■65~69歳の就業率とその理由もチェック
近年、「人生100年時代」という言葉をよく耳にします。
日本は世界と比べても高齢者の就業率が高く、定年退職後の60歳以降も働く方が大半です。
健康で元気に長生きすることは良いことですが、生きていく上で欠かせない「お金」も長寿化に合わせてきちんと備える必要がありますね。
今回は、年金だけで暮らす「65歳以上の無職世帯」にスポットを当てて、平均貯蓄額をみていきたいと思います。
■日本人の平均寿命は男性81.74歳、女性87.57歳
2022年7月29日に公表された厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」を見ていきましょう。
出典:厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」(2022年7月29日公表)
日本人の平均寿命は男性81.74歳、女性87.57歳になりました。男性に比べ、女性の方が長生きする傾向が見られます。
次いで、2019年に金融庁が発表した「人生100年時代における資産形成」の報告書を参考に見ていきましょう。
60歳の夫婦のいずれか95歳まで生存割合5割弱
出典:金融庁「人生100年時代における資産形成」
資料によると、60歳の夫婦のいずれかが、少なくとも95歳まで生存する割合は5割弱ともいわれています。
65歳に退職すると考えると、老後の生活は30年間にも及びますね。
■【65~69歳の就業率】男性52.9%、女性33.4%
先程の金融庁の資料では、65~69歳の就業率も紹介されています。
出典:金融庁「人生100年時代における資産形成」
同資料によると、日本では60代の就業率が諸外国に比べて高いことが分かります。
出典:金融庁「人生100年時代における資産形成」
働く理由としては、「いきがいや社会参加のため」という意見もある一方で、「生活の糧を得るため」という意見が最も多い結果となっています。
日本で働くシニアが多い理由の一つにお金が関係しているでしょう。
では、65歳以上の貯蓄事情はどうなっているのでしょうか。
■65歳以上「無職世帯」の貯蓄はいくら?
まずは、65歳以上の貯蓄状況を、総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」で確認します。
【65歳以上無職世帯】貯蓄額
平均貯蓄現在高:2342万円
【内訳】
- 通貨性預貯金:623万円
- 定期性預貯金:924万円
- 生命保険など:403万円
- 有価証券:388万円
- 金融機関外:4万円
平均貯蓄現在高は2000万円を超え、少し前に話題になった「老後2000万円問題」もクリアできているようにみえます。
ですが、平均値となると一部の大きい値に引っ張られ、しばしば実態とはかけ離れたケースが散見されるので注意が必要です。
高齢夫婦の資産は二極化
出典:金融庁「人生100年時代における資産形成」
金融庁の同資料によると、金融資産額は3000万円以上の世帯が最も多い一方で、金融資産が450万円未満の割合が増加傾向であり、高齢者世帯の資産状況は二極化が進んでいます。
先程の貯蓄の内訳をみると、約7割が預貯金で占めていることも注目するポイントです。
■世界と日本の金融資産の成長率を比較
金融庁の同資料によると、日本は諸外国と比べると金融資産額の伸び率が小さいことが分かります。
出典:金融庁「人生100年時代における資産形成」
米国では現役時代から投資信託などで資産形成を実践しており、約20年間で8倍強になっています。
出典:金融庁「人生100年時代における資産運用」
対して、日本の場合では預貯金中心の資産配分の高さが大きく影響し、約20年間で2倍程度の増加に留まります。
物価上昇を考慮すると、低金利である日本円の預貯金のみを保有することは資産の目減りにつながります。インフレ対策としても、効果的な資産形成を実践することが大切でしょう。
■老後2000万円問題をおさらい
ではここで、数年前に話題になった「老後2000万円問題」について詳しくみていきましょう。
金融審議会「市場ワーキンググループ」(第21回)厚生労働省提出資料によると、老後の生活費についてこう記述されています。
出典:金融審議会「市場ワーキンググループ」(第21回)厚生労働省提出資料「iDeCoを始めとした私的年金の現状と課題」をもとにLIMO編集部作成
■高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)
- 実収入(主に年金):20万9198円
- 実支出(主に食費):26万3718円
- 月々の赤字額:約5万5000円
■老後必要額
5万5000円✕12カ月✕30年(老後を30年と仮定)=1980万円 ※約2000万円
この2000万円という数字が、「老後2000万円問題」の根拠となりました。
ただ、実はこの2000万円という数値には気をつけなければいけないポイントがあります。
- 介護費用が含まれていない
- 住居費が1万3656円で計算されている
- 収入と支出は一人ひとり違う
介護費用は準備しておくと安心ですし、介護にならずに健康で過ごせれば、介護費用の準備金は別のことに使うこともできるでしょう。
住宅ローンの残債がある方や持ち家ではなく賃貸暮らしの方などは、さらに負担増となりうるケースが考えられます。
月の収支については、現役世代の収入や年金の納付状況によって受取金額も変わりますし、生活水準も人それぞれです。
一人ひとりライフスタイルや家族構成、収入や支出も変わるので、老後生活費の不足分が2000万円で足りる方もいれば、収まらない可能性も十分に想定されるでしょう。
■老後に向けて資産を準備するために
将来への資産形成で大切なことは、「自分が将来どんな生活を送りたいか」を具体的にイメージすることです。
「老後2000万円」といっても、一人ひとりライフプランや家族構成、収入や支出は異なるため、一概にはいえません。自分にとっての将来の必要金額を見出し、明確に目標を立てることから始めてみましょう。
老後への資産作りは、若い時期ほど無理なく始められます。少しでも今後の資産形成への参考になれば幸いです。
■参考資料
- 厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」(2022年7月29日公表)( https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life21/dl/life18-02.pdf )
- 金融庁「人生100年時代における資産形成」(2019年4月12日公表)( https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190412/03.pdf )

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