株式会社エイチームライフデザインが2022年7月25日に公表した「「引越し先の街・物件選びに関するアンケート」によると、働き方によって街選びの基準が変わることがわかりました。
出社勤務の人は「通勤のしやすさ(57%)」を重視する割合が最も多い一方、リモートワークの人は、「周辺環境の充実さ」や「都心部へのアクセス」の割合が比較的多い傾向になったのです。
コロナ禍でテレワークに切り替わった方は、お盆休みや夏季休暇に引っ越しを検討した方も多いのではないでしょうか。
住まいを変えるときにはいくつか手続きが必要ですが、忘れがちなのが「NHKの受信料」の手続きについて。
中にはテレビを手放すから、もう支払わなくてもいいのでは?と思う方もいます。
NHK受信料を支払う義務がある人についてまとめていきたいと思います。
■そもそもNHKの受信料はいくらなのか
NHKの受信料は、地上契約と衛星契約とで異なります。
■地上契約
- 2カ月払額:2450円
- 6カ月前払額:7015円
- 12カ月前払額:1万3650円
■衛星契約
- 2カ月払額:4340円
- 6カ月前払額:1万2430円
- 12カ月前払額:2万4185円
※口座振替やクレジットカード等継続払の金額です。その他の継続振込等ではもう少し割高になります。
まとめるほどに割安になる受信料ですが、決して安い金額とはいえません。
ただし、NHKの「受信料・受信契約数に関するデータ」によると、2020年度末時点の契約では衛星契約のほうが多く、番組内容を楽しんでいる方も多いようです。
同調査では合計で4169万件の受信契約があることもわかりました。
■NHKの受信料支払いは誰の義務?
NHKの受信料は、ほとんどの方に支払義務があります。引っ越したまま手続きを失念していると、職員の方が家まで訪問してきたという経験がある方もいるかもしれませんね。
実は、放送法第64条に「NHKの放送を受信することができるテレビをお持ちの場合、NHKと受信契約をしなければならない」との規定があり、放送法に基づき総務大臣の許可を得て定められた日本放送協会放送受信規約で「放送受信料を支払わなければならない」と義務づけられているのです。

出典:e-GOV法令検索より一部抜粋
「個人的にNHKは見ないので」という理由では、支払いを拒否することができません。
家にテレビ自体がない場合は、「NHKの放送を受信することができるテレビをお持ちの場合」に該当しないため、受信料を支払う必要はありません。
しかしカーナビやワンセグ対応のスマホ等を持っている場合は、受信できる機器にあたることもあります。
さまざまなデバイスで受信できる現代では、注意が必要です。
■NHKの受信料は「住民非課税世帯」も支払う必要があるのか
住民税非課税世帯に対しては、「住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金」が支給されたり、大学無償化が受けられたりと、様々な助成があります。
ではNHKの受信料も、住民税非課税世帯なら優遇されるのでしょうか。
実はNHKの受信料にも半額免除や全額免除の条件がありますが、「住民税非課税」というだけで、要件を満たすことはありません。
市町村民税非課税のうち、身体障害者、知的障害者、精神障害者が全額免除の対象となるようです。
その他、NHKの受信料が免除となる条件を見てみましょう。
■全額免除
- 公的扶助受給者
- 市町村民税非課税の身体障害者
- 市町村民税非課税の知的障害者
- 市町村民税非課税の精神障害者
- 社会福祉施設等入所者
- 奨学金受給対象等の別住居の学生
■半額免除
- 視覚・聴覚障害者
- 重度の身体障害者
- 重度の知的障害者
- 重度の精神障害者
- 重度の戦傷病者
■NHK受信料には割引制度もある
最後に、NHKの受信料の割引制度を見ていきましょう。
■家族割引:50%割引
- 同一生計である複数の方がそれぞれの住居の放送受信契約を締結している場合
- 同一の放送受信契約者が複数の住居で、放送受信契約を締結している場合
学生や単身赴任などで離れた家族がいる場合、あるいは別荘や別宅などがある場合に有効な方法です。
条件に当てはまると、受信料額の50%が割り引かれます。
■多数一括割引:月額300円割引
- 衛星契約等の合計が10件以上
- 支払方法・期間が同一
- 「団体一括割引」の適用なし
以上の3つすべての要件を満たす場合、多数一括割引が適用され300円割引になります。
同一敷地内で10件以上の衛星契約等をしている場合は自動的に適用されますが、別々の施設などで合計10件以上の衛星契約等をしている場合は申込みが必要です。
■団体一括支払(団体割引):月額200円割引
NHKの衛星受信料をケーブルテレビの利用料と一緒に支払うことで、ケーブルテレビ局からNHKへ一括して支払われます。この制度を利用すると、月額200円の衛星受信料が割引されます。
上記のほか、「前払い」にすると総額の負担を抑えることもできます。受信料は家計の中で「固定費」にあたるため、少しでも安くできる方法がないか考えておきたいですね。
■おわりに
NHKの受信料は、テレビを持っている家庭であれば支払う義務があります。「テレビは見ないから」と支払いを拒否することはできませんが、有効な割引を見逃している可能性はあります。
まずは利用できる割引制度がないか、しっかり調べてみましょう。
また固定費はNHKの受信料だけではありません。この機会に、さまざまな固定費について「ムダな出費」がないか、洗い出してみましょう。
■参考資料
- 株式会社エイチームライフデザイン「【引越し侍が調査】リモートワークで引越し先選びが変わる?「街」と「物件」の選定基準は働き方に合わせ多様化」( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002183.000001348.html )
- NHK「受信料の窓口」( https://www.nhk-cs.jp/jushinryo/ )
- NHK「受信料・受信契約数に関するデータ」( https://www.nhk-cs.jp/jushinryo/know/pdf/keiyakuritu2020.pdf )
- NHK「よくある質問集」( https://www.nhk.or.jp/faq-corner/2jushinryou/01/02-01-13.html )
- e-GOV法令検索