総務省の最新統計によると、65歳以上の世帯の貯蓄平均は2342万円です。コロナ禍でも貯蓄平均が増える今、終の住処として「高級老人ホーム」を夢見る方もいます。



現役世代の方でも、将来は子どもに介護をお願いするのではなく「高級な老人ホームでホテルのように過ごせたら」と感じる方がいるのではないでしょうか。



2022年8月23日、「みんなの介護」を運営する株式会社クーリエが公表した「人気急上昇「高級老人ホーム」調査レポート」を見ながら、高級・プレミアム感のある施設について見ていきましょう。



■老人ホームの新トレンド「高級・プレミアム感のある施設」



「みんなの介護」では、1000万円以上の入居一時金が必要となる「高級・プレミアム感のある施設」の特集ページへのアクセス数が、2022年上半期で前年に比べ2倍以上に増加しました。



こうした高級感を売りにした老人ホームへの注目度が、高まっていることがわかります。



また施設の見学予約数も、対前年比(1/1~8/21)で+148%と急速に増加したそうです。



人気の背景として、同社は「高齢層の貯蓄の増加が関係していると考えられます」と分析。



実際、総務省の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、65歳以上の世帯の貯蓄平均は2342万円で、前年比+50万円となりました。



まるで一流ホテル!高級老人ホームを夢見る高齢者の理想と現実。うまい話には裏がある

出典:総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」



老後への不安から貯蓄に回す高齢者も多く、そうした資金を使って「高級老人ホーム」を検討する高齢者が増えていると推察できます。



■高級老人ホームと一般老人ホームの違いとは



では、高級老人ホームは一般的な老人ホームと何が違うのでしょうか。いろいろなイメージは膨らむものですが、具体的な違いを見ていきましょう。



■最寄り駅からの距離感



  • 高級老人ホーム … 0.77キロメートル
  • 一般的老人ホーム … 1.29キロメートル

■介護体制の手厚さ



  • 高級老人ホーム … 職員1人あたり、1.95人を介護
  • 一般的老人ホーム … 職員1人あたり、2.6人を介護

■食費



  • 高級老人ホーム … 9.83万円
  • 一般的老人ホーム … 5.81万円

立地条件の良さ、また介護体制の手厚さなどは、土地代や人件費に直結するため高級老人ホームが有利となります。



また食費の違いは、なんと約2倍の差がありました。



毎日の食事がおいしいと、自然に元気になれそうです。食へのこだわりが強い方ほど、高級老人ホームのメリットは高まりそうですね。



一方で、居室の広さは一般的な老人ホームの方が広い傾向にありました。立地条件を優先すると、地価が大幅に上がるため広さを確保するのが難しくなるようです。



■高級老人ホームに入居するならいくら必要?



気になるのがその金額です。高級老人ホームを希望する場合、一体いくらの資金が必要なのでしょうか。



同社では、全国の高級老人ホームの相場の中央値をもとに、老人ホームへの入居期間の平均年数で試算されています。その結果は以下のとおりです。



  • 入居一時金1000万円 + 月額費用29万5000円の4年分 1416万円 = 2416万円

一人当たり2416万円という計算になりました。



月額費用として約30万円がかかることを踏まえると、通常の年金生活では難しいことがわかりますね。



平均並みの貯蓄を備えている方にとっては、選択肢に入れられると言えそうです。



ただし、上記はあくまでも4年分での金額です。

入居の年数は誰にもわからないので、長引くことを考えるとさらに貯蓄がある方が安心でしょう。



■60歳代「年金でさほど不自由なく暮らせる」は1割だけ



金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)各種分類別データ」によると、60歳代は年金に対して以下のように考えています。



  • 年金でさほど不自由なく暮らせる:11.1%
  • ゆとりはないが、日常生活費程度はまかなえる:60.1%
  • 日常生活費程度もまかなうのが難しい:28.8%

年金でさほど不自由なく暮らせると回答したのは、たった1割なのです。今後値上げが進むことで、上記の数字はもっと減る可能性もあります。



こうした点を踏まえると、年金生活者にとって「高級老人ホームへの入居」はかなりの贅沢になることがわかります。

中には自宅を売却して入居を考える方もいますが、不確かな状態での入居は避けるべきでしょう。



老人ホームの入居希望者は増える一方なので、万が一滞納して身元引受人も支払えない状況となれば、退去となることもありえます。



老後の住処は頻繁に変えたくないものですよね。余裕のない状況で理想の老人ホームを選択するのは、あまりにリスクが高いといえます。



■理想の老後を叶えるために



食事がおいしくて、立地条件もいい。そんな高級老人ホームに対し、あこがれを抱くのは悪いことではありません。



まるでホテルのような老人ホームをイメージすればするほど、そんな場所で穏やかに過ごしたいと感じてしまいますよね。



しかし、介護には費用がつきものです。一般の老人ホームでも介護費用がかさむ中、高級老人ホームになれば何倍も費用がかかります。



年金だけではまかなうことが難しいため、貯蓄が重要になるでしょう。老後を見定め、いくら貯めるか目標を決めることが大事です。



ただし、目の前の生活もあります。銀行預金だけで増やすことができない今、効率的に貯蓄を進めるなら「資産運用」も視野に入れることが望ましいです。



もちろん資産運用には元本保証がないため、許容できるリスクを見極めることは必須です。



目標を定め、少しずつ準備を始めていきたいですね。



■参考資料



  • 株式会社クーリエ「【みんなの介護】まるで一流ホテル!?人気急上昇「高級老人ホーム」調査レポート」( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000060.000015597.html )
  • 総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」( https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/2021_gai4.pdf )
  • 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」( https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2021/21bunruif001.html )
     
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