■年収100万円以下~2500万円超の給与所得者数をチェック
帝国データバンクによれば、自社における管理職に占める女性の割合は平均9.4%に上昇し、過去最高となりました(2022年8月31日公表)。

出典:帝国データバンク「女性管理職の割合 9.4%に上昇」
しかし、政府が目標として掲げる「女性管理職30%」を達成する企業は約1割となっており、依然として少ない状況が続いています。
国税庁によれば日本の平均年収は433万円ですが、男女別に見ると男性532万円、女性293万円となっており、男女で200万円以上の差が見られます。
今回は女性管理職の多い業界を確認しながら、日本の平均年収400万円を達成する女性の割合を確認していきましょう。
■女性の管理職が多い業界はどこか
まずは帝国データバンクの資料より、女性管理職の割合を過去3年分確認します。

出典:帝国データバンク「女性管理職の割合 9.4%に上昇」
管理職が「全員男性」が最も多く2020~2022年と4割を超えており、次に「10%未満」でした。
ただ「10%以上~30%以上」は年々増えていることがわかります。
女性管理職の割合について、その平均を規模・従業員数・業界別に見ます。

出典:帝国データバンク「女性管理職の割合 9.4%に上昇」
女性管理職が多いのは「小規模企業」で12.5%となっており、大企業では6.8%と約半分に留まりました。
業界別には「小売」(17.3%)「農・林・水産」(15.6%)「不動産」(14.8%)「サービス」(12.6%)「金融」(10.4%)などとなっています。
2022年の日本の「ジ ェンダーギャップ指数」は146カ国中116位となっており水準は低いですが、基本的に今後も女性の管理職は増加していくと考えられるでしょう。
■日本の男女間賃金格差はOECDでワースト4位
ここで、世界で見た男女の賃金格差を確認しましょう。
経済協力開発機構(OECD)によれば、日本の男女間賃金格差は加盟44カ国中ワースト4位となっており、諸外国に比べて格差が大きいことがわかります。

出典:OECD「男女間賃金格差 (Gender wage gap)」
国税庁の統計でも、平均年収で男女で200万円以上の差がありました。
実際に男性と女性で平均年収にはどれくらいの違いがあるのか、一覧表で見てみましょう。
■「年収400万円の女性」はすごいのか、一覧表で一気に見る
日本の平均年収である「年収400万円の女性」は、女性の賃金が男性に比べると低い日本では「すごい」といえるのでしょうか。
先程の国税庁「令和2年分 民間給与実態調査統計」より、年収100万円以下~2500万円超の給与所得者数を一覧で確認します。

出典:国税庁「令和2年分 民間給与実態調査統計」
「400万円超 500万円以下」は全体で14.6%ですが、男性で17.3%、女性で10.7%でした。
女性の年収ごとの割合を見てみましょう。
■女性の給与階級別の割合
平均293万円
- 100万円以下:15.2%
- 100万円超 200万円以下:23.4%
- 200万円超 300万円以下:21.3%
- 300万円超 400万円以下:17.3%
- 400万円超 500万円以下:10.7%
- 500万円超 600万円以下:5.7%
- 600万円超 700万円以下:2.6%
- 700万円超 800万円以下:1.5%
- 800万円超 900万円以下:0.8%
- 900万円超 1000万円以下:0.4%
- 1000万円超 1500万円以下:0.7%
- 1500万円超 2000万円以下:0.2%
- 2000万円超 2500万円以下:0.1%
- 2500万円超:0.1%
女性は年収400万円以下で7割近くを占めており、平均は293万円です。
男女合わせた全体でみれば「ふつう」の年収400万円台も、女性で見ると「すごい」と言えるかもしれませんね。
■まとめにかえて
「日本の平均年収」は、女性のみでみるとすごいと言えるのが現状です。
それは男女で約200万円以上の年収差があることとともに、正規と非正規での年収も関係するでしょう。平均給与をみると正規496万円、非正規176万円とこちらも300万円以上の差があります。
女性の場合、育児や介護のために扶養内におさえた働き方をしたいという方もいますよね。
ただ最近では社会保険料の適用が拡大したり、女性の管理職を増やしたり賃金の男女格差を減らしたりする流れが世界的にみられます。
■参考資料
- 帝国データバンク「女性管理職の割合 9.4%に上昇」( https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220813.pdf )
- 国税庁「令和2年分 民間給与実態調査統計」( https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/000.pdf )