資産を築ける可能性があるなら、なるべく早くから投資を始めてみるのもいいのではないでしょうか。
■まとめにかえて
今回は、60歳代の貯蓄事情について見てきました。その結果、60歳代の4.4人に1人は3000万円以上の貯蓄があるという少し羨ましいデータもありましたね。
まとまった貯蓄がある人のなかには、1000万円、2000万円を超える退職金を受け取ったり、遺産相続でそれだけの貯蓄があったりする方もいるかもしれません。
ただ、今回の記事で触れたように毎月コツコツと投資を続ければ2000万円、3000万円以上の資産を築くことも難しくはありません。
老後、自分の好きな人生をおくるためにも、早い内からコツコツと老後資金を貯める準備を始めてみてはいかがでしょうか。
■参考資料
- 斎藤 慧「還暦60歳代の貯蓄「3000万円以上」の羨ましい人はどれくらいいる?老後資金の柱「年金」も学ぶ」(LIMO)( https://limo.media/articles/-/31015 )
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査(令和3年)各種分類別データ]」( https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2021/ )
- 厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」( https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/18/index.html )
- 厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」( https://www.mhlw.go.jp/content/000925808.pdf )

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